皆さんこんにちは井上クリニック副院長の辰巳です。
今回は貧血についてお話ししようと思います。
「貧血ですね」と言われたことはありませんか?
貧血は血液中の赤い成分であるヘモグロビンが不足し、全身の酸素運搬能力が低下している状態です。疲れやすさ、息切れ、動悸、めまいなど、日常生活に支障をきたすこともあります。
しかし一口に「貧血」と言っても、原因はさまざま。今回は、5つのタイプに分けて貧血の原因・症状・放置のリスクについてわかりやすく解説します。
貧血の原因は5タイプ
材料不足:鉄やビタミンが足りない
赤血球やヘモグロビンを作るためには、鉄やビタミンB12、葉酸といった「材料」が必要です。これらの栄養素が不足すると、正常な赤血球が作られなくなります。
代表的な疾患
鉄欠乏性貧血(最も多い)
巨赤芽球性貧血(ビタミンB12、葉酸不足)
原因
偏食、ダイエット
妊娠・授乳による需要増加
胃切除後や吸収障害(特にビタミンB12)
長期のアルコール摂取
症状
疲れやすい、顔色が悪い、動悸、めまい、舌の痛み、しびれ感(B12欠乏時)など。
対処法
食事療法と栄養補充が基本治療。鉄欠乏性貧血では消化管出血が原因のことも多いため、内視鏡検査を行うこともあります。
出血:血液そのものが失われる
赤血球が作られていても、出血してしまえば意味がありません。出血によって赤血球や鉄が失われると、結果的に貧血になります。
代表的な原因
月経過多
消化管出血(胃潰瘍、大腸ポリープ、痔、癌など)
外傷や手術後の出血
症状
疲れやすい、顔色が悪い、動悸、めまいですが慢性の出血では自覚症状が少ないことも。
対処法
出血源のチェックとそれに対しる治療が必要です。
造血障害:骨髄で赤血球が作れない
骨髄が赤血球を作る「工場」とするなら、造血障害はその工場が働かなくなった状態です。
代表的な疾患
白血病
再生不良性貧血
骨髄異形成症候群(MDS)
症状
疲れやすい、顔色が悪い、動悸、めまい、出血傾向(歯ぐき出血、鼻血、皮膚のあざなど)、発熱
治療法
抗がん剤・放射線治療後、骨髄移植
溶血:赤血球が壊されてしまう
作った赤血球が壊されてしまう状態を「溶血性貧血」と呼びます。赤血球の寿命が短くなり、結果として貧血になります。
代表的な疾患
自己免疫性溶血性貧血
遺伝性疾患(サラセミアなど)
薬剤性
症状
発熱、黄疸、尿が赤黒くなるなど
治療法
免疫抑制剤、薬剤の中止、感染症の治療、脾臓摘出、輸血、骨髄移植など
ホルモン異常:造血刺激ホルモンが不足
赤血球を作る指令を出すホルモンのひとつが「エリスロポエチン」です。腎臓から分泌されるこのホルモンが不足すると、赤血球の産生が減り、貧血になります。
代表的な状況
慢性腎臓病(CKD)
症状
慢性的に進行するため症状が無いことも多いです。
治療法
エリスロポエチン製剤など
放置するとどうなる?貧血のリスク
貧血は軽視されがちですが、放置による影響は侮れません。
酸素不足による慢性疲労や集中力の低下
心臓への負担増大による心不全のリスク
妊婦では早産や胎児発育不全
背後に重大な病気が隠れていることもあり早期の検査治療が重要です。
まとめ:貧血は「症状」ではなく「病態」
貧血はひとつの「結果」であって、何らかの原因が必ずあります。鉄不足だけでなく、骨髄や腎臓、ホルモンの異常、出血や免疫異常が関与することもあるため、安易に「鉄剤を飲めばいい」と考えるのは危険です。
「健康診断で貧血と言われた」「最近やけに疲れやすい」など気になることがあれば、まずはお気軽にご相談ください。
今回は貧血についてお話ししました。
今後も様々な情報を発信しいきますのでよろしくお願いいたします。





