よく書いているが,最近は比較的暇なのだ.
年に一回くらいこういう時期がある.数日もすればまた忙しくなるだろう.
というかこれまで忙しすぎたのでこれくらい暇でも罰は当たるまい.



稲垣稔さんが数年ぶりにアルバムを出した.

稲垣稔の公式サイト.

福田進一さんよりちょっと若いくらい(のはず)のギタリストであるが,巷では「美音系ギタリスト」として知られる.要するにタッチが深く,繊細で正確なのだ.耳がいいということでもある.汚い音に気づくことが美音の第一歩といえるからだ.したがって耳がいい程度に度胸もないと,録音を出すことができない.自分の音に我慢ならなくなるからだ.

彼は94年から95年くらいに立て続けにアルバムを出した.これらはいわゆるスペイン・バロックなどの王道プログラム系であり,ふつうは出発点となるはずだ.今回のアルバムは10年くらいたって出されているが,アルバムを出し始めた頃の延長線上にある訳ではなく,いい具合に枯れたプログラムとなっている.それについてはとやかく言うまい.求道的に音を追求するというのも一つのあり方だし,いま若手に見捨てられつつある道だから.

それにしても確信的で切ない音である.かといって神経質ではない.いい人なんだと思う.

それだけに,これから録音を連発してほしいと思う.
後進の指導はそれからでも遅くないと思われます.