■移転記念に……
今日は、アレクサンダー・テクニークの教室
の、目黒への
移転後オープニングパーティ&ワークショップに参加。
移転直前に初めてレッスンを受けた身の上で、のうのうと
お祝いに参加しているわけで。
治療家やら舞踏家やら歌手やらフルート奏者やらがひしめく空間で、
色々なことをくっちゃべりつつ、先日テレビにも登場したというシェフの
料理にも感動。
しかし何といっても印象深かったのは、パーティの合間に
行なわれたワークショップ。
■最凶の「だるまさんが転んだ」
そんな中で、本日最も印象に残ったのは、途中で行なわれたワークショップ。
短時間で、アレクサンダー・テクニークの考え方を学べる、ゲーム形式の
ワークショップだという。
ジェレミー・チャンス師が提示したお題は……
・ターゲットが向こうを向いている間に近づき
・ターゲットが振り向いたときはまったく身じろぎしてはいけなくて
・ターゲットにタッチしたら勝ちになるゲーム
「だるまさんが転んだ」じゃないですか。
ただし、「だーるーまさーんがー」というカウントがない。
「鬼」は、いつ振り向いても、どれだけ連続で振り向いてもいい。
何でも、「鬼」に一番にタッチできれば、ワークショップ1回 or 氏の著書がプレゼントされるという。
「ヨウイ、ドン」
英語訛りの合図が、ジェレミー師によって下される。
10人が一気に「鬼」に向かっていく。
しかし、挑戦者(俺含む)はいきなり振り向く「鬼」に戸惑い、端からよろめき、
「鬼」に指差される。
アウト、アウト、アウトぉ。
あっけなく、煩悩に満ちた挑戦者(俺含む)は全滅の憂き目に遭う。
ああ、無念。
■師の教え
そこでジェレミー師が、不甲斐ない挑戦者(俺含む)にアドバイスをする。
「鬼に触れることを意識して、自分の体のことを何も考えていない。」
「自分の体のバランスに意識を集中するんだ。いつ振り向かれても、よろめかずすぐに止まれるように。」
ほうほう。
でもそれって、すごく遅いんじゃないの?
まあ、でも。素直にやってみる。
最もバランスを保てそうな歩き方……といえば、アレしかない。
うむ、日本の先人の知恵に学ぶべし。
ホバークラフトのように、足を床から最小限しか離さず、胸や肩が
前後左右にぶれないように、するすると移動。
能や武道の足運び、いわゆる「摺り足」である。
一歩一歩というよりは、一指一指の動き。
「鬼」が振り向く。
足がすっと止まる。
上体のぶれもない。
「鬼」はこちらを指差せない。
通じる。
「鬼」のフェイントにも、文字通り動じずに止まれる。
ビバ、日本文化。
そんな中。
周りでは、挑戦者が徐々に「鬼」に指されてスタート地点に戻されている。
あぁ、焦る、焦りたくなる。
俺よか前に、一人いるのだ。
その人は「鬼」まであと少し。
その人を追い抜きたくて仕方なくなる。
ああ! 足運びを普通のものに切り替えてしまおうか。
……と思った矢先、その人が焦ったのか、大きく踏み出す。
そこに振り向く「鬼」。
その視線に、目の前の彼はゆらぐ。
そして。
自分と「鬼」との間に誰もいなくなった。
あとはどれだけ焦らずに動けるか、その一点にかかっている。
センチ単位の運足……。
「鬼」と見詰め合っては足を進め……。
やがて。
手が「鬼」に届いた。
とったどーーー。
■タネあかし
さてさて。
何でこんなストイックな「だるまさんが転んだ」が、アレクサンダー・テクニークの
考え方を学ぶネタになるのか。
それはこんなわけだ。
『人より早く「鬼」に触れて賞品ゲット』という目的にとらわれると、動くプロセス
そのものがおろそかになる。
ゲームに勝つためにはそもそも『体が揺らいではいけない』わけだが、
先ほどの『人より早く「鬼」に触れて賞品ゲット』という目的にはまり
込んだ瞬間、『体が揺らいではいけない』の優先順位がぽーんと下がり、
参加者の頭と体から忘れ去られてしまうのだ。
肝心なのは、「揺らがない」動きをし続けているかどうか、絶えず自分のことを
内面からチェックし続けること。
受動的・消極的に見えるが、この、手段・プロセスに徹底して意識を向ける
ことが、体をうまく動かすためには絶対に必要だ、ということなのだろう。
結果として、そうし続けた俺は、うまいこと「鬼」のもとにたどり着けたわけだ。
(最初からトップにいたら焦って自爆したかもしれないなぁ)
……それにしても、「相手を投げよう」と思うと相手に絶対に技がかからない
大東流合気柔術と、何と似ていることか。
と、このへんを書き出すとまた長いので、今日はこのへんで。
直接関係ない本だけど、言っていることは似ているかもしれないので紹介。↓
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