野村さんの2冊の本、取材を丹念にやっていて、好きですね。とは言え、「アジア定住」はもう古い。一方、「千年、、」は、あとがきの関連年表に価値ありか? その後の追跡版、書く予定ないのかしらん。


1.アジア定住 (1996年発刊)
アマゾン :中古品18点¥ 1より (ブックオフで450円で購入)


2.千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン (2006年発刊)
アマゾン:中古品44点¥ 1より


<目次>

プロローグ 手のひらのケータイから

第一章 老舗企業大国ニッポン
老舗は日本に集中している/アジアの老舗企業事情/植民地主義下では老舗が育たない/華人の企業は続かない/「職人のアジア」と「商人のアジア」がある/日本人は職人を尊ぶ/「削る文化」と「重ねる文化」

第二章 ケータイに生きる老舗企業の知恵
金地金のふたつの顔/かくも貴重な鉱物資源/金属の極細線がモーターを動かす/ケータイの開閉に箔の技術/コア・ミッションから離れてはいけない/金属を擬人化して扱う/強迫的な先鋭化

第三章 敗者復活
銅山で生まれたリサイクル/ケータイのゴミの山から金をとりだす/黒鉱との戦いが生み出した製練法/汚染土壌を浄化する/山奥につくられた最終処分場/日本一の廃棄物処理会社/貧者の知恵が生きる

第四章 日本型バイオテクノロジーの発明
売り手よし、買い手よし、羊よし/アトピー性皮膚炎の救世主/醸造業界低迷から脱出する/「不義にして富まず」の思想が活きる/薬事法を変えたライスパワーエキス/人間中心主義からの脱却/技術屋と原料屋の出会い/天然ロウの輸入が貧困地帯を救う/私欲起こせば家を破壊する/「殺す発想」から「生かす発想」へ/生きとし生けるものへの敬意

第五章 ”和風”の長い旅
一軒のみかん農家が生み出した蚊取り線香/墨作りの技術は七世紀から変わらない/新しもん好きが生み出した筆ぺん/意外なところに応用された液体墨の技術/墨は不思議なメディア/老舗の土台を築くのは三代目あたりの養子/余所者だからできることがある/職人との一生涯契約/金箔の技術が日常品の至る所に/伝統は、革新の連続/支払いをきちんとすれば安くなる/バックミラー業界最大手に成長/伝統性と時代性の調和/文化の大きな循環の中で生きる

第六章 町工場 ミクロの闘い
ショベルとイチローの意外な関係/自分の体の中に聞こえてくる/鋳物は、ものづくりの原点/職人がコンピューターに駆逐される!?/どこまで中国に技術移転すべきか/ケータイの心臓部を担う人工水晶/より小さく、より安定したものを/弁柄製造が起こした公害問題/公害からサヨナラ逆転満塁ホームラン/日本人の技術は「詰める」所にある/デジタル化の中で活きる”丹精”

第七章 地域の”顔”になった老舗企業
昆虫界のターミネーターの秘密/独創的なものづくりの原点/十年単位の研究活動/同族経営・非上場の強み/トレハロースは宝の山だった/チャップリンのステッキ/女性がダメというものは絶対に売れない /双系社会が老舗を育てる/老舗製造業五つの共通項

エピローグ 世界最古の会社は死なず
「老舗」に対する大阪人の心意気/日本最古の企業、廃業の危機/寺社建築の工法には進歩はない/他の建築会社にない困難は「時間」だった/老舗の看板が信用の代名詞だったのは過去の神話/「金剛組を潰すことは大阪の恥」/役に立たない老舗は潰れる

あとがき

老舗企業関連年表


<著者:野村進>

WIKI

野村進 公式ホームページ

<著作>
・フィリピン新人民軍従軍記 (晩声社, 1981 のち講談社+α文庫)
・海の果ての祖国 南の島に「楽園」を求めた日本人 (時事通信社, 1987)
・天才たち 文藝春秋, 1992
・ニッポンの現場 現代を読み解く10の事件 (講談社, 1993)
・死なない身体 いま医学で起きていること (文藝春秋, 1993)
・コリアン世界の旅 (講談社, 1996)
アジア定住 11カ国18人の日本人 (めこん, 1996)
・アジア新しい物語 (文藝春秋, 1999)
・アジアの歩き方 (講談社現代新書, 2001)
・脳を知りたい! (新潮社, 2001)
・救急精神病棟 (講談社, 2003)
・日本領サイパン島の一万日 (岩波書店, 2005)
千年、働いてきました (角川oneテーマ21、2006)
・調べる技術・書く技術 (講談社現代新書、2008)