大人の方向け☆絵本・童話のような自作空想物語**

空想世界の自作の物語です。
読んで頂けたら嬉しいです**
  • 21Sep
    • おさるのもんちゃん

      空想世界の自作の物語です。読んで頂けたら嬉しいです**おさる の もんちゃん動物村に、子供たちが通う小学校がありました。そこに通う ご近所同士の、おさるの もんちゃん と らんちゃん。家が近い事もあり、毎朝、らんちゃんが、もんちゃんを家まで迎えに行き、一緒に登校をしていました。朝、らんちゃんが もんちゃんの家に行き、「おはよう」と 声をかけると、もんちゃんが 玄関にやってくるのですが、いつも らんちゃん 楽しそうに笑っています。毎朝 毎朝、楽しそうに笑っているのでした。もっと笑わせたいな♪もんちゃんは いつしか、楽しそうな らんちゃんを見て、もっとらんちゃんに 笑ってほしい。 そう想うようになりました。密かに らんちゃんに、想いを寄せていた もんちゃんは、毎日毎日、どうしたら らんちゃんが、もっと楽しく 笑ってくれるのか を、考えました。もんちゃんが、楽しそうに笑う らんちゃんの笑顔を、想像しては考えます。夕飯時にも、その事ばかり考えているもんちゃん。ついつい、お箸が止まってしまいます。「もんちゃん、どうしたの?しかめっ面して。美味しくないの?」ママが聞きました。「おいおい、もん。どうしたんだい?何を怒っているんだい?」最近 毎日のようにお顔が険しいもんちゃん。パパも 心配になってきました。『しかめっ面? 怒ってる?』『??』『ボクは一生懸命、らんちゃんが もっと笑ってくれるように、真剣に 考えているだけだよ!!』もんちゃんは、そんなふうに失礼な事をいう両親に、怒りが湧き上がりました。思わず、それが言葉に出るところでしたが、らんちゃんに想いを寄せていると、両親に 知られたら恥ずかしい。すごく恥ずかしい。もんちゃんは、止まったお箸を一気に動かして、ご飯をお口いっぱいに頬張り、「ごちそうさまでした」と 手を合わせ、それ以上何も言わずに、すぐさま、自分の部屋に行きました。『ん~。どうしたら もっと笑ってくれるかな~。楽しんでくれるかな~』らんちゃんの とても楽しそうな、笑った顔を想像するだけで、ついつい口元が緩み、にやにやしてしまいますが、すぐに現実に引き戻されます。早くアイディアを出さなくちゃ!らんちゃんを もっと楽しくさせたい。もっと笑わせたい♪♪もんちゃんは 考え続けました。だけど。もんちゃんが 考え続ければ続ける程、らんちゃんは なぜか、よそよそしくなっていきます。「もんちゃん、どうしたの?なんだか お顔が怖いよ。いつもの もんちゃん じゃないみたいだよ」らんちゃんからも、そう言われた事があります。『ボクは、らんちゃんが とても楽しそうに、笑ってくれるには 何がいいかな?と、ずっと考えているんだよ』想いを寄せているらんちゃんを目の前にして、恥ずかしくて、口に出して言えませんでしたが、「ボクの顔、怖い?」と、聞いてみました。「うん。いつもの もんちゃんじゃないみたいだよ」らんちゃんは言いました。いつもの もんちゃん じゃないみたいだよ。いつもの もんちゃん じゃない。いつもの ボク じゃない。ボク じゃない?。。。。。。そうか!!と もんちゃんは理解しました。『それは当たり前だよ!だってボクは、らんちゃんの為に、一生懸命考えて考えて、毎日考えて続けているんだから♪♪』『あれ? それって、もしかして、カッコイイってことかな?真剣なボクに きっと驚いているんだね♪』もんちゃんは、都合良く解釈して、そんなボク、カッコいいでしょ?と、言わんばかりに、更に真剣なお顔になっていきました。真剣に考えすぎて、険しくて怖くて 怒ってる顔になってるとは、全く思いも寄らずに。 ただ、『クールな カッコイイ ボクになっている』と、勘違いしているのでした。そうこうしているうちに、日にちだけが過ぎていきます。さて、もんちゃんは、らんちゃんが もっと楽しそうに、笑ってくれるようなアイディアが、浮かんだでしょうか?『まわりからどうしたの?』と 言われるほど、真剣に考えたのだから、浮かんでるはず。そう思いますよね?ですが、もんちゃん。考えすぎて。もっと楽しく 笑ってもらいたい気持ちが、強すぎて。強すぎて。あれもダメ、これもダメ、。。と、納得できずに、完璧を求めすぎて、全く決まらなかったのです。 『もっと楽しませるには?』『もっと笑ってもらうには?』『らんちゃんを もっと楽しませて、笑わせなくっちゃ!!』と いうプレッシャーと、勝手に もんちゃん、戦っていたのです。「はぁ~」朝起きて、食卓についた時、大きな大きなためいき が 出たもんちゃん。そんな大きなため息をつくもんちゃんに、パパもママも驚きました。「どうしたの?」もんちゃんに 尋ねるふたりの声が、重なり合いました。『想いを寄せる らんちゃんに、もっと楽しく 笑ってほしいんだけど、浮かばない』とは、恥ずかしくて言えない もんちゃん。『そうだ!』「ねぇ、パパ、ママ。らんちゃんは何をみて、楽しそうに笑うかな?」とだけ、聞いてみました。『らんちゃん、小学校に行くのにお迎えに来てくれるけど。最近 めっきり 笑わなくなった。しょんぼりしてるね』パパとママは ずっと思っていました。「らんちゃんは、もんちゃんのお顔が大好きなのよ」ママが言いました。「にっこり笑ったお顔をみせてあげてごらん。らんちゃん、とっても喜ぶから」パパが言いました。「さぁ、練習してみよう。にっこり笑ってごらん」パパとママの声が また重なり合いました。『らんちゃんの為なら なんだってやるぞ!』もんちゃんは、にっこり笑う練習を、パパとママにしました。パパとママ、楽しそうに笑ってくれましたよ。『らんちゃんは、もんちゃんのにっこり笑ったお顔、喜ぶよ』ふたりに言われて もんちゃんは、考えても考えても、勝手にプレッシャーだけが襲い、もう考えつかないので、『迎えにくる らんちゃんに、にっこり笑ってみよう!』パパとママの言うとおりに、することにしました。ドアが開き、らんちゃんが、もんちゃんを迎えにきました。らんちゃん、しょんぼりしています。「らんちゃん、おはよう!」もんちゃんは ありったけのにっこり顔で、笑って言いました。すると。らんちゃん、もんちゃんのお顔をみると、お顔がぱぁ~っと明るくなり、嬉しそうに笑い出しました。しばらくお腹をかかえて、大笑いしていました。『パパとママが言った通りだ!』もんちゃんは思いました。『とっても楽しそうに笑ってる♪♪』もんちゃん、大喜びです。『らんちゃん、ボクの事好きなのかな』『笑ってあげなかったから、しょんぼりして元気がなかったのかな』もんちゃん、自分が らんちゃんに笑ってあげたから、らんちゃん、とても楽しそうに大笑いしたと 思ったのでした。自分とらんちゃんが 楽しくお手々を繋いで、キラキラした瞳で、自分を見つめる らんちゃんまで、想像していました。もんちゃん、自分に都合の良いように解釈しています。本当にそうなのでしょうか?実は、もんちゃん。にっこりすると両頬に、かわいらしい深いえくぼができます。そして、前歯の乳歯が1本抜けている状態。にっこりすると、ぱっちりお目々が、ペンで1本線を引いたような細い目になり、目がなくなります。まゆも下がります。そして どうしてか、もんちゃん、おでこに、横じわまでも 2本入るのです。そんなもんちゃんのお顔、パパとママ以上に、らんちゃんには 面白おかしく、楽しくて、笑えてしまうのでした。憎めない かわいさで、心がほっこりして、笑顔になるのでした。久しぶりに また、もんちゃんのそのお顔を見られて、大笑い。らんちゃんに笑顔が戻ってきました。毎朝、らんちゃんにこのお顔をしていたのに、もっと楽しく笑ってもらおうと考え続けて、しかめっ面。それで、らんちゃん 笑わなくなっていったのです。そんな様子をもちろん、パパとママは知っていました。だから、アドバイスできたのです。だけどね。もんちゃんだけは 勘違いしています。もんちゃん、『自分が らんちゃんに、笑ってあげなかったから』は、合っていますが、もんちゃんに想いを寄せて ではなく、『面白おかしく、楽しくて、笑えてしまうから』『憎めない かわいさで、心がほっこりして、笑顔になるから』この違いは大きいと思いますよ。でも、せっかく、自分とらんちゃんが 楽しくお手々を繋いで、キラキラした瞳で、自分を見つめるらんちゃんを想像して、喜んでいるので、しばらくは、そのままにしておきましょうかね。勘違いといえども、想像して楽しむのは 自由ですから。そして、もんちゃんは、もっと楽しそうに笑ってもらえる事に、成功したのですから。fin(おわり)**

  • 18Sep
    • いつまでも一緒②

      いつまでも一緒①↑ クリック「マルちゃん、ママの死は悲しいね。だけど、皆、遅かれ早かれ いつか訪れるんだよ」「ママともうすぐお空で会えるよ」犬の長老はそう元気づけました。ですがマルちゃんは、ママに生きていてほしいのでした。『ママが死んだらお空で会える。でも、ママはとてもしあわせそうだった。だから、もっともっと生きてほしい』マルちゃんはそう願うのでした。犬の長老はなんでも知っています。「ほら、マルちゃん。あそこには、それぞれに自分の星があるんだよ」お空の上を指差して 犬の長老は言いました。マルちゃんが目を向けると、そこには無数の星が飾られていました。そこには、『マル』と書かれた、自分の星もありました。「あの星をママの元に持っていくと、ママの病気を治すことができる。だけどね。自分の星を他人に使うと、マルちゃん、マルちゃんはもう、生まれ変わることができないんだよ。それこそ もう二度とママと出会えないよ」犬の長老は、そう教えました。マルちゃんは、『生まれ変わったら、またママと一緒に暮らしたい。絶対ママと暮らすんだ☆』ずっとそう願ってきました。『自分の星を使うと、生まれ変わることができない。ママともう会えない』マルちゃんはそう思うと、悲しくて悲しくて、また泣きました。また まるちゃんのまわりに、涙の水たまりができました。ママは今夜が峠。もう時間はありません。マルちゃんは決心しました!「犬の長老さん、私の星を取ってちょうだい!」マルちゃんは、高いところに飾ってある、自分の星が取れないので、犬の長老に頼みました。「本当にそれでいいのかい?」「うん!」 マルちゃんの気持ちは変わりませんでした。既に夜になっています。犬の長老は、思いっきりジャンプをして、『マル』と書かれて飾ってある星を、口に加えて取り、マルちゃんに渡しました。「ありがとう!」マルちゃんは犬の長老と一緒に雲に乗り、大急ぎでママのいる病院へ向かいました。「ママ!!」雲に乗り、毎日ママを眺めていた時は、近くに行きたくても行けない。傍まで近寄る事はできませんでした。ですが、今日は、触れ合う距離にいくことができたのです。星の力なのかもしれません。「ママ、元気になってね。ママの笑った顔 大好きよ。優しいママ、大好き」マルちゃんはママの胸にそっと星を置きました。するとその星は、すぅーっと、マルちゃんのママの胸の中へ、吸い込まれるように消えていきました。息が荒くなっていたママの呼吸が、安定してきました。青白かった顔色も、血色が良くなり、戻ってきました。もうすぐ意識がはっきりして、目覚めそうです。「ママ、よかった。ママ、しあわせになってね。私はいつもママの心の中にいるから。いつも応援しているから」言葉と共に マルちゃんも、すぅーっとママの胸に、吸い込まれるように消えていきました。雲の上で、その様子をずっと見守っていた、犬の長老さん。マルちゃんがママの胸に消えていったのを、見届けると、お空に戻っていきました。お空に戻り、犬の長老さんは、 飾ってある自分の星を取りました。犬の長老さんの星は1番下に飾ってあり、ジャンプしなくてもすぐに取れました。お空に長くいるものは下。新しく来たものは、上に飾ると決まっていました。犬の長老は、取った自分の星を、『生まれ変わりボックス』と書いてある、箱の中へ入れました。「希望なし」と星に書いて。犬の長老さんは長い間、生まれ変わることなく、ずっと雲の上で暮らしていました。皆が、自分の星を取り、生まれ変わりボックスに自分の星を入れる姿を、幾度となくみてきました。ある者は、『犬にまたなりたい。』ある者は、『女のコで生まれたい』ある者は、細かく条件を書いて。自分の希望を星に書き、生まれ変わりを望んでいきました。マルちゃんはお空に来たばかりのコ。毎日、毎日、雲に乗り、ママに会いに行っていたコ。生まれ変わりを捨てて、自分の星で ママを救ったコ。マルちゃんのママへの深くて強い愛を、毎日見ていた犬の長老さん。『また生まれ変わり、愛というものを知るのも悪くないな。いや、知りたい』そう思ったのでした。犬の長老さんは、全てを委ね、あえて『希望なし』と書き、生まれ変わりボックスに、自分の星を入れました。地上のかけがえのない 誰かと出会う為に。愛というものを知るために。「愛を知るには、どんな経験をしていくのだろうか」犬の長老さんには 想像すらできません。光となって、地上へ降りていった犬の長老さん。犬の長老さんの経験の旅が、これから始まります。fin(おわり)**

