明けましておめでとうございます。
仕事初めを明日に控えて、なんだか憂鬱であります。
まだゴロゴロしていたい(笑)
この年末年始、近年のテレビの衰退ぶりが如実に現れていましたね。
いくらチャンネルを変えてみても、面白い番組がない・・・。
ダウンタウンの『笑ってはいけない』シリーズの後釜(?)も、残念なありさま。
仕方なくNHKで年を越しましたけど、
あいみょんやYOASOBIのハイセンスな曲、
細川たかしとMISIAの圧倒的歌唱力に
紅白歌合戦もかろうじて救われたんじゃないでしょうか。
と、言いつつも、
日本のテレビが没落していくこの時代にありながら、
久しぶりに感動的な番組を見ましたのでご紹介。
2021年12月11日18:56 - 20:00テレビ朝日にて放送の、
『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん
世界遺産・軍艦島SP完全版!!』
今となっては誰もが知る日本の世界遺産、
軍艦島(長崎県)の一般非公開エリアに、
16歳にして世界遺産検定マイスターの博士ちゃんが
伊集院光と元住民の方1名とを引き連れて上陸し、探索するという内容。
かつての島民たちの暮らしぶりをうかがわせるような廃墟を巡りながら、
炭鉱が開かれてからこの島が辿った奇特な歴史
であるとか、
特殊な環境で生活を営む住民たちの苦悩
といったものを紐解いていく過程が実に面白い。
廃墟の物々しい雰囲気とは対照的な
元住民の方の温かい思い出話も興味深く、
それを伊集院氏が面白おかしくイジってみたかと思えば、
博士ちゃんが島の歴史的背景を交えながら、
16歳とは信じがたいような深い分析を加えていく。
そしてそんな博士ちゃんの高校生離れっぷりを
スタジオのサンドウィッチマンらがさらにイジっていくというね。
素晴らしい番組構成。
家事に勤しむ妻もついつい手を止め、
二人で見入ってしまいました。
見終わったあとも、胸の中にちょっとした余韻が残っていて、
軍艦島について色々と調べ物をしてしまったほど。
今後一度は行ってみたいけれど、
テレビに出てきた場所は観光客は立ち入れないんだよね。残念。
さて、私がこの番組に深い感動を覚えたのは、
単に内容が優れていたからだけじゃないんですね。
博士ちゃんがとにかく博識かつ頭脳明晰なんだけど、
それを番組が上手にイジっていくから余計に面白い。
賢いことが面白いんです。
かつて、馬鹿なことが面白かった時代がこの国にはありました。
15年くらい前でしょうか。
島田紳助が司会をやっていた『クイズ!ヘキサゴンII』というクイズ番組で、
トンチンカンな回答をするおバカな出演者たちが、
異常な人気を博して売れまくっていた時代。
歌とか出してましたね。
当時医学部生だった私も、
演者たちのおバカ回答を見てついつい笑ってしまうんだけれども、
心底
「おバカっぷりが評価される世間じゃ、
勉強頑張ってる人が夢を見れないじゃない。」
と感じてました。
やや極端ではありますが。
おバカさんを嘲笑うというだけなら、
低俗な娯楽だねで済むんでしょうけど、
そういう番組を見た小さな子供たちが
『おバカはイケてる』と曲解してしまったらどうでしょう。
そんでもって論理がひっくり返って
『ガリ勉はダサい』なんて事になってしまわないか?
と危惧していたのです。
まだまだ昭和の価値観が色濃く残っている日本。
例えば、「どうせお嫁に行くんだからいいさ」という考えで、
資格や学歴といった努力をなして得るべきものから、
悪意なく遠ざけられて育つ女性たちは男性より多いはず。
(例えば我が国では、政治家にも医者にも女性が少なすぎるし、
これに限らず色んな社会統計で男女格差が見られています。)
そんな世の中にあって、
せめてテレビという大衆媒体には
努力の価値というものについて
それとなく触れ回ってほしいよね。
かねてからそんな事を想う私のマインドに対して、
博士ちゃんの努力の結晶を宝石のように扱ってくれた
サンドウィッチマンの番組は、
深く深く刺さったというわけでした。