真野 温さん
日本アムウェイ諮問委員、住友電気工業株式会社 顧問
1. 私とアムウェイ
日本アムウェイの諮問委員になられたきっかけはどんなものだったのでしょうか?
日本アムウェイの諮問委員になられたきっかけはどんなものだったのでしょうか?
20年近く前、家内がアムウェイのディストリビューターをしていました。
今思うとあまり熱心ではなかったのですが、親戚や知人に製品を分けたりしていたことを覚えています。
もちろん家の中にも製品がたくさんあり、高品質の製品を扱う企業だということは当時からよく知っていました。
それでアムウェイという企業にはとてもいいイメージを持っていたので、諮問委員を引き受けてほしいという依頼があったときは、迷わずお引き受けしました。
私は旧通産省に20年余り勤めたあと、民間企業に入り、20年余り経ちました。
その中でたくさんの国際企業と付き合い、その企業活動を見守ってきました。
日本には大小さまざまな外資系企業がありますが、外資系にはありがちな長所や短所というものがあります。
そういうものに身近に触れてきた、これまでの知識や経験を生かして、日本アムウェイが今後日本市場にさらに深く広く根付いていくためのお手伝いを、私なりにしたいと考えたからです。
日本アムウェイが生まれて約四半世紀。
日本経済の浮き沈みにともない、多少の波はあるでしょう。
けれどもしっかりした信用と愛着をもった人々のネットワークを持った、底力のある企業は信用が一時的に傷つけられることがあっても必ず立ち直ります。
そして盛り返してくると、応援したくなるものです。
それはちょうど阪神タイガースが今年、18年ぶりに優勝したときの、隠れタイガースファンの喜びにちょっと似ています(笑)。
2. 創立者の理念が受け継がれている企業
この春、アメリカ、ミシガン州エイダにあるアルティコア社※と、栄養補給食品のニュートリライト施設の視察に行かれましたが、そのときのことについてお聞かせください。
この春、アメリカ、ミシガン州エイダにあるアルティコア社※と、栄養補給食品のニュートリライト施設の視察に行かれましたが、そのときのことについてお聞かせください。
出発に先立ち、ジェイ・ヴァンアンデル氏の「わが起業家人生」やリッチ・デヴォス 氏の「HOPE FROM MY HEART」など、創立者の志について書かれた書物を熟読しました。
そして現地を視察してみて、創立者の理念が現在のアムウェイの中にしっかりと生かされていることを感じました。
まずアルティコア社ではマーケティング担当者と話す機会があったので、私は「アムウェイが一番大切にしているのは何ですか?」と訊ねました。
するとこんな返事が返ってきました。
「私どもは、アムウェイという企業としてのブランドの維持を何よりも大切にしています」。
私が関わっている住友という企業の始祖は400年前にさかのぼりますが、住友家には「浮利にはしらず」という家訓がありました。
その家訓は後に生まれた住友グループの企業全体に受け継がれ、今も脈々と息づいています。
企業が自らのブランドネームの価値を守ることは、企業としてとても大切な姿勢だと私は思います。
また創立者がビジネスをスタートさせた地に、いろんな形で社会還元を行っている様子も視察しました。
私はアムウェイが企業の成果である利益を社会にきちんと還元している企業、つまり“社会にやさしい企業”なのだということを視察を通 じて実感しました。
※アムウェイ・コーポレーションなどの系列会社を傘下に有するグローバルな会社
ニュートリライト施設も訪問されましたが、いかがでしたか?
アメリカや最近の日本でも、新製品の開発のサイクルを早めて売れそうな製品を作り、利益が上がれば事業の売買をするという話があると思います。
ところがニュートリライトはそういうアメリカ企業の固定観念とはまったく異なる、長期的な視野に立ったビジネスをしていました。
研究者の方は、「私どもは人間が食べてきたものしか原料にしません」ということを話しておられました。
それなら健康を害する物質が原料に混ざることもなく、食品公害の恐れがないこともうなづけます。
また、今でこそサプリメントはよく知られていますが、サプリメントの有用性どころか、ビタミンの概念もなく、存在すら誰も知らなかった1927年から、中国での自分自身の経験を踏まえて、カール・レンボーグ氏が自分の信念を貫いて開発してきたこと、そして損得を考えずに地道に開発したビジネスが現在まで続いているということに驚かされました。
徹底した品質管理、日本市場向けの製品開発、そして製品の安全管理に対する真剣さには本当に感銘を受けました。
レイクビューをはじめブラジルやカナダの農場に立地の選定にあたって、とくに良質の自然の地下水の利用ができるのかに注意を払っています。
また、製品の原料となる植物の栽培の仕方もユニークでした。
テントウムシやミミズ、マメ科の植物などを使って、害虫を駆除し、地養を行うなど、完全な有機農法を取り入れています。
これは昔の日本でも休耕地のサイクルを設けて自然の力で土壌の質を改善させていたやり方とも通 じるものがあります。
環境にやさしい生産手段と有機栽培による天然原料での製品作り。
つまりアムウェイは、“自然にやさしいメーカー”だということです。
3. アムウェイのメーカーとしての顔を強調する
日本でのアムウェイ・ビジネスの可能性についてはいかがでしょうか?
