「理想の息子」(2012年1月クールNTV土21)最終話まで見終わっての感想です。

前にも書いたけど、あの女性不信と女性美化の野島先生が、ここまで普通に女性を描けるとは、ここまで普通に母親を描けるとは、びっくりした。こういう心境の変化があれば、今後は、もっと女性像に深みが出るのではないか、と思うが、野島先生は女性観がおかしいだけではなく、それだけではなく、ややキモなところがあるし、それはこの「理想の息子」でも、母親(鈴木杏樹)の真意を誤解した息子(へいせい中島)が黒化するところを見ても、表れていると思う。なんか、エログロが必ず出ちゃうんだよね。

そして「GOLD」を見ても、次男をだしにつかって、次男の気持ちを一切考えない母親(天海祐希)といい、他人の気持ちへの共感、思いやり、真に深い人間像が描けないのだと思う。

いや、そうはいっても、私も「GOLD」最終話を見るまでは、野島先生の栄光の過去を忘れられず、素敵なWだと思っていた・・・のですが、さすがに「GOLD」で全ての妄想が取れた、野島への美化が消えた。あれは、ないでしょう。

ただ、ストーリーメイキングというか、ヒット作を生み出すというか、派手さ、世間が望んでいるセンセーショナルなテーマを埋め込むとか、そういうのは得意だったよね。今はそれもできてはいないけど。

80年代、90年代の日本と、野島の作る雰囲気が、合致していて、それで流行作家になったのではないかと思う。
真に人間が描けているわけではまったくないことにようやく気づけた。

しかし、女性観に狂いのあった野島先生が、こんなにも女性に対して安定した気持ちを持てて、びっくりしたが、ネットニュースで、年下の一般人女性と結婚したという記事を読んだ。それで納得した。芸能人とか、自分が輝きたいみたいな女じゃなくて、一般人の普通の人とつきあって、女も意外と普通なんだということに気づけ、結婚に踏み切れたのかなと思った。

せっかく女性観の狂いが取れてきたのですから、ここからもう少し努力していただいて、あのストーリーメイキング、派手なドラマ力を復活させ、かつ真の感情が描けるWになってほしいなあと思ったりした。