vol.24 大魔神の彼氏

テーマ:











直「臣…!」




何とも言えない空気になった時、

スタッフに呼ばれ、みんなが納得いかない顔で部屋を出て行く。







「みんな、先に行っててくれ。俺は後で行く」




ナオキさんは、部屋で立ち上がろうともせずそう告げた。

俺もメンバーに続き、部屋を出ようとした。





「臣、話がある」



と、ナオキさんに呼ばれた。




 





二人残った部屋に再び沈黙が流れる。







「あっこちゃんと別れたって、どういう事だ?」


「ナオキさんは朋さんから聞いてたんじゃ…」


「朋は関係ない。俺が聞いているんだ」


「……」




ナオキさんは、俺から視線を外さずじっと見ている。






「ずっと守ってくと言ってただろう?何があったんだ?あっこちゃんの怪我と何か関係しているのか?」





ナオキさんには正直に言わないといけない。

でも。




「無理に聞くつもりはない。臣が話すつもりがないならそれでもいい。だが…俺は二人が別れたことに納得がいかない」



「ナオキさん…俺、」






じっと見つめられ、

ナオキさんの存在に
ずっと鍵をかけていた思いをいとも容易く開けらた。




ナオキさんには全てを話しておかないといけない、と

俺は正直に話した。


前にあの女が関わった事から今回の事まで。








あの事故があってからずっと考えてた。

幸せな時間はいっぱいあった。

きっとあっこもそう思ってくれてる。


けど、それと同時に俺と付き合うこと、付き合う以前から構ってたことで辛い思いをさせてきていた。



あの女や、あの男。


俺といなければ、あんな辛い思いをすることはなかった。

傷つくこともなかった。
泣かせることもなかった。


俺といることで、辛い思いをさせるなら一度距離を置いたほうがあっこの身のためになる。


…いや、そんな生半可なもんじゃダメだ。

あの女がそれで納得するわけない。


あっこの為に、別れるのが最善策。




イヤだと泣いたとしても、あっこを守るためだからと言うしかない。

これしか俺があっこを守る方法はない。



勝手だとは思う。

別れたふりでも十分。
距離をおくだけでもよかったのかもしれない。

この俺の考えを話しても、
きっとまたあの女はそんな浅はかな魂胆などお見通し。

別れるしかない。


好きだからこそ。
愛しているからこそ。


守る為に、別れる。










あの女が出した条件は

あっこときっぱり別れること。


そして、よりを戻すこと。




そんな事してまで俺とよりを戻すとか、頭おかしいんじゃねぇの?

って言っても、



"どんな事をしてでも広臣が欲しいの"と言った。

"必ず、私に夢中にさせる"からと。




それを飲まなければ、何度でも繰り返す。


あの女は脅しのように笑ってそう言った。








せめてもの救いは、仕事場では会えると言うこと。


今までのような事は出来なくても、近くにいられるのならこれしかないんだ。




だから、あっこが嫌だといっても

受け入れてもらうしかない。



辛いけど、そうするしか…。







俺の思いも考えも全てをナオキさんに話した。



ナオキさんは神妙な面持ちで黙っていた。

 





「今の俺にはこうするしか守る方法はないんです…」



「本当に距離を置くだけじゃ駄目だったのか?別れなくても振りでもいいんじゃないのか?
なんで自らそんなイバラの道を選ぶんだ」



「あの女にそんなこと通用しないっす。現に怪我してますから…。ただでさえ限度を超えた行動をしてます。
俺、これ以上あっこを傷つけたくないんです」



「あっこちゃんは本当に納得したのか?」



「…俺の考えは言ってません。言ったらまた巻き込むことになるから。
ただ一言、別れようって言ったらあいつは笑って納得したんです。…受け入れてくれました。
それはそれで辛いけど、しょうがないです」



あっこだってこれ以上あの女にいちゃもんつけられるのは精神的に辛いはず。
なくなれば、負担だって減るはず。



まず俺は、

あの女と決着つけないといけない。

二度手出しさせないように。




あいつの要求を今は飲むしかない。








あっこならわかってくれる。

気持ちはぶれる事は永遠にない。






好きなのはあっこだけだから。







「…臣はそれでいいんだな?」


「はい、これが俺に今できる全てです」


「そうか…」


「あの女と決着をつけて全て終わったら、あっこに話します。それまで、俺は…あっこに…」


「決着って、何をするつもりだ?」





俺は、あの女と決着をつけるための決意を話す。


HIROさんと話したのあの事も。






「…それで上手くいくと思っているのか?」


「はい。これしかないと思ってます。
だから、今はあっこには辛いかもしれないけど、…冷たくあたらなきゃいけないって。
俺はきっぱり別れて未練なんてないって、あっこにもあの女にも…メンバーも周りのスタッフにもわからせなきゃいけないんです」



そんなこと、したくない。

更に傷つけるようなことなんかしたくない。



グッと手に力が入る。




「…だから、俺はあっこを遠目で見守るしかないんです。決着が着くまでは近くにはいられない。
その決着をつける日まで、皆であっこをフォローしてあげてください。お願いします…っ!!」





俺はナオキさんに頭を下げた。




「…わかった。臣がそう考えるのなら、俺たちは全力であっこちゃんをフォローしよう」





ナオキさんは、俺の話を聞き入れてくれた。




「俺、念には念を入れたいので…メンバーにはこの事は話しません。だから、ナオキさんも口外しないようよろしくお願いします」




メンバーを信じてないわけじゃない。

でも、どこからボロが出るかわからない。



もう一度、あっこと笑い合えるために俺は覚悟を決めた。









next…
AD