    • いつまでも一緒①

      空想世界の自作の物語です。読んで頂けたら嬉しいです**いつまでも一緒大好きな大好きなママとお別れをして、お空に還っていった、ハムスターのマルちゃん。人間のママと一緒に暮らしていた毎日は、しあわせだったけれど。病気になってからは、体調が優れない日もあり、元気が出ない時もありました。ただ、ママの優しさにマルちゃんは、いつも救われていて がんばれました。しあわせでした。お空でのマルちゃんは、雲に乗り、地上の近くを訪れては、大好きな大好きなママの暮らしを眺めては、満足してお空に戻る。そんな暮らしを繰り返していました。そんなある日。いつものように雲に乗り、近くまで訪れた時。ママの姿を見つける事ができませんでした。次の日も、またその次の日も、マルちゃんがママと一緒に暮らしていた家に、ママの姿はありません。マルちゃんは、ママに会いたくて仕方がありません。『ママはどこ?』お空で長い間ずっと暮らしている、犬の長老に相談することにしました。犬の長老は なんでも知っています。「マルちゃん。それはマルちゃんのママが、その家を離れたということだよ」長老は優しく答えました。「なんで? なんでママは家にいないの?」その答えは、なんでも知っている犬の長老でさえも、わからない事でした。マルちゃんは次の日も、 雲に乗り、家のまわりを探しまわりました。必死にママの姿を探し続けました。『ママ会いたい!』ですが、見つけることができませんでした。お空の上で、悲しみに暮れるマルちゃんを見て、犬の長老は可哀想になりました。『なんとかして、マルちゃんのママを見つけてあげたい』犬の長老はお空の暮らしが気に入っていて、雲に乗り、地上を訪れることはありませんでした。そんな犬の長老でしたが、マルちゃんの為に、マルちゃんのママ探しを、手伝うことにしました。「マルちゃん。ママの匂いのついたもの、何か一緒に持ってこなかったかい?」「あるよ! 私の体には、ママの匂いがたくさんついてるの。ママはいつも私を手の平に乗せ頬を寄せて、大好きって優しい声で、言ってくれていたのよ!」「いい子ねって、頭を何度も撫でてくれたわ!とっても気持ちよくて、嬉しかった」まるちゃんは、『この匂いよ』と言わんばかりに犬の長老の鼻に 頭を近づけ、ママの優しさを思い出しながら言いました。犬の長老は、マルちゃんの体を、クンクン嗅ぎ始めました。そして、雲に乗り、ママ探しに出掛けていきました。犬はとても鼻が効くのです。きっとマルちゃんのママを、みつけることができるでしょう。数日後、犬の長老はマルちゃんのママを、見つけることができました。それは、病院でした。マルちゃんのママは、病気を患い、ずっと入院をしていたのです。今夜が峠。犬の長老はよく聞こえる耳で、誰かが、マルちゃんのママの話をしていたのを、聞いてもいたのです。それを聞いたマルちゃんは悲しみました。泣いて泣いて、マルちゃんのまわりに、涙の水たまりができました。犬の長老には、どうすることもできませんでした。②へ続く**

  • 15Sep
    • 宝石の万華鏡**宝石の花外伝③

      宝石の万華鏡**宝石の花外伝②↑ クリックどのくらい待ったでしょうか。 クモさんが声をかけ、アリさん親子が土の中から出てきた時。あたりは真っ暗になっていました。『こんなに真っ暗で楽しめるの?』アリさん親子は、クモさんに頼んだことを少し後悔しました。それを察したクモさん。「ほら、あそこを見てごらん」と、クモさんに会った時、クモさんが木の枝にいたそこを指差して、言いました。その木の枝をみると、クモの糸をその木の枝に繋げ、そして、木の枝の下には、クモの糸で編み込んだ宝石たちが、形づくられていました。クモさんは、万華鏡のようなデザインを、作り上げたのでした。真っ暗な夜に、色とりどりの形や大きさも違う、アリさん親子からもらった宝石と、 クモさんの糸で編みあげた、万華鏡のようなデザインが、キラキラ輝いて、とても綺麗です。クモさんの透き通る糸も、宝石の輝きで、キラキラと輝きが増しています。クモさんは、自分の作品に自信がありました。ですが。。。あらら。。。アリさん親子、無言です。感動もなければ、『楽しくないじゃないか! 』と、不満を言いたげな表情をしています。忘れていませんか?アリさん親子は、綺麗なものには興味はなく、 楽しいことが大好き。楽しむことが生き甲斐なのです。ですが、そんなアリさん親子を見て、クモさんはにんまり。「楽しいのはこれからだよ!ショータイムの始まり☆」高らかに声を上げると、クモさんが、万華鏡のようなデザインを編みこんでいる、いくつかのクモの糸を引っ張りながら、動かしていきました。するとどうでしょう!万華鏡のようなデザインが、クモさんが糸を動かしていく度に、違うアートデザインに、変わるではないですか!さまざまに変化する、キラキラ輝き放つそのデザインは、それはそれはすばらしく、見る者全てを魅了していきます。宝石の花に魅せられて、うっとりした鳥さんだったら、興奮して歓喜の声を出していたことでしょう。ですが、残念ながら、アリさん親子にはその素晴らしさは伝わらないようです。綺麗さには心を動かされず、全く興味がありません。。。。その時です。「すごいじゃないか!」「楽しいわ!」「何、これ! おもしろーい♪♪」アリさん親子から、口々に言葉が発せられました。アートデザイナーのクモさんは、にんまり。クモさんは、次々に、あちらこちら、引っ張る糸を変えては、デザインを変えていきます。アリさん親子は大きな声で笑い合っています。「これ、私達じゃない? すごいわ!面白いわ! 最高よ!!」お母さんアリは、あまりの楽しさに声を張り上げました。お父さんアリも子供たちも爆笑しています。いったい、何が起こったのでしょうか?実はクモさん。万華鏡のようなデザインの中に、アリさん親子のデザインも組み込んでいて、いくつかの糸を 巧みに引っ張る事で、動くアリさん親子を作っていたのです。アリさん親子は、自分たちの動く姿に大笑いしています。「クモさん、楽しませてくれてありがとう。またお願いしたら見せてくれるかい?」お父さんアリは聞きました。「もちろんだよ」クモさんは答えました。アリさん親子は、自分たちでやってみようとは、全く思いませんでした。自分たちで 全てできたらつまらない。できないからこそ楽しい。そんな気持ちを持っていて、木の枝にある万華鏡のようなデザインは、手に届きそうで、届かない距離にあるからこそ、それもワクワク感を高めてくれるのでした。『自分たちでできないから楽しめる』『できてしまったら つまらないじゃないか』そんなアリさん親子なのでした。アリさん親子は、とても楽しんで満足して、家に帰りました。そして、にんまりしたまま、寝床に入りました。しばらくすると、優しい風が、万華鏡のようなデザインを揺らしました。色とりどりの形や、大きさの違う数々の宝石が、クモの糸を通して、ほんの少し揺れます。クモの糸が揺れながら、宝石たちがちょっぴり触れあいます。すると、そこから、綺麗な音色が聞こえてくるのでした。これも、アートデザイナーのクモさんが、見据えていた事でした。『音が聞こえるよ♪』綺麗な音色には、全く興味を持たないアリさん親子ですが、初めての、新しい出来事に、ワクワクするのでした。それは寝床についたアリさん親子を、更に楽しませてくれるものでした。クモさんの糸は魔法の糸。クモさんのアイディアと、魔法の糸にかかれば、どんな作品も最高傑作になるのです。あら、遠くから、鳥の羽ばたく音が聞こえてきましたよ。暗闇ではっきり見えませんが、キラッと輝く小さな赤色の光りが見えます。あれは、宝石の花に魅せられた欲張りな鳥さん。遠くから、ピカピカ キラキラ小さく光る、万華鏡のようなデザインに魅せられ、いてもたってもいられず、子供たちを早く寝かしつけて、暗闇の中 訪れたようです。でも、残念。万華鏡のようなデザインを操作できるのは、クモさんだけ。クモさんは、次の仕事の依頼を受けて この地を離れ、しばらくは戻ってきません。欲張りな鳥さんは 形が変わるとは知らず、ただただ 風に揺れながら綺麗な音色を出す、変化しない万華鏡のようなデザインを、うっとりと見つめているのでした。形が変わる事は知らないのですから、欲張りな鳥さんにとっては、これだけでも、しあわせな事なのかもしれませんね。fin(おわり)**

    • 宝石の万華鏡**宝石の花外伝②

       宝石の万華鏡**宝石の花外伝①の続き↑ クリックさまざな形や色、大きさの、石の数は多すぎて、全てを運び終わるまで半日かかりました。既に辺りは暗くなってきています。アリさん親子はぐったり。『こんなことなら、石なんてそのまま放っておいて、新しい家(巣)を作っていれば、今頃は新しい家が完成していたはず。家の中でみんなで過ごし、笑い合って過ごしていたかもしれない』そんなふうにも思ったものでした。アリさん親子が、数々のたくさんの石を運び終わり、そこでぐったりして、土の上で休んでいた時。高い木の枝から クモさんが声をかけました。「やぁ、アリさん。そのキラキラ光る綺麗な宝石たちは、いったい どうしたんだい?」アートデザイナーの仕事をしている、クモさんの目が輝いています。「あら、クモさん。土の中にこの石が埋まっていて、わたしたちの家(巣)が作れないから、ここまで運んできたところよ」お母さんアリは、キツネさんの事は隠して そう答えました。「はぁー、疲れた」「楽しいことないかなー」「楽しいことがみつからないなんてつまらないよ」アリの子供たちは 口々にそう呟いています。そこでお父さんアリがひらめきました!「そうだ! クモさん! このたくさんの石たちで、何か楽しませてくれませんか?楽しませてくれるなら、この石たちを差し上げますよ」この石を見て、クモさんが目を輝かせていた事で、お父さんアリは、アートデザイナーの仕事をしている、クモさんにそう提案しました。 繰り返しますが、アリの親子は、全くこの宝石の価値を知りません。 興味もありません。クモさんは少し驚きながら答えました。「こんなにたくさんの希少な宝石を、譲ってくれるのかい?」アリさん親子はみんなで顔を見合わせて、「希少な宝石??」と、首を傾け、不思議に思いましたが、運ぶのにとても疲れていた事や、大好きなのは楽しい事なので、価値がある、価値がないよりも、クモさんのアートデザイナー力に、ワクワクしかしていませんでした。アリさん親子には、『クモさんは、わたしたちを、どんなふうに楽しませてくれるのだろう』その事しか頭にありません。キツネさんが、たくさんの宝石を蒔いている時に、にんまりしていたように、アリさん親子は、クモさんが楽しませてくれる事に、にんまりしているのでした。クモさんは、さまざまな色や形、大きさをした数々の宝石を、木の枝から見下ろしながら、しばらく考えを巡らせていました。「よし!決まったよ。これから作り上げるから、しばらく待っていて。最高に楽しませてあげるよ♪」クモさんの、アートデザイナーとしての腕がなります。あたりは、既に宝石を運び終え、クモさんと出会ってから、更に暗くなってきています。「楽しみにしているわ!それまでわたしたち家にいるから、出来上がったら呼んで♪」お母さんアリは、お父さんアリに、葉の雫で作った、お父さんアリの大好きな飲み物作りをしたり、子供たちにご飯を食べさせたり、何かと忙しいのです。アリさん親子の家(巣)は、キツネさんが壊した家以外にも、いくつか作って持っています。クモさんが呼んだら、すぐに顔を出せる家(巣)で、お母さんアリは家事に忙しいですが、お父さんアリや子供たちは、楽しみに、にんまりして待つことにしたのでした。③へ続く**

