得てして歯科医師の目指す治療法と患者が求めている治療法が乖離している事があります
歯科医師は究極を求め
患者は満足を求めます
ですので、患者さん個人個人で治療への満足度が違います
神崎もこれにはいつも悩みます
患者の要望の全てに応えていくと身体がいくつあっても足りません
資金がいくらあっても足りません
と言うのも患者は常に
「安い」「早い」「上手い」が基本だからです
しかも、保険診療で全ての治療が出来ると思っているのです
保険診療と言うのは
1)最低限の医療保障であること
2)決められたルールに則らないと行けない事
3)ルールを逸脱できない事
4)決められた使用方法を守らないと行けない事
これが基本になります
しかし、中には
「儲かってるから自費ぐらいタダでしろ」
「中断するからお金払わん、けど、レントゲンとか見せろ」
「タダで診断しろ」
「忙しいからルールを逸脱しろ」
「自分の言う通りにすればいい」
こんな、無理難題をふっかけてくる患者がいます
当然、こんな患者さんは治療続行がムリですのでお断りします
そう、貧乏歯医者さんはこの断る勇気がありません
私もそうでした
ですが、断る勇気を持ち、出来ない理由を説明しました
すると、そう言う方の半数はお見えにならなくなり
残りの半数はルールに従ってくれる様になりました
でも、早い、安い、上手いは限界があります
治療費には
1)施設維持費
2)時間的拘束による人件費
3)時間的拘束による予約の整理
4)材料費
これが必要になります
最低限の原価があり、これを無視する訳にもいきません
そこがやはりどんぶり勘定になるのが歯科医師です
これは究極の治療を目指すからであって
及第点の治療から究極の治療まで幅広く持つ必要があります
保険診療のみを求める患者には
保険診療の枠いっぱいでの治療を提供し
自由診療の場合はご予算に合わせた治療を提供する
この事を無視すると神崎の様に失敗していきます
患者のニーズはどこにあるか、日々の診療に答えがあります
しかし、その患者ニーズだけでは対応しきれません
そこで重要なのは患者ニーズの掘り起こしになるのです
実は患者は情報を知っている様で知らないのが現状です
そこで、患者に情報を伝え、取捨選択してもらう必要性があります
自由診療、保険診療それぞれに一長一短があり
善し悪しをきちんと説明していく事、これが最も大事であり
患者のニーズ掘り起こしに繋がります
ですが、一番問題なのはインターネットやテレビ等で中途半端な知識で自分なりに診断をしてくる人です
この方は、思いこみの激しい方が多く、実際の状況とはまるで違う事がしばしばです
また、最初から「失敗したら訴える」などと言われる患者さんもいます
論外です
私たち歯科医師は
善管注意義務があります
この善管注意義務は治療に際し最大限の努力をし、ミスが起こらない様、最大限努力する事なんです
ですが、世の中、食いっぱぐれ弁護士さんなのかもしれませんが
医療ミスが起こったら訴訟を乱発する弁護士先生がいらっしゃいます
この医療過誤訴訟のために外科系を避ける傾向にある事を知らなければなりません
歯科医師は外科系です
単科の医師ですので間違われがちですが、外科なんです
ですから、様々なトラブルを想定して手術に望みます
歯を削る事は歯科医師であるから合法ですが、一般人が行うと傷害罪です
さすがに必死に頑張って治療をしたいと思っても
「訴訟されるかもしれない」を前提に治療を行う事は治療を萎縮させてしまいます
ですから、こういう患者さんに対してはお断りすることが必要です
また、こういう方を断る勇気が絶対的に必要になります
さて、本日最後に応召義務との兼ね合いです
応召義務とは「診療を求めた場合、正当な理由無く断る事が出来ない」というものです
正当な理由ですが
1)診察費を払わない
2)治療に必要な治療設備が整っていない
診療所で入院させろ、診療科と違う診療、整備されている設備より高度な医療など
3)時間外にて飲酒している
4)時間外にて睡眠中であったため
5)訴訟を前提としている
6)治療に協力しない
7)保険診療なのに保険のルールを無視する様強要する
8)時間外診療の強要
9)脅迫や器物破損、恐喝などの業務妨害
10)保険医ではない医師または保険医療機関ではない医療機関に保険診療を求める
11)自由診療扱いの医療を保険診療として求める
12)提供しているサービス以上のものを求める
送迎サービスのある場合、買い物のため途中下車し待たせるなど
13)生活保護における診療など別途届出が必要で、届出を出していない場合
まだまだ、たくさんあります
これらが正当な理由に当たります
正当な理由に当たらないもの
1)人種や出生地
2)性別(但し、女性専門などの場合を除きます)
3)年齢(但し、成人や小児専門の場合を除きます)
4)収入
5)疾患の有無(但し、高度な疾患や全身管理が必要な疾患の場合を除きます)
6)職業(但し、暴対法により警察に通報義務がある場合を除きます)
などなど、通常断っては
応召義務は絶対的義務ではなく、相対的義務である事
モンスターペイシェントに対しては毅然とした態度を取る事
これらをきちんと理解する事が診療において重要です
もちろん、受診される方も理解しておいて下さいね