梅田手銛、殉職 | 海坊(インボウ)

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魚達との一期一会を紹介しています

昨日に引き続き本日も絶好の海日和。朝一から午後過ぎまで仕事を済ませ本日も海へ駆け出す。

本日のポイントは普段濁っているときが多いが、幾重にも根が張り出しているので、澄んでさえいれば絶好のポイント。そして今日はここのポイントでは初めて見るほどの透明度。

一番底は20M程あるが、普段見えない底までくっきりと見えるため、夢中になって泳ぎ回る。
あまりの気持ちよさにファーストダイブは1分30秒、この分だとすぐに2分は余裕だろう。

いつも行かない沖まで泳いで行くと、根の上にいる大型フエダイを発見。
人を見なれないのだろうか、逃げる様子もなかったので狙ってみる事に。
さらに隣にある大きな根に隠れるように回り込んで潜り、根の下から攻める。

根と根のトンネル状になった間を「チャンスは出会い頭だ」と念じながら進んでいると、影で気づかなかったが、横を並走する大きな壁。

「!?」
こちらが気づいたのに気づき、ペースを上げて自分を追い越して行ったのは推定20Kgを超えるロウニンアジ。

すでに射程は限界だったので、とっさに後ろから体のど真ん中へ発射! 
見事突き刺さった瞬間、ビューンと1M位引きずられたが、すぐ体勢を立て直し、引きゴムを使っての引っ張り合いへ持ち込む。
柔道部出身、実は人並み外れた背筋力を持ち合わせている私、、、
「イケるかも?」
と思った次の瞬間、止めていた紐の部分から引きゴムが外れロウニンアジは4Mの銛をまるで引っ掛かった小枝の様に軽々しく引きずってあっという間に遥か彼方消えていった。

その圧巻の光景には「あ~」と力なくため息を漏らすしかなかった。
道具の仕込みが悪かったのか、当てる場所が悪かったのか、
そのどちらが良くとも勝てるはずのない戦いに挑んだのか。
ただ突いた時はそんな事など一切考えもせず咄嗟に発射してしまった。

茫然

その後暫く、銛が落ちていないか探したが、日も暮れてきたのであえなく断念。

念願のGTを逃がし、
命の次に大事な銛を無くし、
ただただ頭は茫然としていたが、
一つだけ希望の光は感じていた。

それは今回、以前の経験と併せて一つ確信したことがあるということ。
それは、ロウニンアジがかなりの確率で根に潜んでいるということ。
回遊魚と言われるロウニンアジだが、3年潜っていていつも目撃するのは決まって根の付近をうろつく姿。

そう考えると、やはりロウニンアジは狙って突ける(獲れるかまた一つ上の話だが)魚だと確信したのであった。