私個人の経験と考えなので、万人に受け入れられるものでは無いと思うけれど、必要な人に届けばよいなと思います。

見苦しい文章になるかもしれませんが、伝えたいことを以下に記します。


胞状奇胎には治療法があってまずは掻爬術。それでもhcgが再上昇してしまったら抗癌剤。

頭と肺に転移しやすいため、私も体幹部の造影CTと造影MRI、頭部MRIを検査した。

抗癌剤はガイドラインでMTX(メトトレキサート)→アクチノマイシンD→MTXとアクチノマイシンDとエトポシドの3剤を併用と明記されている。


そして、胞状奇胎→侵入奇胎→絨毛癌となっていくけれど、侵入奇胎と絨毛癌と境目は曖昧で、私の場合は侵入奇胎を絨毛癌と診断されEMACO療法(卵巣毒性の強いシクロフォスファミドという抗癌剤を使う)をしてしまった。

妊娠希望を最初から伝えていたが、治療開始前日にも妊孕性についての話は無かった。おかしいと思って主治医に聞いたが関心が無かったようで、急いでセッティングされた妊孕性についての説明は中途半端だった。


①病気に関する情報を集めること

②専門病院があれば遠くても受診する。自分が無理なら家族だけでもセカンドオピニオンを受けている病院もある。

③医者にはやばいヤツもいる。そういう医者を信頼してしまったらおしまい。

④抗癌剤治療の前に必ず妊孕性について考える。


私は医師なので情報も調べられた。①②④に関しては自分なりにちゃんとできたと思う。

けれどもセカンドオピニオンについて主治医に聞いた時「そういう心配はしなくても大丈夫ですよ」と言われ、その医者を信じてしまった。治療してもらっているのに、専門外の人間が情報収集したり、とやかく言うのは失礼だと思い、それ以降は暫く大人しくしていた。


入院4ヶ月間、ナースステーションに1番近い部屋で過ごした。患者の悪口も丸聞こえだったし、高圧的な態度をとる医者もいた。肺塞栓(肺の血管に血栓が詰まる致死的な合併症)が起きたのにも関わらず、直ぐに治療するでもなく、めずらいしいとはしゃいでゲラゲラ笑っている医者もいた。


この病院はおかしいぞ、と少しずつ気づいたのは入院してから1ヶ月くらいだった。

1.情報共有がなかった

回診は当番医制だったが、私の治療方針について答えてくれたのは2人の医者だけだった。その2人も週に1回来るか来ないか。隣の患者さんも病状が情報共有されておらず3回死にかけた。完全な医療ミスだったが“死人に口無し”なので、今もその事実を覚えているのは私と患者さんのご家族だけ。

2.抗癌剤の中止基準を無視された

治療中、強い副作用が出た。自分の担当の薬剤師に聞いてみたら中止基準に該当するとのこと。主治医に尋ねたがそのまま使うと言われた。薬剤師にもちゃんと確認して欲しいと伝えたら漸く中止になった。

3.セカンドラインの治療法がなかった

2の場合は通常セカンドラインの治療法がある。私の場合もMEA療法というものがあった。「申請して導入する事もできるが、○○さんには使いません」と言われた。申請できるのに、効果もある治療法なのになぜ私には適用してくれなかったのか?

4.寛解基準が間違っていた

hcg値が正常になるまで治療とガイドラインにあるが、“妊娠していない女性の正常=hcgが基準値以下”ではなく、妊娠反応としての基準値を私に適応していた。おかしいから確認して欲しいと伝えたけど覆らず。再発したら難治化するため、本当にヤバイと思い、主治医に悪いと思ったが知り合いのつてで専門病院の先生にメールで連絡をとった。自分が医者である事も、これまでの経過も伝えた。その病院はホームページにアドレスも書いてあり、メールでの問い合わせも常に受け付けていた。そして、やはり寛解基準が間違っていることを指摘され、すぐに主治医と連絡を取り合ってくれた。

5.准教授が激昂して罵倒

主治医、准教授、看護師と私の4人で直ぐに面談をしてもらった。主治医はだんまり。准教授は激昂して、間違いを認めずに専門医と連絡をとった私を罵倒し続けた。今すぐ自主退院しようかとも思ったが、今後もこの病院で同じ過ちが繰り返されるのが許せなくて、専門病院と連絡をとりあって治療を継続してもらえるようにお願いした。罵倒され続けたが、泣きながら頼み続けた。

私が退院してからだが、MEA療法も申請して使用できるようになったらしい。

全ての記録は今でも残してあるし、文書として大学病院に提出した。主治医は全く出てこず、代わりに教授が返事を書いてきた。数多くの間違いは全ては認めなかったが、いくつかは認めた。訴訟を避けるためだろう。

訴訟を起こしても、時間はかかるし、大学病院の腐った医局を改善するのは無理だと思う。だからブログで患者さん側に情報発信しようと考えた。


侵入奇胎になって分かったこと

❶専門病院ではCO(シクロフォスファミドとオンコビン)は不要と考えられていて、今は使われていない。

❷MEA療法の場合、E(エトポシド)の投与量が多くなって二次性白血病のリスクがあるが、専門病院ですらこれまで3人くらいしか出ていないと。因みにその専門病院では、知識のない病院で間違った基準で治療され再発難治化した患者さんが多く紹介されてきている。

❸胞状奇胎の治療は待ったなしで進んでいき、短い時間での情報収集と判断が求められる。

※❶❷は専門病院の医師からのメールで。



子供の頃から、母になる日を望んで生きてきた。いじめられて孤独になった時も、仕事が辛い時も、立派な母親になるためと耐えてきた。

私の人生にとって、子どもを持つという事がどれだけ大切にしてきたことか。

確かに命の方が大切で妊孕性は二の次だと言われるだろうけど、なぜ治療が確立されているMEA療法では無く、EMACO療法をされてしまったのか。


専門病院の先生からメールで診断と寛解基準が間違っていると指摘されて、もう取り返しがつかないほどシクロフォスファミドを投与されてしまったと分かってから、生きる意味を失った。治療を終えて家に帰ることよりも、命を絶ちたいと何回も考えた。産まれたばかりの甥っ子の写真や動画をみながら、最後の辛い日々を過ごして、自分もいつか自分の子どもを産むために今は耐えようと気持ちを切り替えた。

今は、悔しいけれど、体外受精、卵子提供で子どもを授かりたいと、やり甲斐があった仕事も辞めた。


不確かな情報ではあるが、専門病院が出している学会誌の報告をみた。その専門病院は子宮摘出した1例を除いて、その他の症例は侵入奇胎と診断してMEA療法をして寛解していた。つまり正しい治療をすれば、異常妊娠としての胞状奇胎(胞状奇胎合併の正常妊娠ではない)から絨毛癌に移行することは無いということ??

正しい治療は、病院によって、医者によって知識と経験に差があり過ぎるのが現状だと思う。

私と同じ体験をする方が居なくなるように、ぜひ、専門病院を受診して欲しい。

2022〜2024年時点では、名古屋、千葉、和歌山大学病院が専門病院。