この記事は、中部大学教授、武田邦彦氏のブログから

記事の転載許可を得て、以前ネコペンギンのブログ

『幸せな成功のための魔法の杖』で連載しておりましたが、

2011年2月18日朝、アメブロによってそのブログが

突然削除されてしまい、ご紹介ができなくなってしまいました。


そこで、ウルフペンギンのこのブログで改めて

ご紹介していくことになりました。

なお、本文中の誤字脱字は訂正してありますが、

基本的に内容はそのままにしております。


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福島原発から上空に漏れた放射性チリは、

約70京ベクレル。

海に流れた方はハッキリしないが

10京ベクレル程度と考えられる。


つまり、福島原発から環境へ漏れた量は

おおよそ100京ベクレルだった。

この量を少し落ち着いて考えてみよう。


福島第一原発には1号機から4号機まであった。

1号機、2号機、3号機は運転中だったので、

原子炉の中に合計6亥4000京ベクレル

(亥は本当は土偏で、ガイと呼ぶ)、

プールに1400京ベクレルの放射線量があり、

4号機は原子炉の点検中で、原子炉の中はゼロ、

プールが2100京ベクレルだった。


つまり、原子炉に6亥4000京、プールに3500京だから、

合計6亥7500京ベクレルの放射線量があった。


この内、100京が漏れたのだから、

全体の0.15%が漏れたに過ぎない。

もっとも、放射線量は運転が止まる(核分裂が止まる)と

急激に少なくなるので、どこの時点をとるかで大きくことなる。


とにかく、ザッと言うと、福島原発が持っていた放射線量の

1%未満が大気中にでたことになる。


・・・


まず100京ベクレルというのは、余りにとてつもない量なので、

ピンと来ない。まずは、これを「日本国民あたり」にしてみると、

100京を1億2000万人で割るので、


「約80億ベクレル」となる。


つまり国民一人あたり80億ベクレルという

とてつもない量を、私たちはかぶり、

これからの子供はそれを背負って生きていくことになる。


すまない!


・・・・・・


気を取り直して、少し考えてみよう。


私たちは水道水を1日、0.6リットル飲むが、

料理や歯磨きなどを合わせると2リットルになる。


水道水の汚染の基準はWHO(世界保健機構)が、

1リットル1ベクレルと決めているので、

おおよそ1日1ベクレルということだ。


そうすると80億ベクレルというのは、80億日分になる。


人生80年とすると、人の一生は約3万日だから、

その30万倍というとてつもない数字になる。


・・・


原発の事故がいつも

こんな大変なことになるという訳ではない。

たとえば、新潟沖地震で壊れた柏崎原発では、

3億ベクレルが漏れた。


ずいぶん多いようだけれど、3億ベクレルを1億人で割ると、


「一人3ベクレル」になる。


放射性チリが水道に入っても、3日間、我慢したら

それで終わりになる。

今度の福島原発のすごさが判ると思う。


・・・・・・


さて、このことが判ると、

「福島原発から出た放射性チリをいくら薄めても、

将来の子供達が被曝する」ということがわかる。


たとえば、福島の瓦礫を日本中に移動したり、

ホウレンソウを基準以下だと言って生協が運搬したり、

乳牛を北海道に移動すると、


「人間の手で放射性チリを全国にばらまく」


ことになり、しかも日本人一人あたりの量が

とんでもなく多いので、永久に日本列島が汚れてしまう。


さらに、秋になって台風が来て強い風が吹くと、

放射性チリの多いところから、また全国にばらまかれる。


量が少ないときはこんな問題は起こらないが、

多いときはかくのごとく違うのだ。


そこで、本来なら政府が、このことを国民に知らせて、

ハッキリとした対策をとるべきであった。


1) 放射性チリは100京ベクレルほど出てしまった、


2) これは国民一人あたり80億ベクレルにもなる、


3) 薄めても危険な状態になり、

日本列島が全部、汚染される、


4) だから、福島のものを他県に絶対に出してはいけない、


5) 東京など周辺の地域もできるだけ早く

チリを集めなければならない、


6) 国家が福島を除染して、原発近くにチリや土壌を移動し、

そこで処理を急がなければならない、


7) 半減期が30年ということを考えると、

早くやらないと100年、禍根を残す、


ということなのだ。


「梅雨までに」と言ってきたが、すでに梅雨に入った。

かくなる上は強い風の吹く台風までに除染しないと、

南風で宮城が、北風で静岡が、

東の風で新潟や秋田まで汚染が拡がる。


・・・


日本人一人あたり80億ベクレルをできるだけ小さくすること、

それが今の大人が次世代の子供達に

してあげなければならない最大の義務だろう。


放射性チリで汚れた日本列島では

「環境を良くする」などと言うことは全く出来ないからだ。


一刻も早く、事実を直視して、目を覚ましてもらいたいのだが。


(平成23年6月12日 午後3時 執筆)

武田邦彦


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60代、70代の人が、赤ちゃんや子供たちの将来について

考えるということは、想像力があればこそだ。


なければ、原発事故後に

今の子供たちの将来の健康への

対策を打つことなんて、全く出来ない。


御用学者は学長や東電の言う通りにするだけだし、

一年生議員は先輩議員の言う通りにするだけだし、

NHKや民放のニュースのコメンテーターは

政府や東電の言う通りにするだけだし、

官房長官は首相の言う通りにするだけだ。


誰もがだれかの言う通りにする。

じゃぁ、その元の元って誰なんだろう?


確かに、浜岡原発即刻運転停止を命令したのは

この国の政治のトップの椅子にしがみついている

管直人首相だったのだが、

彼にそうしろと命じたのは、

横須賀に第七艦隊の基地がある米軍だった。


浜岡原発が事故って困るのは、

在日米軍基地で勤務しているアメリカ兵と家族なのであって、

一般日本国民ではないからだ。


米軍の第七艦隊司令官から、首相官邸に

命令が通達された結果、

管直人はそれに反論も説明もすることなく、

まるで、植民地の現地責任者のごとく

ただ、一言「イエス!」とだけ言ったに過ぎない。


では、米軍を動かしているのは、

アメリカ大統領なのか?


確かに、国防長官の上に大統領がいる。


しかし、大統領だって選挙で落ちればタダの人。

大統領が変われば、国防大臣だって代わる。


しかし、ウラン鉱石の採掘、流通、さらには

放射能除去装置の開発販売、

地球温暖化というデマの流布、

気象コントロール技術の開発などなど・・・。


こういうこと全てに関わって、多くの人を

言う通りに動かしてきた人物がいるのは間違いない。


管直人なんて、そんな彼らから見れば

ゴミ箱の中のハエに過ぎないのかも・・・。


さて、次は何が待っているのだろうか?


by ウルフペンギン