明日,浦和レッズがリーグ優勝を決める(はず).元埼玉県民としてこれ以上の喜びはない.レッズが優勝すればベガルタ仙台など,もうどうでもよい.

それにしても初優勝というものは難しい.リーグ後半は,ガンバ・フロンターレともに勝ち点のとりこぼしがあり浦和ブッチ切り体勢も築けたはずなのだが,同じように勝ち点の取りこぼしをかさね,最終節までもつれ込んでしまった.優勝のしかたというのはたしかにあり,逆説的だが優勝しないとその方法はわからないものである.ガンバが同じ立場だったら,きっと前節で決めていただろう.

それにしても前節は笑うしかない展開であった.ただあのままガンバ引き分けで優勝などということになれば,レッズにとってはさておき,日本サッカーにとっては非常にいけてない記憶となっていただろう.マグノアウベスの決勝ゴールはある意味日本サッカーを救ったかもしれない.

いずれにせよレッズの圧倒的優位は変わらないわけだが,代表メンバーの多いチームだけにもうすこし苦しむのもいいかなと思う.よくかんがえると,ポンテ・ワシントン・ネネの3人の外国人に加え,アレックス・マルクスという帰化代表選手もいるわけだから,実質外国人は5人となる.この強大な戦力がかなり連携を持っているので,優勝は義務であろう.



レッズ強化の原動力は,サポーターとブッフバルト監督である.レッズサポーターは怖すぎるのでここでは書かない.

ブッフバルト監督は以前浦和でDFとしてプレーしていた.引退するちょっと前である.そのときからかなりの魂をレッズに植え付けていた.印象的な言葉がある.

試合に負けて次の一週間を憂鬱に過ごすのはよいことではない,だから敗北は悪なのだ!

鹿島ではジーコが,磐田ではドゥンガが,同じようなことを言っている.彼らにとって,敗北しても何食わぬ顔をしている日本人選手は理解できないのだ.”敗北は悪”.太平洋戦争に負けてよかったなどという教育を受けている我々日本人にとって,このメンタリティーの獲得はけっこう難しいだろう.敗北からは確かに多くのものが「学べる」が,実は勝利によってこそ多くのものが「身に付く」.

磐田も鹿島も,ジーコやドゥンガがのこした「敗北は悪」という常識がもはや風化してしまったようだ.来期,ブッフバルトはいなくなる.勝利の哲学は根を張ったのだろうか.負けて優勝でも,負けて優勝できなくても,一年間憂鬱に過ごさねばならない.この悪を徹底的に拒否できるか,明日の試合は日本サッカーの未来がかかっているといえる.