なにげない言葉のやりとりだったはずが、知らぬまに相手を傷つけることがある。
悪気のないのはお互いさまだが、ときに意地になって大ゲンカへと発展する。
「まったくもう、どうしてトウモロコシをよけるのよ。十粒もないんだから食べなさいよ」
「なにもわかってないな。俺は黄色いものは口にしないと幼稚園のときにきめたんだ」
「だからって、ご丁寧にカップラーメンのコーンまで取りのぞく必要はないじゃない」
「たった一粒が原因で、たとえようのない後悔をしてしまったらどうする。人生の保険だよ」
「だったら、コーンの入ってないラーメンを買えばすむ話じゃないの。ほんとバカね」
たかがトウモロコシのことで、何も知らないガキのようにバカ呼ばわりするのは許せない。
それより出かける前に、服と靴の相性で長々と時間をとるのはやめてほしい。
「あのね。女同士ですっごく評価されちゃうのよ、靴をね。服との色合いとかスタイルとか」
「そっちこそバカらしい。会話のときに、視線をしょっちゅう靴へむける奴は友人としてはお断りだ」
「それが女ってものなの。逆に男の人の靴への無頓着ぶりにはあきれちゃうわ」
「それは俺にケンカを売っているのか。たしかに最近は千円程度のものばかりだよ」
だんだん本格的に腹がたってきた。基本的に物への執着心がなく、それでよいと思っている。
彼女も物欲がひどいわけではないが、こだわるポイントははっきりしている。
「着てるものにはこだわりがないくせに、食べ物の好き嫌いは激しいのね」
「これだけはどうしようもないんだよ。グリーンピースなんて、永遠の仮想敵だからな」
「じゃ、そのこだわりを私の靴にも認めてよ。別に買いあさっているわけじゃないんだから」
たしかに、いかにも高そうな靴ははいていない。逆に激安のものをオシャレに見せている。
「私もお金を無駄にかけるのは嫌いよ、わかってるでしょ。だから、あなたを選んだの」
「おい、俺は五百円程度の価値しかないのか。それは言いすぎだぞ」
「その分、二人で食べ歩きしてるじゃない。だから残されるのは嫌なの。私の心もそうされる気がして」
その気づかいが正しいかはわからないが、今回ばかりは文字通り、ぐっと飲みこんでおくか。
悪気のないのはお互いさまだが、ときに意地になって大ゲンカへと発展する。
「まったくもう、どうしてトウモロコシをよけるのよ。十粒もないんだから食べなさいよ」
「なにもわかってないな。俺は黄色いものは口にしないと幼稚園のときにきめたんだ」
「だからって、ご丁寧にカップラーメンのコーンまで取りのぞく必要はないじゃない」
「たった一粒が原因で、たとえようのない後悔をしてしまったらどうする。人生の保険だよ」
「だったら、コーンの入ってないラーメンを買えばすむ話じゃないの。ほんとバカね」
たかがトウモロコシのことで、何も知らないガキのようにバカ呼ばわりするのは許せない。
それより出かける前に、服と靴の相性で長々と時間をとるのはやめてほしい。
「あのね。女同士ですっごく評価されちゃうのよ、靴をね。服との色合いとかスタイルとか」
「そっちこそバカらしい。会話のときに、視線をしょっちゅう靴へむける奴は友人としてはお断りだ」
「それが女ってものなの。逆に男の人の靴への無頓着ぶりにはあきれちゃうわ」
「それは俺にケンカを売っているのか。たしかに最近は千円程度のものばかりだよ」
だんだん本格的に腹がたってきた。基本的に物への執着心がなく、それでよいと思っている。
彼女も物欲がひどいわけではないが、こだわるポイントははっきりしている。
「着てるものにはこだわりがないくせに、食べ物の好き嫌いは激しいのね」
「これだけはどうしようもないんだよ。グリーンピースなんて、永遠の仮想敵だからな」
「じゃ、そのこだわりを私の靴にも認めてよ。別に買いあさっているわけじゃないんだから」
たしかに、いかにも高そうな靴ははいていない。逆に激安のものをオシャレに見せている。
「私もお金を無駄にかけるのは嫌いよ、わかってるでしょ。だから、あなたを選んだの」
「おい、俺は五百円程度の価値しかないのか。それは言いすぎだぞ」
「その分、二人で食べ歩きしてるじゃない。だから残されるのは嫌なの。私の心もそうされる気がして」
その気づかいが正しいかはわからないが、今回ばかりは文字通り、ぐっと飲みこんでおくか。