本作品は2018年に愛知県立刈谷東高等学校演劇部によって『名古屋-新大阪』として上演され中部日本高校演劇大会へと進出、さらに2019年には名古屋・大阪で小劇場の俳優たちによって新たに上演されました。
いずれも舞台は新幹線の車内。登場人物同士の会話はほとんど無く、ひとり一人、心の叫びを言葉と身体で表現するというスタイルで、「となりにいても一人」という現代社会における孤独を描いたことで多くの注目を集めました。
そして今回、舞台を特急しらさぎに変更し『米原-金沢』として北陸の俳優たちと創作を行います。
本作品は、作・演出の兵藤友彦がひとり一人の俳優と面談し、「あなたは誰ですか?」「何のためにこの列車に乗りましたか?」「どこかの駅で降りますか?」などと質問を重ねることによって俳優たちの個性や創造力を引き出し、それをもとに物語を紡ぎだしていく、いわばフィクションとノンフィクションの狭間を行き来する演劇です。
観客は車内を覗き見、乗客たちの人生の切れ端に触れることであたかも自分も「列車」に乗っているかのようにこの作品に参加することになります。
また、今回『米原-金沢』として再創造するにあたっては、「地方で演劇を続けていく」ことの意味を問うという目的もあります。
地方の演劇人(劇作家、演出家、俳優など)のほとんどは、生業を持ちながら演劇活動を行ういわばアマチュアプレイヤーです。しかし、仕事ではないからこそ何者にも忖度する必要もなく純粋に作品や観客と向き合える側面があります。
都市や経済の論理によって消費される演劇ではなく、いまここでしか出会えない演劇を。私たちはそう考えています。
最後に。
本作品は金沢市民芸術村アクションプラン実行委員会が主催する「かなざわリージョナルシアター」参加作品となります。リージョナルシアターは直訳すると「地域演劇」。
私たちのコンセプトとぴったり一致するものです。
そして先日、ありがたいことに福井県での上演も決定いたしました。
日本中に「わたしだけの」「ここだけの」列車を走らせたい。
本作品はその第一歩でもあります。