    • 宝石の万華鏡**宝石の花外伝①

      空想世界の自作の物語です。読んで頂けたら嬉しいです**宝石の万華鏡** ①~宝石の花 外伝~お天気の良い ある晴れた日。楽しいことを見つけに、お散歩に出掛けたアリさん親子が、キツネさんの姿を見かけました。キツネさんがキラキラ光るものを手にもち、それをパラパラ 土に蒔きながら、にんまりしています。にんまりしているキツネさんを見て、『そんなに楽しい事があるの!?』アリさん親子は、とてもワクワクしました。 楽しい事が大好きなアリさん親子。草むらの茂みに隠れて、キツネさんの様子をずっと伺っていました。ずっと、にんまりしたキツネさん。キラキラした光るものを蒔き終わると、にんまり顔のまま、足取り軽くスキップまでして、その場を立ち去って行きました。『あ~、楽しみだなー♪♪』その場を離れる時、キツネさんの独り言が聞こえてきました。『やっぱり 楽しい事があるんだ♪♪』楽しい事が大好きなアリさん親子。キツネさんの姿が見えなくなると、足早に、そこに向かいました。辿り着くと、キツネさんが蒔いていた土を、少し手で掘り返してみました。すると、そこから、キラキラ光るものが たくさん出てきました。赤、青、紫、黄色、緑。。。さまざな形や色、大きさの違う数々の石。「これはなんだろう?」「光っていて綺麗だけど、たったそれだけじゃないの」「楽しいものじゃないね」アリさん親子は残念がり、そのきれいな数々の石を、土の中に戻そうと思いました。実はこれ、花のように咲き誇る宝石でした。けれど、綺麗なものより、楽しい事が大好きなアリさん親子には、その価値が全くわかりません。「わたしたちの土地に、勝手に蒔くなんて失礼じゃないか」お父さんアリが言いました。「そうよね。せっかく土の中に、家(巣)を作ったのに台無しじゃない」頷いて、お母さんアリ。「苦労して家(巣)を作ったのに、また作り直さないといけないじゃないか!」大きく頷き合う子供たち。アリさん親子の気持ちは皆おなじ。おや?確か、キツネさんは自分の土地に蒔いたはず。(宝石の花**より)どうやら、アリさん親子の言い分は、キツネさんの土地は、土から上。アリさん親子の土地は、土から下だと思っているようです。『楽しい事じゃなかった!』キツネさんのにんまりに、騙されたと勝手に思ったアリさん親子は、「キツネさんが一言も言わずに、私達の土地に勝手に埋めていったんだもの」「蒔いて土の中にある、この石たちはわたしたちの物」「がんばって家(巣)を作ったのに、壊してひどいじゃないか!」アリの親子は 口々に文句を言い合いました。『楽しい事じゃなかった!』全くの期待外れだっただけに、家(巣)まで壊されて、怒りが収まりません。アリさん親子は、『土の下はわたしたちの土地』そう捉えて、この数々の石たちを、キツネさんが見えないところまで、運ぶことにしました。   ②へ続く**

  • 14Sep
    • 宝石の花**③

      宝石の花**②↑ クリック『鳥さんに、あのお花のような宝石が、みつかったのではないか!』『キツネさんが怪しんでいたので、鳥さんにお願いしたのかもしれない』『どうしよう?!』『暮らしていけなくなる。。』うさぎさんたちは大慌てです!!『何かよい策を考えなければ。。。』うさぎさんたちは 一生懸命考えます。その頃、鳥さんは、『疲れたわ。5粒では足りないくらいだった』と、ブツブツ文句を言いながら、キツネさんへ、見てきた事を一部始終、報告していました。キツネさんはニヤリとしました。『宝石を土に埋めると、お花のような宝石ができるんだな。』『宝石ができるのなら、わざわざワニさんたちにお願いして、はるばるうさぎさんの島へ行く必要は、ないじゃないか』『物々交換なんてバカらしい』『採れた宝石を 直接 宝石商に売ろう』早速キツネさんは まだ売っていない宝石を、自分の土地にパラパラと蒔きました。3日が過ぎました。うさぎさんの島ではなにやらある一カ所の土が、キラキラ光っていましたが、キツネさんの土地にはありません。4日、5日、1週間が過ぎ、うさぎさんの島では、キラキラ光っていた一カ所の土が、広範囲でキラキラ輝き始めました。そして、キラキラ光った透明な角のようなものが、あちらこちらに見えて、このキラキラ光った透明な角のようなものは、宝石だということがわかりました。けれどキツネさんの土地には、まるで変化がありません。1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月経っても、何も変わりませんでした。その頃、うさぎさんの島では、イルカさんたちが率いる船が訪れていました。船から降りてきたのは、クマさんです。うさぎさんたちの新しい仕事相手は、クマさんです。物々交換をクマさんに、してもらうことにしたのでした。キツネさんとは反対方向です。キラキラ光るものが大好きなクマさんたち。時に、クマさんが団体で、このうさぎさんの島を、訪れるようになりました。それは、宝石でできたお花を見る為。うさぎさんたちは、『宝石の花』という観光地にもすることで、暮らしを安泰させる事に成功したのでした。その頃、キツネさんは、いくら待っても宝石の花にならず、すっかり諦めてしまいました。『あの島でしか 、雨と一緒に宝石は降ってこないのだから、お花のような宝石が、ここでできるはずがないんだ』確かに、キツネさんの言うとおり、うさぎさんの島でしか、宝石の花はできません。ですが、キツネさんの土地では、アリさんがこっそり協力しあって、土に埋めてある宝石を、持っていってしまっていたのでした。キツネさんは知るはずもありませんが、どちらにせよ、宝石の花は、できることはありませんでした。うさぎさんの島でしか、宝石の花ができないとわかると、キツネさんは、いつものように、ワニさんたちにお願いして、うさぎさんの島で物々交換をしました。うさぎさんたちは キツネさんから、クマさんから、宝石の花の観光地としても、実りある暮らしになり、更に安泰になったのでした。うさぎさんは、島から一歩も出る事ができないのに、どうやってクマさんと、仕事の取引ができたのでしょう?それは、キツネさんに、うさぎさんの島の様子をこっそり、伺ってくるようにお願いされた鳥さんが、『宝石の花』に魅せられて、再びうさぎさんの島へ降り立ったからでした。うさぎさんに見つかっても、うっとり見惚れている鳥さん。鳥さんはとてもおしゃべりで、キツネさんにお願いされてきたことを、全部話してしまったのでした。キツネさんが怪しんでいた事に、勘づいていたうさぎさんたちは、鳥さんにお願いして、反対方向のクマさんとの取引の交渉の仲介に、入ってもらったのでした。キツネさんにお願いされた時、5粒も宝石を要求した欲張りな鳥さんが、なぜ快くうさぎさんのお願いを聞いたのか、わかりますか?「『宝石の花』を、いつでも無料で見に来てもいいよ」この言葉に、鳥さんは快く引き受けたのでした。遠かろうが、宝石の花を見る為だったら、距離は関係なく思う鳥さんのようです。いつまでもうっとりしてやまない、『宝石の花』が忘れられないようです。鳥さんは欲張りなので、子供たちも連れてきて、子供たちの入館料も、いつも無料にしてもらったのでした。fin(おわり)**

    • 宝石の花**②

      宝石の花**①↑ クリックそれから。。。次に 久しぶりに雨が降った時、止んだ翌日に宝石を採るうさぎさんたちは、赤、青、紫、黄色、緑。。。色とりどりの宝石を1粒ずつ残し、ワニさんが誘導する、木の船で訪れるキツネさんと、物々交換をした後、その各1粒ずつを 島の土に埋めてみました。すると、土からあちらこちらと数を増やし、芽を出し、お花のような宝石ができました。うさぎさんたちは、滅多に降らない雨を待たずとも、宝石を手に入れ、生活をしていけるようになりました。この島は、野菜や果物を作ろうとしても育たず、唯一、雨と一緒に降ってくる宝石が、この島のうさぎさんたちの収入源、生活の基盤となっていたのです。次の物々交換の日。キツネさんは物々交換の時、うさぎさんたちの様子が、いつもと違う事に気づきました。そして、キラキラ光っている、なにやら宝石のような輝きの一面を、遠くでみかけると、うさぎさんに聞いてみました。「あの遠くに綺麗に光っているのは、なんだい?」うさぎさんは、思いがけない事を聞かれて、あたふた。「そ、そうかい?キツネさんの気のせいじゃないかな。きっと太陽の照り返しだよ!」そう答えました。キツネさんに、『土に埋めれば たくさんの宝石が採れる』と 知れたら、『キツネさんも自分の土地で試すだろう』そうしたら、物々交換ができなくなり、この島のうさぎさんたちは、暮らしていけなくなります。慌てたうさぎさんの様子をみて、キツネさんは怪しみました。『きっと何かあるに違いない』そう考えましたが、とりあえず、このまま素直にワニさんたちと、この島を引き上げる事にしました。ワニさんたちの身に付けているネックレスに、1粒宝石が増えていました。前回と同じワニさんたちが送迎したようで、前回の島の往復賃で貰った、宝石1粒が増えていたのでした。キツネさんは帰りの木の船の中で、『さて、どうしたものか』と、考えを巡らせていました。『そうだ!鳥さんに様子を見に行ってもらおう!』キツネさんは思い立ち、陸に上がると、家に帰る途中、鳥さんに声をかけました。「鳥さん、お願いがあるんだけど、聞いて貰えるかい?」「あら、キツネさん、お願いってなにかしら?」「うさぎさんの住む島の様子を、見に行ってもらいたいんだよ」「嫌よ。あの島は遠すぎて疲れちゃう。ワニさんに頼めばいいじゃない」鳥さんは断りました。「見つからないようにこっそり、様子を伺いに行ってほしいんだよ!この宝石1粒あげるからお願いだよ」キツネさんはまたお願いしました。「私と子どもたちの分、5粒くれたら見に行ってあげるわ」欲張りすぎたかしら?と思いながら、鳥さんは交渉しました。キツネさんは少し考えましたが、『うさぎさんのあの慌てようには、必ず何かあるに違いない!』『もっと儲かる何かがあるのではないか』と思い、鳥さんに宝石を5粒あげて、うさぎさんの島の様子を、伺いに行ってもらうことにしました。交渉成立です。鳥さんは5粒の宝石をもらい、それをワニさんと同じように、宝石職人のリスさん夫婦にお願いをして、ネックレスにしました。鳥さんは、赤色の宝石のネックレスをつけると、嬉しそうに、そのまま、うさぎさんのいる島へと向かいました。うさぎさんのいる島は遠くて、小さな体の鳥さんには、疲れる距離でもありました。鳥さんは疲れてきて、往復する体力までは残っていない為、うさぎさんのいる島へ、休憩がてら降り立ちました。そこで、鳥さんが目にしたものは、ところどころ広がる数々の数えきれない、お花のような宝石。鳥さんは そのキラキラ光る宝石にうっとり。長らくうっとりしすぎた後、ハッと我に返りました。『こっそり見つからないように、偵察しなければいけなかったんだわ』すっかりそれを忘れていた鳥さん。『キツネさんの知りたがっていた事は、このお花のような宝石の事だわ』思い立ったように、うさぎさんのいる島を飛び立ちました。その時、お空に赤くキラッとした光を、見つけたうさぎさん。それは鳥さんの赤い宝石のネックレス。鳥さんの姿を目撃してしまいました。この島は遠く、乗り物がないと来れない事もあり、誰も訪れることはありません。目撃したうさぎさんは、他のうさぎさんたちに、鳥さんが来ていた事を聞かせました。③へ続く**

