仕事の関係でHホテルに来た。
予定が早く終わり、新幹線の時刻迄、時間がある。
酷暑の中、外を歩く気にはなれない。
ホテルのティーラウンジで時間をつぶすことにした。

時刻は13時で、それなりに混雑している。
入口の椅子で、案内まで待たされた。

待っていると、若い女性に声をかけられた。
「すみません、ヤマダさん(仮名)ですか?」と。
「いえ、違います。」と返す。
初老の男性がラウンジから出てきて、女性に手招きをした。
女性も、男性に会釈をして、一緒にラウンジに入っていた。

男性が先に入店し、座席を確保していたようだ。

いわゆるパパ活の待ち合わせである。
女性から待ち合わせ相手と勘違いされたらしい。
俺もパパ活が似合うオジになったかと、複雑な気持ちになる。

席に案内された。
先のパパ活カップルの真向かいの席である。
話は聞こえないが、否が応でも観察できてしまう。

女性は、20代前半のJD風である。
白にグレーのプリント柄のブラウスと黒のスカート
黒のセミロングヘアで先端は少しカールをしている。
♣だとゴールドクラスのランクの容姿である。

同志ヤマダさんは、年齢が50代半ばくらいか。
ゴルフ焼けか、日に焼けた顔で、ハゲてはない。
黒で胸にブランドのロゴが入ったゴルフシャツとジーンズ、
カジュアルな格好である。

周りは、女性客か夫婦らしい年相応のカップルである。
ほとんどの客がアフタヌーンティーセットを楽しんでいる。
女性はアイス、ヤマダさんはホットを頼んだようである。
いずれにせよ、違和感のあるカップルで相違ない。

俺も、普段、こんな風に見えているのかと複雑な気分になる。

ヤマダさん、身振り手振りで熱心に話しかけている。
女性も、うんうんと相槌を打って、傾聴の姿勢で応えている。
20分過ぎ、女性にストロベリーパフェが運ばれてくる。
「好きなの、なんでも頼みなよ。」とでも言ったか。
30分過ぎ、お互いのスマホを近づけて、LINE交換か。

60分近くの間、9割はヤマダさんが話して、女性が相槌である。
ヤマダさんのトーク力が高いのか、女性が聞き上手なのかは不明だが、
二人の会話は続き、悪くはなさそうな雰囲気である。

おっさんが若い娘を必死に口説いていることが、

周りにバレバレであるをことを除いては・・・・・。

新幹線の時間が近づいたので、ラウンジを出た。
ヤマダさんと女性は、まだ話が続いていた。
あとで、♣の会員ページのデータを見た。
Hホテルは、大阪の待ち合わせ場所上位にランクされていた。

結局、人の振り見て我が振り直せというお話である。