新しい世界の夜明けは、これ見よがしに澱み痛んでいたから、僕はきっと泣いたんだろう。
美しいもの。
それは破壊され行く肌の下の細胞が、巡る細い血管とぐちゃりととろけ合う、温い感覚。
汚ないもの。
それは心底に隠された、名前を奪われた恋情が不用意に疼いて、棘を抜かれて暴れ出す最期の結末。
どうか、知って。
頭に詰め込まれた自家製の銃弾を、毎日惨めに咀嚼しながら、気高い貴女を見つめる僕を。
僕は、ただ手首の傷を見つめながら、馬鹿らしくなって笑う。
知ってたよ。
貴女の幸せを願う振りしか出来ない僕は、心と頭を冷たく切り離す事に従事しなくてはならない。
貴女は僕にいつか笑った。
綺麗に笑うひとね、って笑った。
それで、死ねる。
祈りを、どうか祈りを。
愛されなくとも、成立する死があることを。
貴女の笑顔を汚すのは、僕だけでいい。
(夜明けと共に、ナイフと共に、貴女の輪郭を脳裏に、右手首に永遠の愛の証を。)