    • 宝石の花**①

      空想世界の自作の物語です。読んで頂けたら嬉しいです**宝石の花** ①宝石がたくさん採れる島がありました。そこは、昔からずっと、うさぎさんたちが暮らしている島。夜、久しぶりに 島に雨が降りました。うさぎさんたちは それぞれに、木と草でできた家の中に入ったまま、外が見える隙間から しばらく降り続く雨を、嬉しそうに楽しみに 眺めていました。しばらくしても、雨はなかなか止みません。どの家のうさぎさんも、雨が止むのをやがて諦めて、眠りにつきました。翌朝。昨日の止まない雨が嘘のように、晴天になりました。それを待ち望んでいたかのように、どの家のうさぎさんたちも、草で編んだ大きな籠をそれぞれ持って、一斉に外へ駆け出しました。おや? みんな、地面にかがむような姿勢で何かを取って、それをどんどん、編んだ草の籠に入れていきます。うさぎさんの手から離れ、籠の中に入る一瞬に見える“それ”は、キラキラ輝いています。赤、青、紫、黄色、緑、透明。。。いつからなのかは、島に暮らしているうさぎさんたちにも、わからないようですが、この島は、雨が降ると一緒に、宝石も降ってくるようなのです。それは とてもとても綺麗な宝石の数々**この島に雨は滅多に降りません。雨が降ると、宝石が採れるので、うさぎさんたちは、雨が止むのを、心待ちにするようになったのでした。お昼になると 島の向こうから、2匹のワニさんが見えてきました。その後ろには木の船が見えます。2匹のワニさんが、尻尾に太い頑丈な紐を木の船にくくりつけて、その船を誘導しているようです。うさぎさんたちの島に着き、船から降りてきたのはキツネさんです。キツネさんは、船からたくさんのお水や食料、暮らしに必要なもの、必需品を降ろして、出迎えたうさぎさんと物々交換をしました。うさぎさんの両手には、大きな大きな草で編んだ籠の中に、今朝みんなで採った宝石が入っています。キツネさんはそれを受け取ると、籠の中の宝石に目を輝かせて、にんまりするのでした。そして、その中から2粒取り、2匹のワニさんに、1粒ずつ、島の往復賃としてあげるのです。ワニさんは、数粒の宝石のついた、ネックレスをしています。キツネさんの送迎をしては、宝石を1粒ずつもらい、集めては 宝石職人のリスさん夫婦に頼み、ネックレスに組み込んでもらっているのです。雨が止んだ午後に、必ずキツネさんは訪れます。その日に、宝石を手に入れられると、知っているからです。そして、いつも物々交換をしていくのです。キツネさんが、ワニさんの誘導する木の船に乗り、帰るのを見届けると、うさぎさんたちは一斉にその場に集まり、お水や食料、必需品をそれぞれ貰っていきます。1番最後に残ったうさぎさん。貰って家に帰ろうとした時、足元に、キラッと光を感じました。『なんだろう?』かがんでみると、そこには1粒、透明なキラキラ光る宝石が落ちていたのです。草で編んだ籠から、1粒こぼれ落ちたようです。うさぎさんはその宝石を拾いあげると、キラキラ光る綺麗な宝石を眺めました。どうしたものかと考えましたが、まだ家の中に入っていないうさぎさん達と、相談をして、なくさないように、次の物々交換の日まで、土の中に隠しておくことにしました。それから 3日が過ぎ、なにやらある一カ所の土が、キラキラ光っている事に、うさぎさんたちが気づきました。『太陽の光の反射でそう見えるのかな?』そう思っていたうさぎさんたち。 4日、5日、1週間が過ぎ、キラキラ光っていた一カ所の土が、広範囲でキラキラ輝き始めました。そして、キラキラ光った透明な角のようなものが、あちらこちらに見えています。みんなで集まり、かがんで眺めてみると、このキラキラ光った透明な角のようなものは、宝石だということがわかりました。あちらこちらに、土から宝石が見えているのです。驚いたうさぎさんたち!『なぜそうなったのだろう?』と、みんな不思議に思いました。そして、草の編んだ籠から1粒こぼれた透明な宝石を、次の物々交換の日まで、土に埋めておいたことを思い出したのです!1粒の宝石が数を増やし、芽を出し、お花のように、あちらこちらと咲き誇ったのでした。またまた驚いたうさぎさんたち!次に雨が降り、宝石が収穫できたら、土に埋めて育てよう♪♪そう決めたのでした。②に続きます**

  • 11Sep
    • 魔法のお菓子 ~子ぐま物語~

      空想世界の自作の物語です。読んで頂けたら嬉しいです**魔法のお菓子 ~子ぐま物語~ライムの森の外れに、くまの親子が住んでいました。外でお父さんぐまは一生懸命畑仕事をしています。そのまわりで、こぐまのティムが遊んでいました。家の中では、お母さんぐまのハミングが聞こえてきます。エントツから、煙がもくもくと立ち上っています。あら、とてもいい香りがしてきましたよ。『ごはんですよ~』家のドアを開けてお母さんぐまが言いました。『はーーい』ティムは元気な声で返事をして、家の中へ入ろうとしました。それを見ていたお父さんぐまは、『こらこら。手を綺麗に洗ってから家に入りなさい』と、優しくティムを叱りました。ティムはそうだった!と舌をペロッと出すと、急いで外で手を綺麗に洗い、そして家の中に入りました。『いただきーす』ティムの元気な声で食事が始まりました。だけど、テーブルの上の食事に目を落とすとティムは、スプーンを口に加えたまま、食べようとしません。『どうしたの?』心配したお母さんぐまが聞きました。『せっかくの温かいスープが冷めてしまうぞ』スープ皿をティムの前に少し押しやり、お父さんぐまは言いました。それは野菜のたっぷり入った、美味しそうなスープです。けれどティムは食べようとしません。『どこか具合でも悪いの?』お母さんぐまは聞きました。『ううん』スプーンを口に加えたまま、ティムは静かに首を振りました。お父さんぐまとお母さんぐまは、不思議そうに顔を見合わせました。ティムはおずおずと口を開いて『ぼく野菜食べたくない』そう言うと、体を縮こまらせました。『いつも食べてたじゃない。好き嫌いはだめよ。食べなさい』お母さんぐまは言いました。『やだよ』野菜たっぷりのスープではなくて、違う物を食べたかったティムは言いました。お父さんぐまは困り果てて、ティムのスープに目を落とし、『おいしいから食べてみなさい』そう言いました。『いやだ。野菜なんて大嫌い!』ティムは口に加えていたスプーンを、テーブルの角にぶつけて、家を飛び出していきました。食べなさい ばかり言われて、ご機嫌斜めになってしまったティムでした。夢中で家を飛び出してきて気づくと、ティムは、ライムの森の中にいました。『はぁ、疲れた』夢中で走ってきたものだから、ティムは疲れてしまいました。それと同時に、ティムのお腹から、ぐるる~~~と大きな音が聞こえました。『お腹空いたよ~』ティムはお腹が空きすぎて、元気が出ません。力尽きたかのように、ペタンと座り込んでしまいました。当たりは、お花畑が一面にあるだけで、食べるものなどありません。ティムは長い溜息をつきました。『どうしたの?』」その時、どこからか声が聞こえてきました。ティムは驚いてあたりをキョロキョロ見渡して声の主を探しました。『あ!』ティムは声をあげました。ティムのみつけた声の主は、小さな妖精さんだったのです。その小さな妖精さんは、お花の上にかわいらしく座って、微笑んでいました。『お困りのようね』妖精さんはにこにこ微笑みながら言いました。『お腹が空いてぺこぺこなんだ』切なそうな顔をして、ティムが言いました。ぐるぐるぐる~~~。お腹の虫がまた暴れました。『私がお菓子の国へ連れて行ってあげるわ』妖精さんはにっこり微笑むと、羽を広げてティムの手を取って飛び立とうとしました。『待って、ぼく飛べないよ』ティムは慌てて言いました。すると妖精さんは、大丈夫よと微笑みました。その瞬間、妖精に連れられてティムは飛んだのです。なんだか体が急に軽くなったような気分です。それもその筈。ティムの背中には大きな羽が、いつの間にかついていたのです。『すごいや!』ティムは喜びの声をあげました。ティムは、妖精さんに連れられて羽ばたきながら、森の奥深くまで進んでいきます。『お菓子の国はどこ?』待ちきれずティムは聞きました。ぐるぐるぐる~。お腹の虫は正直です。『もう少しよ』妖精さんはにっこり微笑みました。『ほら、みえてきたわ』『わぁ、すごい』ティムは歓声をあげました。目の前には、食べるのがもったいないくらいの、素敵なお菓子の国があるのです。家も木々もお花畑も地面までも、全てお菓子で作られていました。ティムはごっくんと唾を呑み込みました。『さぁ、たくさん食べて』妖精さんは、お菓子の花の上に、ちょこんと座って言いました。ティムは、どれも美味しそうに見えて、どこから食べようか迷っていましたが、お腹が空きすぎて、目の前にある、お花畑からムシャムシャ食べ始めました。お菓子はティムの大好物でした。ですが、なぜかティムにはおいしく感じません。ティムは不思議そうに首を傾げました。『どうしたの?』妖精さんが聞きました。『みんなぼくの大好きなお菓子なのに、ちっともおいしく感じないんだ』妖精さんはクスッと笑いながら言いました。『このお菓子の国には、心のこもった愛情はないもの』ティムは妖精さんの言葉がよくわからなくて、また首を傾げました。『あなたのお父さんは、心をこめて畑仕事をしているのよ』妖精さんは言いました。それを聞いてティムは、いつだったか昔お父さんぐまに聞いた時のことを思い出しました。『ねぇ、お父さん。毎日毎日畑仕事をして疲れないの?』『疲れるよ。だけどね、おまえたちに、おいしい野菜を食べさせてあげたくて、心を込めて作っていると、疲れなんて自然と忘れるものだよ』そして、『お父さんの楽しみはね。とれたての野菜を、おいしそうに食べてくれるみんなの顔さ』妖精さんは言いました『あなたのお母さんは、心を込めてお料理を作っているのよ』それを聞いてティムは、いつだったか昔お母さんぐまに聞いた時のことを思い出しました。『ねぇ、お母さん。毎日毎日お料理を作っていて、嫌にならないの?』『楽しいわ。だってあなたたちに、おいしいお料理を食べてもらいたいから、心を込めて作っていると、自然とハミングまで出ちゃうもの』そして、『お母さんの楽しみはね。おいしそうに食べている時のみんなの顔』ティムはとても心が痛くなりました。『あなたのご両親が作ってくれたものには、たくさんの心のこもった愛情が、はいっているのよ』妖精さんは微笑んで言いました。『うん。どうしてこのお菓子の国が、おいしくないのかわかったよ。お父さんお母さんが作ってくれたものが、おいしくないわけないんだ』ティムは反省しました。『戻りましょう。あなたの家へ』『うん』ティムは妖精さんの言葉に頷きました。妖精さんはティムの手を取ると、羽を広げて、来た道を戻っていきました。もちろん、帰りもティムの背中には、大きな羽がついていましたよ。妖精さんとティムが、お菓子の国から遠ざかると、お菓子の国はあとかたもなく、消えてなくなっていきました。これは妖精さんのかけた魔法だったのです。ライムの森の入り口まで来た時です。入口の方から、ティムを呼ぶ声が聞こえてきました。『ティムー ティムー』その声はだんだん近くなってきました。『お父さんの声だ!』そうです。家を飛び出していったティムを心配して、探しにきたのでした。『おとうさーーん』ティムは、まだ見えないお父さんぐまに向かって、叫びました。その瞬間、ティムの背中についていた大きな羽が消えて、ティムの体はすとんと地面に落ちました。妖精さんの姿も、気づくと消えていました『ティム』お父さんぐまは、ティムをみつけると駆け寄ってきて、ティムを強く抱きしめました。『心配したんだぞ、ティム』お父さんぐまは、ティムの頭をわさわさ撫でながら、笑顔で言いました。『ごめんなさい』ティムは謝ると、お父さんぐまにしっかりと手を握られ、一緒に家へと歩きだしました。ライムの森を抜ける間、ティムは何度も何度も後ろを振り返りました。『どうしたんだい?』後ろばかり振り返るティムに、お父さんぐまは聞きました『なんでもないよ』ティムはにっこり微笑んでそう答えましたとうとうライムの森を抜けた時です。ティムは振り返ることなく、小さな声で呟きました。『妖精さん、ありがとう』ティムは妖精さんがどこかで自分をみていて、微笑んでいてくれているように思えました。家が見えてきました。エントツから、煙がもくもくと立ち上っています。あら、お母さんぐまの、きれいなハミングが聞こえてきていませんよ。いったいどうしたのでしょう。『ただいまー』ティムの元気な声が、お母さんぐまに聞こえてきました。お母さんぐまが玄関へ行くと、お父さんぐまと手を繋いだティムの姿が、ありました。今まで沈んでいたお母さんぐまの顔が、ぱっと明るくなりました。『ごめんなさい』ティムがうつむいて、少しもじもじしながら謝りました。お母さんぐまはムシャムシャっと、ティムの頭をなで、『お父さんと遊んできなさい』そう外を指さして言いました。『はーい』ティムは元気に返事をすると、今度はティムがお父さんぐまの手を握って、外へ遊びに出ました。しばらくすると、家の中でよい香りがしてきましたよ。とってもきれいな、お母さんぐまのハミングも聞こえてきます。お母さんぐまは焼き具合を見るために、オーブンの中をのぞき、そして、紅茶をいれる準備をしている頃です。ほら、もうすぐドアを開けて言うはず。『おやつの時間ですよー』それはティムの大好きなアップルパイ。fin(おわり)**

