演奏会を2つ(病院と教室)かかえており,タイトに練習しているつもりだがなかなかうまくいかない.
今回はテデスコのソナタを弾いているが,病院向けにはフルートとデュオをやる予定になっている.



疲れないような姿勢と指使いが大事である.一つ一つの弦を押さえる力ははそんなに大きくない.実は簡単に押さえられる.ただ押さえる角度だとか連続性・連結性がうまくクリアされていないと,すぐに左手が疲れてしまう.左手が疲れてしまうと肘,肩,目そして脳が疲れてきて,演奏が崩れてしまう.

むかし「音楽の友」という雑誌にヴァイオリニストの古澤巌がエッセイを書いていて,それが楽器の持ち方と姿勢の作り方についてのものだった.私が大学生になるくらいのころの連載で97年くらいからはじまっていて,最初は何を言っているのかわからなかったのだが,ちょっとづつ読むにつれて言いたいことがなんとなくわかってきた.10年も前の話である.ちょっと前くらいから甲野善紀(こうのよしのり)という古武術家が身体のことについていろいろ啓蒙して回っており,結構おもしろい.

ご本人のサイト.
 
古の武術を知れば動きが変わるカラダが変わる―NHK人間講座『古の武術に学ぶ』の甲野善紀・34の技をDVD120分収録!
有名な話であるが,ジャイアンツの桑田真澄もけがからの復活の際に甲野さんの道場へ通っていろいろ開眼したという話がある.高橋尚子や末續などをとおして有名になった「なんば走り」も,彼の本で知った.古澤さんが書いたのはそれよりもちょっと前のことであるが,考え方の根本が同じような気がする.甲野さんの本はとてもわかりやすく,初めて読んでも腑に落ちた.正直楽器演奏にもいろいろ応用できるはずだとも考えたが,自分で真剣に考えたことはなかった.



つい先日のことであるが,またまたなにかのブログをたどっているうちに,あの10年前の古澤巌の連載がWebSiteにアーカイブされているのを発見した.

古澤巌のヴァイオリン通信

これは貴重な資料だ.連載の内容が一字一句きちんと掲載されている(手打ちだからミスもあるが問題ない).甲野さんの本でもそうだが,この古澤の連載でも,楽器を弾く上で「体の無理」をひとつひとつ取り払っていくのがいかに大事かが懇々と語られている.その第一歩であり,そしてそれができれば完成ともいえるのが「楽器の持ち方である」とも説いている.甲野さんの本を読んでからこの連載を改めて読むと,いいたかったことがかなり腑に落ちるようだった.

そういえばあのカルレバーロ先生の本でも,楽器の持ち方・構え方についてかなり詳細に語られていた.

アベル カルレバーロ, Abel Carlevaro, 高田 元太郎
ギター演奏法の原理―新時代のための合理的なアプローチ
(アマゾンに存在したのはびっくりだ).

構えがだめならすべてダメだ,というアプローチにどれも変りはない.

学生の頃は弾きまくって腰が痛くなったりもしたが,いまは大丈夫だ.多少姿勢はよくなったのだと思う.問題は腰から肩への力の使い方なんだろうな.