体調落ち着いてきたので再開にっこり

 

 

Fully covered self-expandable metallic stents versus plastic stents for preoperative biliary drainage in patients with pancreatic head cancer and the risk factors for post-endoscopic retrograde cholangiopancreatography pancreatitis

DEN Open. 2023 Jun 26;4(1):e263.

 

目的:膵癌術前ドレナージ(PBD)において、PEPに対するFCSEMSとPSのリスク因子の比較

方法:2005年4月から2022年3月までにPBDを受けた膵がん患者を対象とし、FCSEMS群とPS群のRBO、AE、術後合併症をレトロスペクティブに評価し、PEPのリスク因子を検討した。切除不能症例(PBD後に切除不能となった症例、または手術を拒否した症例)は本研究から除外しなかった。

解析:連続変数はMann-Whitney U検定またはKruskal-Wallis検定で、カテゴリー変数はカイ二乗検定またはFisher exact検定で評価した。p値<0.05を統計的に有意とみなした。TRBOはKaplan-Meier法とlog-rank検定を用いて解析した。PEPの危険因子は単変量解析および多変量解析で評価した。多変量解析は、先行研究で報告された危険因子を参照したロジスティック回帰分析を用いて行い、その結果をハザード比および95%信頼区間(CI)で示した。

結果:105人が対象となり、FCSEMS群20例、PS群85例であった。

10Fr以上のPSが53例(PS群の62%)32例(PS群の48%)では10Fr未満(23例で8.5Fr、9例で7Fr)が使用された。29例(全体の28%)がNAC投与を受けた。NAC患者数はFCSEMS群で有意に多く(FCSEMS群 55% vs PS群 21%、p=0.002)、そのため手術までの待機時間はFCSEMS群で有意に長かった。

FCSEMS群では胆道閉塞の再発率(0% vs 25%、p=0.03)が有意に低かった。AEは両群間に差はなかった。術後合併症全体では有意差は認められなかったが、術中出血量はPS群がFCSEMS群より多かった(p<0.001)。

多変量解析から、女性であることと主膵管拡張がないことが膵炎の独立した危険因子であった(オッズ比、5.68;p=0.028;オッズ比、4.91;p=0.048)。両群間でRPCの割合に差はなかった(FCSEMS群 80% vs PS群 84%、p=0.96)。MPD拡張(3mmより太い径)の有無の割合は両群で同等であった(FCSEMS群 85% vs PS群 71%、p=0.30)。

考察:本研究は、PBD症例のみについてPEPの危険因子を検討した初めての研究である。本研究の結果、FCSEMSの使用はPEPの危険因子ではなかったが、女性であることとMPD拡張の欠如はPEPの独立した危険因子であった。術中出血量は、PS群でFCSEMS群より有意に多かった。しかし、PBDに対するFCSEMSとPSを比較したRCTにおいて、MandaiらはFCSEMS群の術中出血量が有意に多かったと報告している。一方、今回の研究では、FCSEMS群の約半数にNACが施行された。術中出血の少なさに関しては、化学療法の有効性が手術のしやすさに影響している可能性がある。PSのTRBOは、NACを完全に実施するには不十分であることが確認された。本研究で使用したPSの直径は7~11.5Frであった。10Fr以上のPS群とFCSEMS群を比較するサブグループ解析を行ったが、TRBOは10Fr以上のPS群の方がFCSEMS群よりも有意に短かった。

制限:単施設後ろ向き、FCSEMS症例が少ない。でも女性、MPD拡張がないことはリスク因子であることは説明された。

結論:FCSEMSは胆道閉塞の再発までの時間が長いため、PBDではPSより好ましいと考えられる。