「高校生レストラン」の感想です。

それなりに面白い話だと思う。どちらかというと、CX水9みたいな路線。
音楽もなんか服部先生のような明るい感じだし、いい感じかなとは思うけど、なんか時代とずれてる。

この回は、高校生レストランに来たお年寄りのお客さんが、寂しさのあまり、食中毒を装ったという回。

なんで?と憤るものもいるものの、でも奥さんがなくなって、娘も孫も寄り付かなくなった寂しいお年寄りのことを考えて、もっと地域全体でお年寄りを思いやっていこうとする回。

たしかに話としてはイイ。
ただ、それってさ、10年20年前だったらすんなり受け止められたかもしれないけど、今はこれって受けないように思う。

率直に言うと、「かわいそうなお年寄り」っていうのが、受け入れがたい。

「かわいそうなお年寄り」に対して、余裕のある若者層がちゃんと思いやろう的な話に思えるが、
お年寄りってかわいそうなのかな??とどうしても思ってしまう。

「かわいそうなお年寄り」世代に、「がんばればいい会社に入れて、一生安泰な生活を送れる」と教え込まれ、彼らの数倍の受験競争を経て、勉強して努力していい大学に入ったが、いい会社に入れない人が多かった。就職氷河期という時代のせいで。

そして「いい会社」に入れても、その会社がふとした瞬間にあっけなく潰れていくことがわかった。

子供の頃TVを見たら、大人が浮れ歩いていたバブル時代だった。「大人って楽しそうだな」と思ったが、なのに自分が大人になったら、「いい会社」もつぶれ、「いい大学」を出ても「いい会社」に入れなかった。

なんとか会社に入ったら、年功序列で、何も働いていない年寄りにいいお給料を払うためにこきつかわれた。でも自分が年寄り側にまわった時代には、もはや「年功序列」は成立していないんだろうなと思った。年金にしてもそうだ。自分が「若者」側にいるときは搾取されるが、自分が搾取側に回れる時には、その搾取構造はすでに崩壊しているんだろうなと思った。

でも、どうすればいいかわからなかった。

従来の価値観がすでに通用しなくなっているのはよくわかった。
でもその代わりの新しい価値観がわからなかった。
でもわからないままでは、自分は若者時代は被搾取者であって、ようやく搾取側に回ったらきっとその搾取スキーム自体が壊れていて、常に搾取側には回れず、常に被搾取側なんだな、というのが、なんとなく感じられた。

その私たち世代が、お年寄りに配慮をしろと?
逆に、「若者」の世代をつぶしたお年寄り世代が配慮をするべきでは?
夢みられる権利を奪った側が配慮をするべきでは?と、本当に強く思う。

それがロスジェネ世代の怨念だと思う。

日本の金融資産は60代以上で大半を占めていると言われている。
たしかに老後体が動かなくなったら不安だから貯金しておこうというのはわかるけれども、
私たち、「若者」世代は、従来の価値観が通用しない中で、一歩間違ったら会社が倒産する、自分がリストラされる、パワハラでいじめ自殺に追い込まれる、そんな環境で過ごしているんだ。っておおげさかもしれないけど、それがロスジェネ世代の大半の実感のようにも思う。被害妄想かもしれないけど、でも本当にそう思う。

そんななかで、こういう「”かわいそうな”お年寄りを大事にしましょう」的な話は、ちょっと受け入れがたい。”かわいそうな”「若者」はどうするんだ。自分で頑張るしかないっていうのはわかるけど、だったら社会と時代の恩恵をふんだんにうけてきたお年寄り世代も自分で頑張れよ、って強く思う。