私はサッカーは結構昔から好きで,中学の時は本当にサッカー部に入ろうとしたのだが,眼鏡をかけていてコンタクトもだめだったのであきらめた経緯がある.冬の高校サッカーはいつも見ていたし,天皇杯も毎年チェックしていた.原・クロマティよりはラモス・カズである.
常に言われていることだが,日本代表が韓国代表に勝つこと自体が夢であった時代は実はそんなに昔ではなく,すくなくとも私の年代では中学生のときくらいまで日本は超弱小チームであった.それがプロ化してその前後から一気に花開いた.中田英寿は,世界にさらされ始めた日本サッカー界の先頭を走っていた人物であることに異論はないだろう.
10代でかいま見せた才能(成熟期以前のポテンシャルと言う意味)の面では,同世代の選手,小倉・城・前園・伊東・川口ちょっと下だと小野・高原などなどと比べて特別のものがあったわけではない.小野伸二や小倉隆文などがほとんど「モンスター級」として知られていたのに比べ,サッカー名門校でなかったとはいえ中田の存在は10代のころそれほど大きなものではなかった(もちろん玄人からみれば別で,Jリーグからの誘いは8チームあったという).
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中田の引退特別番組を見たり,小松成美や金子達仁によるインタビューを読めばわかるが,やはり中田英寿は切ないほどの努力家だ.しかもすごく不器用である.ある意味無理している.私の勝手な印象だが,彼のメンタリティは団体競技には向かないと思う.
ヨーロッパ人として生まれてきたら大丈夫だったか?それはわからない.ただペルージャ時代以降,結局どのクラブチームでも不動のレギュラーを確保することはできなかった.決定的な仕事をいくつかしているにもかかわらずである.もちろん監督との確執というのはあるが,確執を確執で終わらせてしまうメンタリティはやはり団体競技のプロとしてどうかと思う.
彼のプロサッカー生活はほとんどヨーロッパであり,ヨーロッパ人のように振る舞えたはずであるが,移籍金が高額にもかかわらず技術力は落ちてきているこの局面では,オファーはこない.彼の引退に衝撃を受けた関係者は多いだろうが,復帰を望む声は少ない.ずっと関係が悪かった(というか関係をつなげられなかった)日本マスコミは,「ありがとう!!ご苦労さん!!」でおわりだ.関心が高いわりにもっとも取材の難しい選手がいなくなって,取材の最前線の人間としてはほっとしているだろう.彼らだってわざわざ中田に無視されるためにヨーロッパ遠征しているわけではない.
中田引退に思う 担当記者それぞれの中田像
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サッカーをあきらめた私はずっとテニスをやっていた.たまに夢想することがある.彼がテニスプレーヤーだったらと.中田のメンタリティ・技術力なら間違いなく松岡修三を超えて,グランドスラムで優勝できるプレーヤになっていただろう.ある局面では年間ツアーランキングNo1もねらえたかもしれない.
ただ彼はサッカーを選び,日本サッカー界構造改革の先頭にたった.彼以外の人物に,たとえば小倉や前園に,中田がジョホールバルでやった仕事ができたか?それはわからない.歴史の転換期では,意外と個人の力で道が開けることが多い.中田はそういう転換期の突破点であったことは間違いない.
ワールドカップ出場国として,日本のフットボールの歴史はあまりにも浅い.急激な成長はえてしていびつな形をとるものである.今回の日本代表はそのいびつな成長をまさに代表していた.その中心にいた中田英寿は,自らの仕事を忠実にこなし,老害となるまえに自らユニフォームを脱いだ.そう言うことになるのかもしれない.
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これから中田英寿が何をやるかはわからない.ただサッカー選手以外の中田英寿にはなんの興味もない.彼がこれから医者になるとかギタリストになると言うのであれば,話は別だが....
常に言われていることだが,日本代表が韓国代表に勝つこと自体が夢であった時代は実はそんなに昔ではなく,すくなくとも私の年代では中学生のときくらいまで日本は超弱小チームであった.それがプロ化してその前後から一気に花開いた.中田英寿は,世界にさらされ始めた日本サッカー界の先頭を走っていた人物であることに異論はないだろう.
10代でかいま見せた才能(成熟期以前のポテンシャルと言う意味)の面では,同世代の選手,小倉・城・前園・伊東・川口ちょっと下だと小野・高原などなどと比べて特別のものがあったわけではない.小野伸二や小倉隆文などがほとんど「モンスター級」として知られていたのに比べ,サッカー名門校でなかったとはいえ中田の存在は10代のころそれほど大きなものではなかった(もちろん玄人からみれば別で,Jリーグからの誘いは8チームあったという).
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中田の引退特別番組を見たり,小松成美や金子達仁によるインタビューを読めばわかるが,やはり中田英寿は切ないほどの努力家だ.しかもすごく不器用である.ある意味無理している.私の勝手な印象だが,彼のメンタリティは団体競技には向かないと思う.
ヨーロッパ人として生まれてきたら大丈夫だったか?それはわからない.ただペルージャ時代以降,結局どのクラブチームでも不動のレギュラーを確保することはできなかった.決定的な仕事をいくつかしているにもかかわらずである.もちろん監督との確執というのはあるが,確執を確執で終わらせてしまうメンタリティはやはり団体競技のプロとしてどうかと思う.
彼のプロサッカー生活はほとんどヨーロッパであり,ヨーロッパ人のように振る舞えたはずであるが,移籍金が高額にもかかわらず技術力は落ちてきているこの局面では,オファーはこない.彼の引退に衝撃を受けた関係者は多いだろうが,復帰を望む声は少ない.ずっと関係が悪かった(というか関係をつなげられなかった)日本マスコミは,「ありがとう!!ご苦労さん!!」でおわりだ.関心が高いわりにもっとも取材の難しい選手がいなくなって,取材の最前線の人間としてはほっとしているだろう.彼らだってわざわざ中田に無視されるためにヨーロッパ遠征しているわけではない.
中田引退に思う 担当記者それぞれの中田像
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サッカーをあきらめた私はずっとテニスをやっていた.たまに夢想することがある.彼がテニスプレーヤーだったらと.中田のメンタリティ・技術力なら間違いなく松岡修三を超えて,グランドスラムで優勝できるプレーヤになっていただろう.ある局面では年間ツアーランキングNo1もねらえたかもしれない.
ただ彼はサッカーを選び,日本サッカー界構造改革の先頭にたった.彼以外の人物に,たとえば小倉や前園に,中田がジョホールバルでやった仕事ができたか?それはわからない.歴史の転換期では,意外と個人の力で道が開けることが多い.中田はそういう転換期の突破点であったことは間違いない.
ワールドカップ出場国として,日本のフットボールの歴史はあまりにも浅い.急激な成長はえてしていびつな形をとるものである.今回の日本代表はそのいびつな成長をまさに代表していた.その中心にいた中田英寿は,自らの仕事を忠実にこなし,老害となるまえに自らユニフォームを脱いだ.そう言うことになるのかもしれない.
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これから中田英寿が何をやるかはわからない.ただサッカー選手以外の中田英寿にはなんの興味もない.彼がこれから医者になるとかギタリストになると言うのであれば,話は別だが....