しばらく書かなかったうちに福田の新譜が二つ(以上)でた.

福田・進一
5つの前奏曲~ラテン・アメリカ作品集I~
KOHNO/SAKURAIギターで弾いた作品.河野ギターにはいまいちいい印象がないのだが,やはり弾く人によるのか.ヴィラ=ロボスのブラジル民謡は2回目の録音だが,気に入っている曲なのだろう,もう歌心という域を超えている.ギター小品としてはこの作品群は史上にのこる傑作群だと思うのだが,いまいち録音は少ない.

個人的に圧巻だったのはポンセの前奏曲ホ長調である.どっちが先だかわからないが「主題・変奏・終曲」のモチーフが使われている.楽譜があるのか調べると,どうもはっきりしない.というのも,もともとセゴヴィアが「ちょっとバロック前くらいの感じで書いてくれよ,ヴァイス作ってことにして」とかなんとかいってポンセに作ってもらったものらしい.しばらくS.L.ヴァイス作ということで通っていたらしいが,さすがに後年ばれたとのこと.

ヴァイス・ポンセで検索するとちゃんと出てきて,「発表会用ギター名曲集」(現代ギター)あるいは新堀の「ギター独奏50曲選集1」にある.

 
発表会用ギター名曲集
これは市販されているが,新堀は通販のみである.そんなに難しくはないが大変印象深い曲なので,まさに演奏会向きと言える.

「主題・変奏・終曲」は大変凝った作りの曲で,3年くらいまえのクラシカルギターコンクールの本選課題曲であった.暗譜が大変で技術的にも簡単ではなかったため苦労したが,とても好きな曲である.ただ,嫌いな人にはさっぱりわけのわからない曲だろう.要するに凝りすぎの感が否めない.録音も少ない.

「南のソナチネ」はまあなんというか,みんな弾く曲である.かくいう私も今年の本選自由曲にしたくらいで,そんなに難しくない上に効果は高いというおいしい曲である.

言うまでもないが,録音状態は極めて良好.