旅行に行って、その町に溶け込めた時、その町が好きになる。

その感覚は、旅行者から住人になった感じとでもいうのだろう。

一緒に時間を過ごしている人が、お客様から、家族や友人に変化するのだ。

 

最初に、それを感じたのは、数年前に京都で、夜の9時過ぎに映画を見た時。
二条駅の東宝シネマのシネコンに入った時である。

一階であったか地下であったか記憶は定かではないけれど、

ラーメン屋があって、そこに入ってから映画を見た。

確か、映画は「家族はつらいよ」だった。

終わったのが12時近い真夜中。

まさに、普段の自分ではしない非日常をしたのだと思う。

映画がはねて、地元の観客と一緒に、

駅に向かった時に、自分がそのシーンに溶け込んでいる感覚を味わった。

 

もちろん、そこで生活をしているわけではないから、

しばらくすると、住人から旅行者に戻るのは切ないのだが。

 

今回の旅行で、南禅寺で犬たちを連れて歩いていたら、

旅行者の人に、橋みたいなのがあるところには、どうやって行ったらいいのですか?

と、質問された。水路閣のことだった。

よく聞けば、犬を連れて散歩している地元の住人と勘違いしたらしい。