  • 08Sep
    • 赤い帽子

      空想世界の自作の物語です。読んで頂けたら嬉しいです** 赤いぼうしあるところに、まみちゃんという女の子がいました。森の中で、どうやらお花を摘んでいるようです。するとどこからか、赤いかわいらしい帽子が、まみちゃんの頭の上に落ちてきました。『かわいらしい帽子。でも誰のかしら?』『きっと今頃この帽子を探しているんだわ』まみちゃんはそう思い立つと、その赤い帽子を持って、持ち主を探し始めました。はじめにあったのはうさぎさんです。『ねぇ、うさぎさん。この帽子を被った女の子見なかった?』まみちゃんは、ウサギさんに赤い帽子を見せて聞きました。『いいえ見なかったわ。それより耳が痛くて我慢できないの。見てくれる?』うさぎさんは言うと、まみちゃんに長いお耳を見せました。うさぎさんの長い耳には、痛々しく、とげが刺さっていました。まみちゃんは痛くないように、やさしくそのトゲを抜いてあげると、どんどん森の奥へ進んでいきました。すると今度はきつねさんに会いました。『ねぇ、きつねさん。この帽子を被った女の子見なかった?』まみちゃんは、きつねさんに赤い帽子を見せて聞きました。『もっと森の奥でみかけたよ。それよりお腹が空いてぺこぺこなんだ。ぼくに何かくれないかい?』きつねさんは切なそうにして言いました。まみちゃんは、ポケットからキャンディを取り出して、きつねさんにあげました。もっともっと森の奥へ進むと、赤い帽子を被ったお人形さんをみつけました。どうやらきつねさんは、このお人形さんと間違えたようです。まみちゃんは、落ちていたそのお人形を大切に抱いて、もっと森の奥までずんずん歩いていきました。その次に会ったのはライオンさんです。『ねぇ、ライオンさん。この帽子を被った女の子見なかった?』まみちゃんは、ライオンさんに赤い帽子を見せて聞きました。『あぁ、見たよ。でも大人だったよ。それよりこの手袋を取ってくれよ。暑くて暑くて我慢できないよ』ライオンさんは言いました。まみちゃんは、ライオンさんの手から手袋を取ってあげると、聞きました。『どこで見たか教えてくれる?』『ごめん、忘れたよ。もっと奥へいくと、熊の親子がいるから聞いておくれ』まみちゃんは森の奥へ奥へと進みます。そして熊の親子を見つけました。『ねぇ、くまさん。この帽子を被った女の子見なかった?』まみちゃんは、くまさんに赤い帽子を見せて聞きました。『えぇ、みたわよ。でも帽子は被っていなかったわ。それより、この子が泣きやまなくて困っているの』母くまに抱っこしてもらっている小くまが、何か欲しそうに訴えて泣いていました。まみちゃんは、先ほど拾ったお人形を子熊にあげました。すると、気に入ったみたいで、子熊はすぐに泣き止み、お人形を持ちながら、すやすやと眠り始めました。『どこで見たのか教えてくれる?』『奥で見たわよ。』まみちゃんは、森の奥へずんずん進んでいきます。すると、女の人が何かを探していました『あの、あなたの探しているのは、この赤い帽子ですか?』背を向けている女の人に聞きました。女の人が振り返りました。するとどうでしょうか。まみちゃんが聞いた女の人は、まみちゃんのママだったのです。まみちゃんのママは、まみちゃんに赤い帽子を買ってきてくれたのでした。ところがその帽子を、鳥が持って行ってしまったのです。それからまみちゃんは、ママが買ってくれた赤い帽子を被って、仲良くママと帰っていきました。その夜まみちゃんは夢をみました。それはきっと素敵な夢だったでしょう。fin(おわり) **

  • 05Sep
    • 時の空間を超えて(2)

      (1)からの続きです。時の空間を超えて(2)(1)~(2)まで。おじいさんは長椅子にゆったりとくつろいで、目を伏せたまま、ぽつりとつぶやきました。『私はもう100歳。いつ天に召されるかわからんのう』あぁ、おじいさん。そんな悲しいことをおっしゃらないでください。おじいさんは近頃、よくこんな言葉をつぶやくのです。私はそれを聞くたび、胸が張り裂けんばかりに痛むのです。『あぁ、どうにかしておじいさんを若返らせてあげたい!』私のこの想いは募るばかりです。『時をねじまげておじいさんを過去のおじいさんに戻してあげたい』そうすれば時の空間を超えて、おじいさんを若返らせることができるのに。。。。柱時計である私には、それができるのです。簡単なことで、自らの意思で私の時計の針を逆回りに回せば、時は過去へさかのぼるのです。私はおじいさんの為に是非そうしてあげたい!けれど時の空間を超えることは、我々時計にとっては固く禁じられている、鉄則とも言える行いなのです。『柱時計や、私の誕生日を祝っておくれ』いつの間にかおじいさんは、私の目の前に立っていて、片手にワイングラスを持っていました。そして、そのワイングラスを高く掲げると、『私の100歳の誕生日に乾杯じゃ』おじいさんは私に笑いかけて、私である柱時計にワインをかけてくれました。そして静かにおじいさんは長椅子に戻って、ゆったり座ると、グラスにワインをついで、長椅子をゆらゆら揺らしながら、ワインを味わっていました。ワインは私の錆びついた体に、じわじわとしみ込んできます。『あぁ、おじいさん。私の誕生日も今日なんですよ』私はそうおじいさんに教え、祝ってもらいたかった。おじいさんが生まれた日に、柱時計である私が連れてこられたので、赤ん坊だったおじいさんは、きっと覚えていないでしょうね。けれど生まれたてだった時計たる私は、きちんと覚えているのです。でも時計は話すことができません。ですからおじいさんに教えてあげることは、残念ながらできないのです。私の体の中までワインがしみ込んできました。私はおいしいワインを、心の底まで味わいつくしました。『ボーン ボーン』 おや、まだ鐘を鳴らす時刻ではないのに、鳴らしてしまいました。あぁ、私はどうしてしまったのでしょうか。目がぐるぐるまわっているのです。部屋の中が私を中心に、ぐるぐるまわりはじめています。『もう2時なのかい』ワイングラスをもてあそびながら、おじいさんは言いました。私が2度鐘を鳴らしたものだから、おじいさんは、お昼の2時だと思ってしまったのです。『違います!』私は叫びましたひっく ひっく。。。一体どうしたというのでしょうか。しゃっくりまで出てきてしまいました。ドクンドクンドクン。。。私の胸の鼓動は、早さを増す一方です。ひっくひっく ドクンドクン ひっくひっく ドクンドクン。。。あぁ、なんだかとてもいい気持ちに、なってきました。体がふわふわして、心が軽くなってはずみます。おじいさんがかけてくれたワインに酔ってしまったようです。とってもいい気持ちです。ふわふわふわふわ夢心地。あぁ、なんだか無性に落ち着いていられません。無性に振り子の鐘を鳴らしたい。ならし。。たい。なら、し。。た。。。い『ボーン ボーン ボーン。。。』私はとうとう我慢できずに、鐘を数十回ともなく連続して鳴らしてしまいました。私はふわふわ夢心地。振り子の鐘をボーンボーン鳴らしましょう。ついでに時計の針も、ドーンと動かしてしまいましょう。針をぐるぐる。逆戻りにぐるぐる。部屋の中はぐるぐる。おじいさんを囲んでぐるぐる。ぐるぐるぐるぐる。。。おや?私の目が、ぐるぐるまわっていると思っていたら、どうやら今は違うようです。逆回りの時計の針は時の空間を超えて、おじいさんの部屋が歪んだまま、ぐるぐるまわり続けています。私は鉄則を破って、時の空間を超えてしまったようです。けれどもうそんなことはどうでもいい。今はふわふわ夢心地になっていたい。時計の針はぐるぐるぐるぐる逆戻り。あぁ、懐かしい。おじいさんの部屋が、昔へと昔へと戻っていきます。今はもう古めかしくなったおじいさんの部屋が少しずつ少しずつ過去へと戻り、新しい部屋へと移り変わっていきます。あぁ、懐かしい!!そうだ!私がはじめておじいさんと会った日の今から100年前をもう一度みてみたいっ。私はふわふわ夢心地のままそう思いました。そして私は更に時の空間を超えて、猛スピードで100年前へと針を進めました。おじいさんの部屋は、一段と新しく生まれ変わっていきます。私は既にワインに酔いつぶれ、自制心を抑えられなくなってきました。チリーン。家のドアにつけてある鐘がなりました。階段を上がってくる、軽やかな足取りが近づいてきました。アンヌさんが帰ってきたのです。あぁ、もう少しで100年前に戻って、赤ん坊だったおじいさんがみられるのに。もう少しで もう少しで もう少し ほんの少し。。。『おじいさん、見て。素敵な柱時計をプレゼントするわ』アンヌさんは高らかな、嬉しそうな喜びの声をあげて、おじいさんの部屋のドアを勢いよく開けました。おじいさん私はとても幸せです。最後に天使が舞い降りてきたかのような、100年前の赤ん坊だったおじいさんが、みられたのですから。最後におじいさんを若返らせて、赤ん坊にしてあげることができたのですから。時の空間を超えてしまうとどうなるのか、ようやくわかりました。『アンヌさん、今度はあなたが、おじいさんを育ててあげてくださいね』私は時の空間を超えてしまったため、永遠の眠りにつかなければなりません。私は、ゆらゆらゆりかごのように揺れている長椅子ですやすやしあわせそうに眠っているおじいさんである赤ん坊をしっかりと見つめました。まるでそれは、天使が舞い降りてきたかのようです。私はしっかりとその天使のような寝顔を、もう一度脳裏に焼き付けました。さようなら。アンヌさん、赤ん坊になったおじいさんに、柱時計をプレゼントしてくれてありがとう。きっとおじいさんと共に、歩んでいってくれるでしょう。さようなら、おじいさん。よかったですね。共に年を重ねていく柱時計と出会えて。『おじいさん忘れないでください。共に100年間生きた私、柱時計のことを。』あぁ、神様ありがとうございます。最後に最後に時計である私に、言葉を話させてくださいまして。きっと赤ん坊であるおじいさんの、心の奥底に、私の言葉をとどめておいてくれるでしょう。私の100歳まで生きた運命は、素敵な宝物でした。脳裏に焼きけた、おじいさんである赤ん坊の寝顔は、永遠の眠りについても、忘れることなど決してないでしょう。さようなら『ボーーーーーン』fin(おわり)**

  • 04Sep
    • 時の空間を超えて(1)

