昨日、プラズマとは電子とイオンに分離した物質の第四の状態ということを説明しました。
それでは、プラズマはなぜ殺菌性能に優れているのでしょうか。
物質が分解した電子やイオンをフリーラジカルと呼びます。これは水蒸気とは比べ物にならないほど活発に動き回ります。
そのスピードは雷のスピードを見ていただければわかるのではないかと思います。
そして、よく考えてみると電子がなくなったイオンは他の物質から電子を奪うように動きます。電子をもらって元の物質になって少しでも落ち着いた状態に戻ろうとするからです。電子をもらうのは有機物・無機物を問いません。一例をあげれば銅から電子を奪って落ち着こうとします。ここで電子を奪われた銅は酸化されたと言われます。皆さんが10円玉でよく見る緑色の緑青なども銅が酸化されて出来た物質です。
そこで本日の本題の細菌とウイルスは分けて説明します。まず、細菌は細胞膜を持った生物です。しかしフリーラジカルは細胞膜に取り付いて電子を奪います。電子を奪われた細胞膜は機能不全に陥り生きていくことが出来なくなります。この現象を「脂質過酸化現象」と呼びます。このようにしてプラズマは細菌に脂質過酸化現象を引き起こし退治してくれます。プラズマで飛び出すイオンや電子の数は前回の記事で記した通りの数です。これは1cm3に120万個というピストルの弾を発射しているようなものでその効果は絶対的です。
次にウイルスですが、ウイルスは細胞さえ持っていません。ですからウイルスは生物か否かという議論があるほどです。しかし細胞はなくても、たんぱく質を中心にした物質で出来ていることは間違いありません。ウイルスは細胞膜はありませんが、エンベロープと呼ばれる膜で包まれています。ですから、エンベロープから電子を奪われるという作用が発生することは同じです。ウイルスは生物ではないので抑え込むことを「不活化する」という言葉であらわします。また、狂牛病の原因とされる異常プリオンと呼ばれるたんぱく質も不活化出来るということが報告されています。
このようにして、プラズマは何の薬品も必要とせずに細菌やウイルスを退治してくれます。薬品を使用しないことは環境を汚すことなく目的を達成出来る素晴らしい方法です。