BSEと金属イオン



 近年BSEの問題が新聞紙上をにぎわしてきた。いつも牛ばかり注目し、なぜBSEが生まれてきたかはあまり追求されていない。もともとのBSEは羊に見られたスクレイピーという風土病(アイスランド、スロバキヤ、コロラド地区)が始まりである。その死んだ羊を肉骨粉にし、飼料として牛に与え、牛のBSEつまり狂牛病が発生したのである。その後その牛を食べた人からイギリスで変形クロイツフェルト・ヤコブ病が発生した。つまりスクレイピーの発病過程の科学的解明がBSE問題の最大の解決策なのである。近年になりスクレイピーの羊の脳とクロイツフェルト・ヤコブ病患者の脳にはマンガンイオンが多く銅イオンが少ないといった研究結果が出てきた。マンガンイオンといえば人体において微量の必須元素であり欠乏障害としては骨格変形、発育障害、糖尿病等の疾患が発症し、過剰障害は肝硬変、神経障害、筋肉運動不整、パーキンソン病が引き起こされるといわれている。つまりスクレイピーはその土地の飲み水にマンガンイオンが多量に含まれていたところの風土病だと考えられる。似たような神経性疾患で地域特異性を持っているものは、筋萎縮性側索硬化症(ASL)、パーキンソン病、などはパプアニューギニアや日本では紀伊半島南部に多発していた。これらの地域での地下水には、アルミニウムイオン、マンガンイオンが多いことが知られている。しかし近年なぜBSEの問題が全世界で広がったのか?


 これは色々考えられるが近代文明以降化石燃料を燃やし我々はエネルギーを得てきた。例えばディーゼル機関においては触媒としてアルミニウムやマンガンなどが使われ、それらが多量に空中に排出され、酸性雨として牧草地に降り注いでいる。(無農薬野菜といっても水まで管理されているとは思えない)日常の生活においても炭酸ジュースや粉ミルクはアルミ缶に入っている。つまり近代文明により生活が豊かになった代償でいままで人間があまり触れなかった金属とのかかわりによりBSEやその他の神経性疾患(最近のキレる子供達も含む)が増加しているのが現実なのである。今日また悲しい事件が取手で起こった。荒川沖、岡山、秋葉原等無差別な事件はもしかしたら文明病なのかもしれない。