      空想世界の自作の物語です。読んで頂けたら嬉しいです**時の空間を超えて(1)(1) ~(2)まで。『おじいさん、町までいってきますね』孫娘アンヌさんは、おじいさんの部屋のドアから少し顔を覗かせると、にこやかに微笑んでそう伝えると、歌を口ずさみながら、階段を軽やかな足取りで下りていきました、チリーン。ドアにつけてある鈴が鳴りました。アンヌさんが家を出た合図です。めったに歌など口ずさまないアンヌさんが、今日に限って、なぜ楽しそうに歌を口ずさんでいるのか、私は知っています。アンヌさんは幼い頃から、ずっとおじいさんとふたりっきりで暮らしていました。幼い頃アンヌさんは、早くも両親と死に別れてしまい、おじいさんに引き取られて、とてもかわいがってもらっていたのです。そんな心優しいおじいさんが、アンヌさんは大好きでした。おじいさんは今日でちょうど、100歳の誕生日を迎えました。今日この日の為にアンヌさんは、少しずつお金を貯めて、大好きなおじいさんの為に素敵な誕生日プレゼントを、町まで買いに出掛けに行ったのです。そんな100歳の誕生日を迎えたおじいさんは部屋の中で、お気に入りの長椅子にゆったりとくつろいで、ゆりかごを揺らすように、長椅子をゆらゆら揺らしながら、静かにまぶたを閉じていました。静かにまぶたを閉じておじいさんは、何を考えているのでしょうか。おじいさんと共に、生きてきた私にはわかります。おじいさんは100歳の誕生日を迎えて、100年間この家で過ごしてきた日の、様々な古き思い出を懐かしんでいるのです。あぁ、私も思い出します。生まれたての私がこの家へ、生まれたばかりのおじいさんの部屋へ、おじいさんの誕生日プレゼントとして連れてこられたちょうど100年前のことを。あぁ、私はとても大切なことを、みなさんに言い忘れていましたね。私自身のことを。私はおじいさんを心から慕っている、おじいさんと共に100歳の誕生日を迎えた、柱時計なのです。私には、生まれたばかりの純粋無垢な赤ん坊の寝顔が、まるで天使が舞い降りてきたかのようで、その赤ん坊の寝顔を今でもはっきりと、私の脳裏に焼き付いています。100年の年月とは、時が経つのが遅いようで早いものですね。あの時の赤ん坊が、100歳の誕生日を迎えたのですから。誰が100歳まで長生きできると、憶測できたでしょうか。いいえ、誰もできなかったでしょう。もし憶測できた者がいたとするならば、それは全ての運命を定めることができる、神様だと私は思います。そんな神様に私はとても感謝しています。いいえ、感謝しきれないくらいですよ。だって私は、おじいさんと共に無事100歳の誕生日を、迎えることができたのですから。神様はおじいさんと私に『長寿』という宝物を与えて下さったのです。私はアンヌさんと同じで、おじいさんが大好きです。おじいさんとアンヌさんが仲良くしていると、たまにやきもちらしいものをやきますが、そこは私が、だてに年をとったのではないところで、心を落ち着かせ、動揺せずに決して怒ったりしません。おじいさんとアンヌさんが仲良くしている時はこう考えるのです。『おじいさんと私は共に年を重ねて、長い年月の絆で結ばれている。その絆は血の繋がったアンヌさんでさえ、決して超えられない絆なんだ』と。そしてこうも考えるのです。『おじいさんは昔からずっと私に、とてもやさしくしてくれる』とも。私はそう考えるだけで満足していますし、やきもちらしいものをやいたとしても、その気持ちはなくなっていきます。現におじいさんは、私に優しく、かわいがってくれるのです。毎日かかさず柱時計である私の体を、綺麗に拭いてピカピカにしてくれます。けれど100歳を迎えた私の体は、とてもさびついていて、おじいさんが一生懸命私に息を吹きかけて、時間を指すガラス張りのところを、丁寧に拭いてくれても、私の体は、どうしようもなく曇ってしまうのです。その度におじいさんは、私に優しい言葉をかけてくれるのです。『とてもよく働いてくれているからだよ。私の為にありがとう』柱時計である私が働いてくれていると思ってくれて、私はとても嬉しいのです。働いているのは人間だけではないのです。動くもの全てが様々に働き方は違うけれど、きちんと働いているのですよ。そのことをおじいさんは、わかってくれていました。私は分け隔てなく、平等に見てくれるおじいさんが大好きです。(2) へ続く**

  • 02Sep
    • 精霊の涙

      空想世界の自作の物語です。読んで頂けたら嬉しいです**精霊の涙とある小さな町の外れに、とても美しい湖がありました。その美しさは、綺麗に透き通っていて、くもりひとつなく、湖の底がはっきり見えるくらいの綺麗さでした。あまりにも透き通っていて、湖の底がはっきりと鮮明に見えるものだから、浅い湖だと勘違いする町人が、たくさんいました。お日様にあたると、湖の水面はきらきら輝き、それはため息の出るような美しさでした。その美しさに、この湖には、清らかで純粋な精霊が宿っていると、町人たちで伝えられていた程です。現に、この湖には精霊が住んでいました。町人たちの言い伝え通り、清らかで純粋な女性の精霊です。そんな精霊には、とても深くて大きな悩みがありました。この湖には透き通る美しさがあります。お日様にあたるときらきらと輝き、ため息の出るような美しさもあります。その美しさに魅了され、この湖を訪れた町人はつい、この湖のきわまで来て、つい両手を入れて触れたくなるのです。湖の水をすくい、手に取ってみたくなるのです。そこまでは良いのですが、両手ですくった湖の水が、また湖へこぼれだして戻るとき、町人は湖の底に目がいきます。透き通っていてはっきりと見える底。はっきりと見えるものだから、浅いだろうと勘違いしてしまう綺麗すぎる湖。あまりにも綺麗な湖に魅了され、町人はその湖に入りたくなるのです。『浅いから大丈夫』そう勘違いして入ってしまうと、深くて深くて底に足がつかず、底を求めて立とうとすると、底なし沼のように、ぶくぶくと沈んでしまうのでした。町人がその湖から、戻ることはありませんでした。清らかで純粋な湖の精霊は、そんな町人たちに悲しくて涙を流すのでした。その涙は止まらず、1日中泣き続けるのでした。その悲しみの涙は、美しく、清らかで純粋な涙。湖の水となり、きらきら輝きながら入っていくのでした。町人が訪れる度に、精霊は声をかけるのでした。『この湖に入ってはだめよ』町人の耳に、精霊の声は届きません。『この湖はとても深いの。危険だから入ってはだめよ』たまに精霊の声が聞こえる町人がいました。けれど、気のせいだと思う者。声が聞こえて驚いて、その場を走って立ち去る者。そんな町人たちばかりで、食い止めることは出来ませんでした。驚いてその場を走って立ち去る者は、助かったのでは?と思いますよね。ですが、あまりにも綺麗な湖に誰もが魅了されるので、気になって途中で引き返して、戻ってきてしまうのです。そんなある日。男の町人がこの湖を訪れました。この町人もこの湖に魅了されました。湖の精霊は声をかけました。『この湖の底はとても深いの。入ったらだめよ』町人は、目の前にいる美しい女性に驚きました。湖の水面に立っているではないですか。『あなたはいったい?!』あまりにもありえない光景に、町人はなんて声をかけてよいのか、わかりませんでした。驚いたのは、町人だけではありません。湖の精霊も驚きました。今まで声が聞こえた町人はいたけれど、姿の見える者は誰もいなかったからです。『わたしはこの湖に住む精霊です。この湖を見つけて入ろうとする町人が、たくさんいます。この湖の底はとても深いのです入ってはいけません。戻れなくなります』湖の精霊はそう伝えました。初めて意思疎通ができる者が訪れたので、気持ちが高ぶり、今までの、底に沈んでいった町人を思い出してしまい、悲しくて、涙が溢れ出してきました。その涙は止まらず、ずっと泣き続けていました。美しく綺麗な清らかで純粋な涙。町人は、精霊が流す美しい涙に魅了され、泣き続ける精霊を、しばらく見つめ続けていました。やがて、ハッと我に返った町人が言いました。『あなたはいつも泣いているのですか?』湖の精霊は答えました。『湖の底に沈んでいく姿を見ると、悲しくて1日中泣いています。あまりにもたくさんの者が犠牲になり、わたしはとても悲しくて泣き明かしています』湖の精霊はまた思い出しては、涙を流し、泣き続けるのでした。町人は、湖の精霊の流す涙を見て気づきました。『聞いてください、湖の精霊さん。あなたの涙が、この湖を作ったのではないですか?』綺麗に透き通っている湖と、清らかで純粋な精霊の流す涙が、同じだと気づいたのです。清らかで純粋な精霊が流す涙が、この透き通っていて、綺麗な湖を作り出していたのです。湖の精霊は思い出しました。最初は小さくて浅い湖だったことを。小さくて目立たなかったため、誰も訪れてくれず、さみしくて1日中泣き続け、いつしか小さいけれど、深い深い湖になっていったのでした。清らかで純粋な精霊の涙でできた湖です。『わたしはどうしたらよいのかしら?』精霊は悲しみ、泣き続けました。町人が言いました。『泣くのはおやめなさい。湖の精霊さんの気持ちはとてもわかります。さみしかったのですね。かなしくなったのですね。でも、もう大丈夫ですよ。わたしがあなたに喜びをあげます。楽しさをおしえます。だから泣かないでください』湖の精霊はとてもうれしくなり、泣くのをやめました。自然に涙がとまっていきました。今までなぐさめてくれる者や、助けてくれる者、喜ばせてくれる者など、湖の精霊にはいなかったのです。いつもひとり。孤独でした。『明日必ずまた訪れます。泣かないで待っていてくれますか?』町人はそう聞きました。湖の精霊は静かに頷きました。翌日、町人が約束通り、湖の精霊の元を訪れました。『湖の精霊さんにお友達を連れてきましたよ』そう言って町人は、後ろに連れてきた、たくさんの鳥たちを、湖へ誘導しました。鳥たちはとても綺麗で広い湖に喜んで、跳びはねて入っていき、楽しそうに泳ぎ始めました。嬉しそうな鳥たちの鳴き声も聞こえてきます。湖の精霊はとても喜びました。今までひとりぼっちでかなしくてさみしくて泣いていたけれど、自分の住む湖に、楽しそうに喜んで、遊んでくれるお友達がたくさんできたのです。静かに静まりかえっていた湖が、いっきに楽しく賑わい始めました。『ありがとう』湖の精霊は町人に、喜んでお礼を言いました。そして、こう付け加えました。『あなたになにかお礼がしたいけれど、わたしは何も持っていないの。どうしたらよいかしら?』町人は答えました。『あなたが笑って楽しんでくれることが、なによりの私へのプレゼントです。喜んでいることが、なによりの私へのプレゼントですよ。そんなあなたを見ることができて、わたしはとてもうれしいのです』『またいつか会えますか?』湖の精霊は聞きました。『すぐに会えますよ』そう言った町人の姿が、突然、鳥に変わりました。町人は人間の姿を借りた鳥だったのです。普通の鳥ではなく、精霊たちを見守る役目を担った、特別な鳥です。特別な鳥は、自分で見守る精霊を選べます。この湖には、見守ってくれる特別な鳥が訪れてくれなかったのです。町人に姿を変えていた鳥は、森の精霊を見守る役目を終えたばかりで、しばらく人間に姿を変えて、過ごしていたのでした。偶然にも、この湖へ辿り着いたのです。人間に姿を変えていた特別な鳥は、かなしみと孤独で泣いてばかりいた、この湖の精霊を、見守ることに決めたのでした。湖の精霊もとても嬉しそうです。その後。特別な鳥はこの湖を離れることはなく、精霊を見守る役目を担いながら、いつも一緒にいます。特別な鳥と、特別な鳥が連れて来た、たくさんの鳥たちによって、湖の精霊は、かなしみの涙を流さなくなりました。孤独を味わうこともありませんでした。そして、鳥たちで賑わう湖に訪れた町人が、湖の中に入ることは二度とありませんでした。fin(おわり)**

