「しかし二日連続のBBQは、こたえるな。さすがに体中から炭の匂いがとれない気分だよ」
「しかもずっと立ちっぱなしだったからね、おつかれさま。コンロの前から離れられなかったものね」
「ああ。まあ、しかたないよ。自分から望んでサポーター役になったんだから。面白かったなあ」
「本当にね。どうして人の恋路を面倒みることが、こんなに楽しいのかしらね。野次馬根性だよね」

友人の主催するBBQ合コンへ、スタッフとして参加した二日間。両日とも、気持ちのよい好天だった。

「あいつも、よけいなお世話が本当にすきだよなあ。嫁さんもだけどな。あれだけの準備は見事だ」
「私たちが用意することは何もなかったからね。場所取りや受付、それに後片付けくらいかしら」
「俺は炭の火起こしから、がんばったんだぞ。でもあれだな、早くに火がつくと勢いがよすぎて困る」
「三つあったなかで、あなたのが一番おちついた火加減だったわね。偶然にしても、すばらしかったわ」

女性は料理の下準備、男はテントやBBQコンロの設営と火起こしで互いに協力しあっていく。

「自然と役割分担がきまっちゃうんだが、もうすこし男女混合で準備をやってほしかったな」
「なかなか難しいのよね。そもそもが赤の他人同士だから、いきなり親しくなるのは無理よ」
「そこは男がなんとかしなきゃいけないんだが、大人のプライドが邪魔をさせるんだよ。無駄にな」
「それはしかたないわよ。その微妙な空気を私たちがなんとかしなきゃいけないんだからね」

総勢三十人ほど集まった男女だが、スタッフへの会話ははずむが当人同士はなかなか進まない。

「結局、二日間ことなるグループでやってみたけど、成立率はどうなんだろう。結果が待ち遠しいよ」
「そんなに期待するもんじゃないわよ。あくまできっかけ作りなんだから、あとは本人次第なのよね」
「それはわかるけどさ。でもなあ、もっとガツガツしてほしいよな。やっぱりそういう場なんだからさ」
「そのセリフを私とはじめてデートしたときのあなたに言ってほしいわ。おもいきり緊張してたくせに」

食の話題に集中していたのは、たしかに覚えている。つまりは、食べたいくらいに魅力的だったんだよ。