日本でのアムウェイ・ビジネスの可能性についてはいかがでしょうか?
日本の経済社会は伝統的に“商業蔑視”の傾向があります。
しかも同じ商業でも店舗販売か、そうでないかで社会的信用が違うことがあります。
店舗を持たないダイレクト・セリングというビジネスの形態は、ねずみ講などの悪徳商法と同一化され、悪いイメージをもたれやすいというデメリットがあります。
しかも外資系企業は一般的に本国で作っている製品の販売会社であることが多いため売上至上主義に走りやすく、それに対する反感も生まれやすいのです。
そこで私が感じたのは、あれだけの大きな規模で運営しているニュートリライトの農場のことを含め、アムウェイがメーカーであることをもう少し一般 に知らしめることが重要なのではないかということです。
ものづくりに対する創立者の誠実さやこだわりが生かされた生産体制を、ディストリビューター一人ひとりが認識し、それを一般 の消費者に伝えることが社会的信用を確立するために必要なのではないかと思います。
信用というものは一朝一夕に作れるものではありません。
けれども日本アムウェイには約100万組のディストリビューターと「買うだけクラブ」メンバーがいるのです。
この方々が一つひとつの出会いの中で築いていく信用が日本アムウェイの将来を築いていくのだと思います。
そしてその土壌はすでに日本にも存在しています。
日本の伝統的な訪問販売、「富山の薬売り」もまた、人と人との信頼に基づくダイレクト・セリングの一つの形です。
ネットワークによるマーケティングの仕方についてはどうお考えですか?
一般の消費行動というものは、広告や宣伝による情報から購入に結びつくわけです。
しかし現代のように情報過多に陥ると、どの情報を信じたらいいのか、消費者は判断基準を見失うことが往々にしてあるのです。
ところがディストリビューターによる販売というのは、広告を見て買う場合とは異なり、ディストリビューター自らが消費者として実際に使ってみた結果 を踏まえて消費者に勧めるものなので、ディストリビューターの言葉が製品を評価する根拠となるのです。
ディストリビューターは一般消費者との信頼関係を築きながら、じっくりと製品を長い間愛してくれる消費者を拡大していけるのです。
しかしそうは言っても消費者の嗜好は常に変化しています。
メーカーとしてのアムウェイは、よりよいものを求める消費者のニーズを素早く感知して、ニーズに合った製品をタイムリーに提供していくための努力が不可欠です。
そしてそこにもまたディストリビューターが大きな力を発揮するのです。
消費者とのインターフェイスとなっているディストリビューターは、消費者のニーズの変化をリアルタイムでくみ取ることができます。
市場での大きな力であるディストリビューターからの情報やニーズを、会社は誠実に受け止め、新製品の開発などに役立てていかなくてはなりません。
このような会社とディストリビューターの関係がより効果的に発揮できれば、このビジネスは将来大きく伸びるでしょう。
4. アムウェイは人が財産
アムウェイ・ディストリビューターにお会いになったことがあるそうですが、日本アムウェイのヒューマン・ネットワークについてお聞かせください。
アムウェイ・ディストリビューターにお会いになったことがあるそうですが、日本アムウェイのヒューマン・ネットワークについてお聞かせください。
2年前、諮問委員を引き受けた直後にナショナル・コンベンションに行きました。
そのときにたくさんのディストリビューターの方々にお会いしましたが、どの方もいい意味での社交性を持った明るい人たちでした。
こういう人々がアムウェイ・ブランドの信用の向上に貢献してくれれば、このビジネスは伸びていくだろうと感じました。
企業の理念はあくまでも人と人との接点から伝わるものです。
その意味で、ディストリビューターはアムウェイの大きな資産。
近年盛んに行われている企業のリストラは、企業のバランスシートをよくしようという試みです。
しかしここで検討されるのは物的、金融的資産ばかりで、人的資産というものは計上されないのです。
企業が伸びるかどうかは、その企業が抱える人的資産にどれほどの価値があるか、どれほどのポテンシャルを持っているかが重要な要素になるのです。
明るく前向きに、気持ちよく積極的に働いている社員がどれほどいるか、企業の中の人的資産がその企業の今後の成長の決め手です。
日本アムウェイの社員約500人に加え、約100万組のディストリビューターと「買うだけクラブ」メンバーはアムウェイにとって非常に大きな資産なのです。
日本アムウェイはディストリビューターの方々のニーズに誠実に応え、ディストリビューターは自信を持ってそれぞれのビジネスに当たられるといいと思います。
――ありがとうございました。