  • 01Sep
    • うさぎのしあわせな暮らし

      空想世界の自作の物語です。読んで頂けたら嬉しいです**うさぎのしあわせな暮らし遥か遠くまで見渡せる程の広い草原に、一羽のうさぎさんがいました。うさぎさんは毎日草原で、ひとりでのんびり過ごしています。そんなうさぎさんに、優しい風がふわりと通ります。『ボクの頬を優しい風が通る。ふわりと体を優しく撫でてくれる。気持ちいいな~』毎日風さんが優しくしてくれるので、うさぎさんはしあわせいっぱいでした。けれど、そんなしあわせな気持ちは続きませんでした。毎日風さんのおかげで、のんびり、しあわせに過ごしていたうさぎさん。いつしかそれが当たり前になっていき、風さんにワガママを言うようになりました。『風さん、もっと強くお願い。今日はそんな気分なんだ』すると風さんは、いつもよりもっと強い風をうさぎさんに吹きました。『風さん、昨日はちょっと強すぎたよ。今日はもうすこし優しくして』『風さん、今日はふんわり優しい風がいいな~』こんなふうにうさぎさんは、風さんにワガママばかり言うようになっていったのです。『うさぎさん、甘えてばかりいないでよ!』とうとう風さんは怒って言いました。そして、それから、うさぎさんの願いを聞くことはやめて、風さんは自分の好きなように、毎日風をうさぎさんに吹かせました。強い風の日もあれば、弱い風の時もあります。風さんの気分次第で変わるようになりました。そんなある日。うさぎさんは、吹き飛ばされそうな、とても強い風を受けました。『これは大変だ!!吹き飛ばされてしまうよ!!』身の危険を感じて、なんとかしなければいけないと思いました。そして、今まで風さんは自分のために、優しくしてくれていたのだと気づきました。『風さん今までありがとう。ボクがんばるよ!』うさぎさんは風さんに今までの感謝を伝え、動き出しました。遠くの木々から、太い枝や木の葉っぱを分けてもらい、それで家を作り始めました。作った家の下には、土を掘り地下を作りました。とても強い風が吹いたら、いつでも避難できます。そうしてうさぎさんは、風の強さや弱さによって、草原にいたり、家に入ったり、地下に避難したりして、暮らすようになりました。風がとても強い日は、うさぎさんの家を草花が囲むように、うさぎさんの作った木の家を守ってくれるようになっていきました。『草花さんありがとう』うさぎさんは感謝を忘れませんでした。この暮らしに落ち着いてくると、木の家が自分1羽では広くて、さみしく感じるようになっていきました。『そうだ! お嫁さんをみつけてこよう!』うさぎさんは、風さん、草花さんたちに、『しばらくこの草原を離れるけど、ボクの家をよろしくお願いします』そう伝えて、旅に出ました。うさぎさんのお願いに、風さん、草花さんたちは、快く引き受けてくれました。どのくらいの時が経ったのでしょうか。涼しい秋から寒い冬を越し、暖かな春が訪れ、しばらく経った頃。遥か遠くまで見渡せる程の広い草原に、風さんと草花さんたちに守られた木の家に、二羽のうさぎさんがいました。あのワガママだったうさぎさんが、お嫁さんを連れて帰ってきたのです。あら、木の家から、小さなうさぎさんたちも出てきましたよ。一羽だったうさぎさんに、たくさんの家族ができたのでした。うさぎさんは、毎日風さんや草花さんたちに話しかけては、『いつもありがとう』そう感謝を伝えるようになっていました。風さんのおかげでワガママがなくなり、自分で動くことを知り、草花さんたちのおかげで家が守られ、しあわせに暮らせています。風さんと草花さんたちのおかげで、家族ができました。うさぎさんは毎日、感謝の言葉を伝えるようになりました。いつしか、最初は遥か遠くまで見渡せる程の、広い草原だった大地は、一羽のうさぎさんから、二羽のうさぎさんになり、二羽のうさぎさんから子供が生まれ、その子供たちが大きくなると、新しい木の家を作り、お嫁さんを迎えるようになりました。そして、子供たちが生まれ、またその子供たちが大きくなると木の家を作り、新しい家族ができて、それぞれに住むようになっていきました。一羽のうさぎさんしかいなかった広い草原に、今はたくさんのうさぎさんたちで賑わい、楽しく暮らしているのでした。風さんも草花さんたちも、楽しく暮らしているうさぎさんたちと一緒に、毎日お話をするようになり、助け合いながら暮らしているのでした。そして、うさぎさんは、太い枝と葉っぱを分けてもらった、遠くにいる木々さんにも、木の家で住めるようになり、家族が増えたお礼を忘れずにいるのでした。fin(おわり)**

  • 31Aug
    • 黄色い猫(=^_^=)(6)

      黄色い猫(=^_^=)(6)(1)から続いているお話です。トントン夕方を過ぎた頃、母親はみーにゃおのお部屋のドアを、せかすように強くノックしました。『はい』とても元気になったみーにゃおの声が、お部屋の中から聞こえてきました。母親は勢いよくドアを開けると、『ママの作った夕ご飯は食べないんでしょ』と、子供のようにふくれて言いました。『みーにゃおのかくれんぼに挑戦しようじゃないの』そして母親は憤然とした態度で言うと、窓辺のそばに立っているみーにゃおには目もくれず、お部屋の中をさっと見渡しました。これが昼間、母親の言っていた考えでした。『まずベッドの下』母親ははりきると、自分の頭を、みーにゃおのベッドの下にもぐりこませます。『いないわ、次はタンスの中よ』みーにゃおの姿が見えないのを確認すると、母親はベッドの下からすばやく抜け出て、タンスの引き出しを、1つ開けては1つ閉めて。。。を繰り返して、みーにゃおを探しました。『待ってなさいな。必ずみつけてあげるんだから』母親は意地になっています。次はどこを探そうかと必死になって母親は、みーにゃおの部屋中を睨みつけていました。『ボクは窓辺のそばだよ、ママ』すぐ見える場所にいるのに、みつけられず、ムキになっている母親がおかしくて、みーにゃおは明るい笑い声を立てて、母親に教えました。『ヒントを与えてくれるの?』母親は部屋中を探している目の焦点を、ゆっくりと窓辺のある自分の真正面に向けると、目をパチパチさせました。(どうして隠れてもいないのにわからなかったのだろう?)夢でも見ているかのように驚きました。母親はかくれんぼをしていると思い込んで探すことに必死で、お部屋の中の見える部分に全く気にかけていませんでした。母親はみーにゃおにニッコリ微笑みかけると、上機嫌で言いました。『ママの勝ちね。あなたはかくれんぼを放棄したのだから』そして少し首を傾けると、『考えたわ!』と、良い案をみつけたかのように叫びました。みーにゃおは、母親の突然の叫びに驚いて聞きました。『な、なぁに?』母親は、『悪い子はお尻ペンペン』と言って、みーにゃおのお尻を叩きました。『ママァー、許してーーー』みーにゃおは泣き叫んで、必死になって母親に謝りました。『許しません!!』母親はみーにゃおのお尻を、ペンペンと叩き続けます。『みーにゃおが困らせてばかりいるから、ママの髪に白髪ができちゃったのよ』母親は涙ぐみました。みーにゃおがかくれんぼをやめなかった後、何気なく母親が鏡を見た時のことです。母親の髪に白髪が一本生えていて、大きなショックを受けてしまったのです。『みーにゃおが悪い子になるからよ』ペンペンペンペン母親はみーにゃおのお尻を叩き続けます。『エーン エーン』みーにゃおは更に大きな声で泣き叫びました。みーにゃおはとてもかわいそうです。だって、おしおきをされるようなことは何もしていないのですから。それはお星様から分け与えてもらったきれいにかがやく光のとりまきのせい。そして、母親の髪に白髪ができてしまったのも、決して、みーにゃおのせいではないと思いますよ。**☆お星様は夜空に瞬きながら、つぶやいていました。『いやぁ~よかった。うん、よかったよ』と、お星様の光に負けないくらいに、ニッコニコ微笑みながら。『あの子猫に光を分けてあげた分、ぼくの光が弱まるなんて知らなかったもの』お星様が、いやぁ~よかった。うん、よかったよと、何回も何回も、その言葉を繰り返していたのには、そういう理由があったのですね。『あの子猫が、ぼくの光を返してくれて助かったよ』お星様はほっと安心したように言いました。『そういえば、あの子猫の名はなんていったっけ?』お星様は2度も聞いた名前を、すっかり忘れてしまっていました。『きっとそのうち思い出すさ』お星様は簡単にあきらめて、きれいな光を保つため、自分の体を丁寧に丁寧に磨きあげていました。『ピッカピカ🌟』きれいに磨きあげると、お星様は、自分の光と他の数々のお星様の光とを比べて、密かに満足しました。『ぼくの光は、星一』そして何かを思い出したかのように、お星様はにこやかに微笑みながら、問いかけるように言いました。『君も地上からぼくを見て、そう思ってくれるだろ、ねっ?みーにゃお』fin(おわり)**

    • 黄色い猫(=^_^=)(5)

      黄色い猫 (=^_^=)(5)(1)から続いているお話です。『やぁ、こんばんは』突然みーにゃおに、誰かが挨拶をしました。みーにゃおは自分の姿が見えないショックで、石のように固まって動きませんでした。『やぁこんばんは』また挨拶が聞こえてきました。突然きたまぶしすぎる光を受けて、みーにゃおは、ハッと我に返りました。突然訪れた訪問者は、みーにゃおに光を分け与えてくれたお星様でした。それと同時に、日の光に溶け込んでいたお星様の光が、みーにゃおの体をきれいにかがやく光が、とりまいているのに気づきました。『こんばんは』(もう夜なのか)と思いながら、みーにゃおは挨拶を交わしました。その挨拶は全く元気がありませんでした。『どうしたの?』お星様は首を少し傾げて聞きました。みーにゃおは目を開けていられないくらいのまぶしすぎるお星様を必死に見て、『夜はお星様の光で眠れないんだ』と、こんなつらいめに合わせたお星様を責めるように言いました。お星様が、悪いわけではないのはわかっているのですが、とてもつらいめにあったみーにゃおは、どうしても言わずにはいられませんでした。お星様は気にしていないようで、落ち着き払った様子で、『ぼくたち星の仕事は夜だからね』と言いました。みーにゃおはとても興味を持ちました。『お星様の仕事って?』お星様は自慢そうにエヘンと咳ばらいをして、『ぼくたち星の仕事は地上のみんなに、夢の贈り物をすることさ』と、得意気に言いました。みーにゃおはとても感心しましたが、自分をとりまく光に目をとめると、『お日様の出ている時間は、自分の体が見えないんだよ』と、切なそうに訴えました。『お日様が出ている時間は、ぼくたち星の休憩時間なのさ』お星様は説明しました。『ぼくたち星は、お日様の光に溶けこんで、すやすやお昼寝しているのさ』『日光浴?』みーにゃおは軽く首を傾げました。するとお星様はコクンと頷いて答えました。『地上のみんなは、日の光に当たっているから元気なのさ』お星様の言いたかったことは、お日様は地上のみんなに元気になる素を、与えてくれているということでした。みーにゃおは肩をすくめて言いました。『お星様とは違うもの。ボクはお星様の言う、贈り物をもらう地上のみんな』お星様はニッコリ笑って言いました。『君の言う通りさ』お星様は微笑みながら頷きました。『元の君に戻してあげるよ。目をつむって10数えてごらん』お星様の言葉に、みーにゃおは大きく頷くと、目を閉じて10数え出しました。『。。。。。10』10数え終わると、みーにゃおは、恐る恐る目を開けました。『鏡を見てごらん 元の君さ。 じゃあね、えーと。。。。』『みーにゃおだよ』『みーにゃお』お星様はそう言って挨拶をすると、上機嫌になって夜空へ戻っていきました。『いやぁ~よかった。うん、よかったよ』何度も何度もその言葉を繰り返して。みーにゃおは、自分が元の姿に戻ったことを喜んでくれたのだと思い感謝しながら、夜空へ帰っていくお星様を見送っていましたが、待ちきれずに全身の映る鏡の前に立ちました。きれいにかがやいていた光は、鏡をのぞく前にも、みーにゃおをとりまいていないことを、みーにゃお自身、感じていることでした。とりまいていた、きれいにかがやく光は、みーにゃお自身とてもまぶしく感じられていましたが、今は全く信じられないくらいに、みーにゃおがまぶしいと感じた光は、ひとかけらもみーにゃおをとりまいておらず、まぶしくもなんともないのです。みーにゃおは心をワクワク躍らせて、鏡をのぞきこみました。『元のぼくだ』みーにゃおの大きなガラス玉のような目が、元に戻ったうれしさによって、キラキラ輝きました。『ボクにはお星様のような、きれいにかがやく光はないけど、キラキラかがやく瞳を持っている』みーにゃおは、鏡に映った自分のキラキラしている瞳を見て、つぶやきました。『みんなそれぞれに、すてきな宝物をもらっているんだ。決して他の宝物を、よこどりしてはいけないんだね』みーにゃおは、この日の出来事でそう学んだのでした。(5)へ続く**

    • 黄色い猫(=^_^=)(4)

