ロラン・ディアンスはチュニジア生まれのギタリストで,今はパリ・コンセルヴァトワールで教鞭をとっているコンポーザー/パフォーマーである.村治佳織がトヨタ・アリオンのCMで弾いていた「タンゴ・アン・スカイ」が非常に有名.もちろんご多分に漏れず,一番人気のある曲に限って,作った本人にそれほど思い入れはないようだ.

曲が魅力的なのはもちろんだが,パフォーマーとしても非常に優れている.ある意味「別格」のギタリストだ.極めて雑音が少なく,タッチは自由なようで極めて厳密にコントロールされている.ライブではかならず最初にインプロヴィゼーションを入れるそうである.パフォーマーというよりはコンポーザーとしての重心が大きいようだ.

オリジナルの曲のみならず,かれはシャンソンやジャズ,ラグタイムのスタンダードナンバーをたくさん編曲している.いわゆる「ギターで弾く~~~」という乗りではなく,しっかり原曲を解体してギター用に再構築したものである.武満「ギターのための12の歌」の向こうを張った編曲集と言えよう.

チュニジアの夜・オーバーザレインボウ・A列車でいこう・ミスティ・エルチョクロ・・・・

こういうところからギターに入門していってもよいかもしれないと思えるアルバム.始めに最高のものを体験するというのは教育の王道である.


ヌアージュ (CCCD)ナイト・アンド・デイ(CCCD)