      黄色い猫 (=^_^=)(4)(1)から続いているお話です。トントンお昼頃になり、母親は、みーにゃおのお部屋を軽くノックしました。『は。。い。。』泣きじゃくった声がお部屋の中から聞こえてきて、母親はみーにゃおが、大夫懲りているのがわかり、上機嫌でドアを開けました。『お昼ごはんの時間ですよ』母親の声はとてもやさしく、一言一言が丁寧でした。けれど、自分の姿が見えないショックに、みーにゃおは立ち直れずに、ふさぎ込んでいました。『さぁもう許してあげるから出てらっしゃい』自分の勝ちだと確信した母親は、見えない我が子を目の前にして、ニッコリ微笑みました。『かくれんぼはもう終わりにしましょ』母親は優しく言うと、かくれんぼをやめて、自分の目の前に姿を見せるみーにゃおをじっと待っていました。けれどいくら待っても、みーにゃおは、母親の目の前には姿を見せませんでした。本当は、母親の目の前には、元気をなくしたみーにゃおがいるのですが、日の光に溶けこんでいるので、母親には見えないのです。次第に母親は、いつまでも姿を見せないみーにゃおに苛立ってきました。『かくれんぼの続きはお友達としなさい!』とうとう怒ってしまった母親は、やり場のない怒りを床へもっていき、足をダンダンと2回踏み鳴らして、みーにゃおをひどく叱りました。『ボクはママの目の前にいるのにな』みーにゃおは元気なさそうに、ポツリをつぶやきました。『ママには見えないだろうね。』(だって自分さえも見えないんだもの)みーにゃおはこの言葉を呑み込みました。『まぁ!!ママがいくら年をとったからと言って、老眼鏡をかける程年老いていませんよ』何を勘違いしたのか母親は、老眼鏡をかけなければいけないくらい年老いて目が悪くなり、それでみーにゃおの姿が見えないと言っていると、突拍子もない思い違いをしてしまい、我が子の言葉に傷ついたのでした。けれど、まさかそんなことを思っていたなんて知らないみーにゃおは、母親の言ったわからない言葉を気にとめずに、『お星様から光を分けてもらうんじゃなかった』そうひたすら後悔していました。それに対して母親も、我が子が、何を言っているのか全く見当もつかずに、頭を悩ませながら、『まだママは若いのよ!!』そう自分に言い聞かせるように、力を込めてみーにゃおに言いました。ただひとつだけ確実になりえることは、『ママはあなたのために苦労を重ねて、白髪になる日もきっと近いわ』ということで、母親は頭をおさえながらため息をつきました。みーにゃおはそんな母親を伺いながら、『ボクは白髪になった方がはるかに嬉しいな。だって、自分の姿はみえるもの』と言いました。母親は深刻な顔をして、しばらく考えていましたが、ため息をつくと、『みーにゃおを見つけられなかったママの負け』と、両手を上げて、『お手上げポーズ』を取ると、お部屋のドアを開けて振り向いて、『とうとう隠れている子猫を見つけられませんでした』そう言い残すと、ドアをそっと閉じて出ていきました。『ママが降参してもかくれんぼをやめないのなら考えがありますからね』母親はつぶやくと、あれこれと考えをめぐらせて、ゆっくりと歩いていきました。(5)へ続く**

    • 黄色い猫 (=^_^=)(3)

      黄色い猫 (=^_^=)(3)(1)から続いているお話です。日が昇り始めると同時に、やっとみーにゃおは、眠りにつくことができました。みーにゃおは気づいていませんが、自分をとりまいている、きれいに光かがやくお星様の光が、日の光に溶け込んできたのです。ですから、みーにゃおは、まぶしすぎて、眠れないことなどもう心配する必要もなく、ぐっすり眠りに落ちました。けれど、みーにゃおが眠りにおちたのも束の間。朝を迎え、母親がみーにゃおを起こしにやってきました。『朝ですよー、起きなさーい』トントンとドアをノックして言いました。返事が返ってこないことを確認すると、ドアを開けて、ベッドにもぐりこんでいるみーにゃおのすぐ近くで、『みーにゃお、起きなさーい』大きな声を張り上げて、眠りについたばかりの、ぐっすり眠っているみーにゃおに叫びました。みーにゃおは、ぐっすりすやすや眠り続けています。『起きなさーいっ』母親は、深い深呼吸をした後、起きる気配のないみーにゃおに、更に大きな声を張り上げました。母親のキーーンとする甲高い声に、みーにゃおは目が覚めました。みーにゃおは、怒ると甲高くなる母親の声が、とても苦手だったのです。『うーん、起きるよ~』みーにゃおは眠たい目をこすりながら、ゆっくりと起きると、ベッドから這い出ました。『早く起きなさい。朝ごはんよ』母親は少しじれったそうに、まだ十分に温もりを感じられるみーにゃおの掛布団をはぐりました。『何をやっているの??』みーにゃおは、ベッドから出たのに、そのベッドの掛布団をはぐった母親の行動が、不思議でした。けれど、みーにゃおの母親は、何も答えないで『ママ、かくれんぼは大嫌い』と、誰もいないベッドをみつめて言いました。みーにゃおはまだ眠たくて、『ボク、かくれんぼなんてしてないよ』と、大きなあくびをしながら言いました。『じゃあ、隠れてないで出てらっしゃい』みーにゃおは、必死に眠たい目をこすって言いました。『ボクはここにいるじゃないの』みーにゃおは、ベッドの脇の窓辺のそばに、座っていました。けれど、そんなみーにゃおの姿は、母親には映っていないようです。母親は両手に腰を当てて、『ママは怒りますよ』と言わんばかりに、キュッと口をへの字口にして、怖い顔をしました。『ママは、かくれんぼにつきあう程ひまじゃないの。早くでてらっしゃい』母親の声は少しいらだっていました。朝早くから世話を焼かせる子供は、どこのお家でも困りますものね。『ボクはここにいるよベッドのすぐ脇にいるじゃないか』みーにゃおは、母親に叱られたくないばっかりに、必死になって教えました。けれど母親は、みーにゃおの言うベッドの脇に、目をとめたのにも関わらず、『かくれんぼはもう終わりよ』と、きつい口調で言いました。『どういえばわかるんだろう。ボクはここにいるのに』みーにゃおは、悩んで両手を顔にうずめました。『!』その時みーにゃおは、とても大きなショックを受けました。お星さまから分けてもらった、きれいにかがやく光のとりまきが、日の光に溶け込んでいて、母親おろか自分でさえも、見えなくなっていることに気づいたのです。ただ伝わってくるのは、自分の体の感触と温もりだけです。『ボクの体が見えない』そう思うとみーにゃおは、急に怖くなりました。見えない自分の両腕をきつく抱きしめて、ただ感触と温もりだけを感じて、体を震わせました。『何を言っているの?』みーにゃおの身に起きた出来事を全く知らない母親は、さっぱりわからずに、半ば呆れ返っていました。そして、何を言っても、かくれんぼをやめる気がないことを知ると、『今日は朝ごはんは抜きです。お部屋で反省していなさい』と、これが正しい反省方法だと思い、みーにゃおの返事を聞かないまま、お部屋を出ていきました。『少しは空腹のお腹をかかえてママを困らせたことを反省すべきよ』母親はぶつぶつ文句を言いながら、足早に歩いて食卓へと向かいました。お部屋の中にいるみーにゃおは、すっかり落ち込んでいました。『ボクの体が消えちゃった』そう思うとみーにゃおは、怖くて、不安で、泣き出したくなりました。そしてとうとうみーにゃおは、大きな大きな声で、えーんえーんと泣き出してしまいました。その声は朝食をとっている母親にも、よく聞こえるほどの大きな泣き声でした。『これに懲りて、朝からかくれんぼなんてやめるでしょう』母親は、自分のとった反省方法が正しかったと悟ると、満足して、嬉しそうな顔で朝食をとりつづけました。(4)へ続く**

  • 30Aug
    • 黄色い猫 (=^_^=)(2)

      黄色い猫 (=^_^=)(2)黄色い猫(=^_^=)(1)の続き。『やぁ、こんばんは』お星様はにこやかに微笑み、子猫みーにゃおに挨拶をしました。みーにゃおは、突然のお星様の出現に驚き、大きなガラス玉のようなきれいな目を、パチパチさせました。『こんばんは』驚きながらもみーにゃおは、挨拶を交わしました。そして、うらやましそうにこう言いました。『きれいな光だね。ボクもお星様みたいになりたいよ』みーにゃおはお星様を前に、目を細めて言いました。お星様の光は、きれいだけど、みーにゃおにはまぶしすぎるくらいでした。『それでボクを見ていたのかい?』お星様は得意気に聞きました。『うん、そうだよ』みーにゃおは、まぶしそうにしながら、そう答えました。目の前にいるお星様は、小さな自分の両手でお目々を少し隠さなければいけないほど、まぶしくてまぶしくて、仕方がありませんでした。けれど、そんな仕草も言葉も、お星様には上機嫌なものでした。『ボクみたいになりたいのなら、君にもボクの光を分けてあげるよ』お星様は心をウキウキさせて言いました。『本当?』みーにゃおの大きなガラス玉のようなきれいな目が輝きました。『本当だよ。目をつむって10数えたら開けてごらん。』お星様の言葉に、みーにゃおはうなずくと目を閉じて、10数え出しました。『。。。。。10』10数え終わると、みーにゃおはそっと目を開けました。『鏡を見てごらん。じゃあね、えーと。。。』『みーにゃおだよ』『みーにゃお』お星様は挨拶をすると、上機嫌で夜空へ戻っていきました。みーにゃおはそんなお星様を、しばらく見送っていましたが、待ちきれずに全身が映る鏡の前に立ちました。きれいにかがやいている光は、鏡を覗く前にも、みーにゃおの体を、お星様と同じように取り巻いていることが、みーにゃお自身感じていることでした。みーにゃおは心をワクワク躍らせて、鏡を覗きこみました。『きれーい🌟』鏡に映っている自分の姿は、想像を超えるほどきれいで、みーにゃおはそっと吐息をもらしました。大きなガラス玉のような目は、夢でも見ているかのように、キラキラかがやいています。しばらくみーにゃおは、鏡の前に立ちつくしていました。すると、みーにゃおのお部屋を偶然通りかかった母親が、『まだ起きていたの?子供はもう寝る時間ですよ』と、ドアを1枚隔てた向こう側から、優しく叱りました。みーにゃおのお部屋から明かりがもれていたので、母親は気づいたようです。『はーい』みーにゃおは元気に返事をすると、『おやすみなさい、ママ』ママにおやすみなさいの挨拶をして、お部屋の明かりを消して、ベッドにもぐりこみました。『おやすみ。良い夢をみるのよ』母親はおやすみの挨拶を交わすと、みーにゃおのお部屋から立ち去りました。『あっ! ママに見せたかったな』母親が立ち去った後にみーにゃおは、きれいにひかりかがやく自分の姿を、自慢したくてそう思いました。けれど、内心、自分だけの秘密にもしておきたかったみーにゃおは、そんな想いをそっと胸にしまいこみ、うとうとと、眠りにつき始めようとしていました。『明日見せてあげよう』口の中でゴニョゴニョつぶやくと、みーにゃおは静かに目を閉じました。『うーん、誰? まぶしくて眠れないじゃないか』みーにゃおはまぶしそうに目を開けて、ベッドから上体を起こしました。『あれ?』みーにゃおは、お部屋の中が真っ暗なのに気づきました。確かにみーにゃおはまぶしかったのです。ですから、てっきりみーにゃおは、誰かがお部屋の明かりをつけたのだと思いました。何度も目をこすってお部屋の中を見ても、辺りは真っ暗で、明かりひとつついていません。『?(はてな?)』みーにゃおはとても不思議でしたが、そんなことよりもとにかく眠たかったので、再びベッドの中へもぐりこみ、静かに目を閉じました。けれど、まぶしくて眠れません。『誰なのっ!まぶしくて眠れないよ!!』みーにゃおは勢いよくベッドから飛び起きると、腹正しくて怒鳴りました。お部屋の中はシーンと静まりかえっていて、みーにゃおの、眠りを邪魔する明かりはついていません。みーにゃおは、何がどうなっているのか全く訳がわからず、混乱する頭を抱えこみました。『!』そのときみーにゃおは、自分の両腕を、頭の高さまであげたことによって、自分の眠りを邪魔していた明かりが、なんだったのか、はっきりわかりました。『お星様の光だ』両腕を上げたことによって、お星様特有のきれいにかがやくまぶしい光が、目の中に入ってきて、みーにゃおはそれがお星様の光だとわかりました。『だから目を閉じてもまぶしくて眠れなかったんだ』あまりにもまぶしすぎる光は、みーにゃおの、眠ろうと目を閉じた瞳の奥まで入り込み、眠りの邪魔をしていたのでした。(3)へ続く**