2010.07.10

「なぜ日本人の体型は胴長短足だったのか」1の④

・胴長短足もカッコイイ


 高齢の人の体型は、胴長短足の体型に近いですが、姿勢や所作が綺麗です。若い人の体型は、手足が長くバストやヒップにめりはりのある体型ですが、姿勢や所作がどうも綺麗じゃありません。

 身体の組織自体の強さ(骨や靭帯の強度、筋肉の弾力性など)や筋力は、もちろん若い方の方が強いでしょう。しかし、若い人はそれを上手く使えていません。高齢の人のほうが上手く身体を使えていると思うんです。


 解剖学者の養老孟司先生は、『養老孟司の<逆さメガネ>PHP新書』の中でこうおっしゃっています。


 日本の首相がサミットに出る。テレビで見ていると、なんだかみっともない。そういっては失礼ですからいわないが、なんとなくそういう感じがす。これを以前はスタイルのせいにしました。男なら、日本人は背が小さいからね、女なら、大根足だからね。それが日本人の言い訳です。八頭という言葉もかつて流行しました。 

 これは考え違いですな。日常の所作、体の使い方がわからなくなるとっともなくなるのです。型がない。そういってもいい。昭和天皇はいまの基準では小さい人でしたが、ちゃんとしてましたな。つまり『様になってた』んです。若い人たちが『カッコイイ』といいますな。あれもそうでしょ。様になってるわけです。それはじつは型、身体による表現なのです。それは世界中どこででも通用するんですよ。


 調べてみると、昔の日本人の身体って実に綺麗なんですね。体型は胴長短足なんですが、とても様になっています。

 下の写真は『ボンジュールジャポン フランス青年が活写した1882年 ウーグクラフト 著 後藤和雄 編』から引用したものです。写真左の、左の人物は力士で右は車夫だそうです。

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2010年の今から128年前(明治15年)の日本人の身体です。この写真を見ると胴長短足な体型もなかなか捨てたものでは無いな、感じます。


 現代の日本人は、胴長短足の体型を何だか格好悪く感じてしまいます。しかし、昔の日本では胴長短足の体型が美しいとされていたようです。 


・1の①初めに

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595005935.html
・1の②実際日本人の体型はどのように変わってきたのか

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595008762.html

・1の③若者より高齢者の方が立つのが上手い

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595011330.html

・1の④胴長短足もカッコイイ

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595013752.html

・1の⑤体型の流行

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595014652.html

・1の⑥身体の形が違うということ

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595015828.html

・1の⑦道具の形が違うということ

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595019207.html

2010.07.10

「なぜ日本人の体型は胴長短足だったのか」1の③

・若者よりも高齢者のほうが立つのが上手い



 座る、立つ、歩くなどの所作が綺麗じゃないと書きましたが、特に立っている姿勢がよくありありません。

 何だか立ち姿勢がクネクネとしていて、シャキッと真っ直ぐ立っていない若者が多いです。



現在、医学書などで一般にいわれている良い姿勢とは、下の図のようなものです。(『臨床で使える図解姿勢検査法』 新関真人著 医道の本社)



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身体を横から見た時に、

○外くるぶしのやや前方

 ○膝のやや前方

 ○大転子

 ○肩の中心

 ○外耳孔(耳)



の四点が、床との垂線上にある姿勢です。





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 また、正面から見た時に、


○左右の足関節の中間点

 ○左右の膝関節の中間点

 ○恥骨結合

 ○剣状突起(みぞおち)

 ○鎖骨柄切痕


(左右の鎖骨の間)

 ○唇

 ○眉間



 の7点が直線状にある姿勢をいいます。


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 身体を横から見ると、足関節に対して骨盤が前に位置し、骨盤に対して肩が後ろに、肩に対して頭が前に位置するという姿勢で、身体を横から見たときに観察できる軸が真っ直ぐではない。


 身体を正面から見ても、足に対して骨盤が左に、ミゾオチはその逆に、頭はまたまたその逆にあり、身体を正面から見たときにできる軸を真っ直ぐとれない。

 

 駅のホームで電車を待っている人を観察していると、このような軸の無いジグザグでクネクネとした姿勢で携帯を操作したり、雑誌を読んでいる若者が多いのに気付くはずです。


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 軸だけで身体を観察すると、平成生まれの若い人よりも、昭和初期・中期の高齢の方のほうが綺麗に軸を作って立っていると思います。


 高齢の方の体型は、手足の短い胴長短足の体型に近いのですが。


 

 なぜ、若い人は、軸を作って立てないのでしょうか。










・1の①初めに

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595005935.html
・1の②実際日本人の体型はどのように変わってきたのか

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595008762.html

・1の③若者より高齢者の方が立つのが上手い

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595011330.html

・1の④胴長短足もカッコイイ

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595013752.html

・1の⑤体型の流行

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・1の⑥身体の形が違うということ

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595015828.html

・1の⑦道具の形が違うということ

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595019207.html



2010.07.06

「なぜ日本人の体型は胴長短足だったのか」1の②

・実際日本人の体型はどのように変わってきたのか


 「『美しさ』を感じない」と書きましたが、何を「美しい」と感じるかは人によって違いますし、たんなる私だけの思い込みだと困りますので、読んでいる皆さんにも解かっていただけるように、後でこの「美しさ」についても言葉で表現していきます。


 日本人の体型の変化について調べてみたので、ここでいくつか紹介したいと思います。


毎日新聞社1994年9月21日の東京朝刊では、


また、女性の体型の計測を毎年続けているワコール人間科学研究所(京都市)の調査をもとに、七七―八一年と八七―九一年の②、三十代を比較すると、背が高くなり、全体として顔が小さく、肩幅が広く、バストのボリュームが大きく、ヒップの位置が高く、脚が長い、といった変化が認められた。



また、同社の2004年11月10日地方版大阪では、


JR西日本は伸長の伸びに注目。『新規の車両を導入する場合、釣り革の高さを高いものに変えている。便器メーカーのTOTO(北九州市)は『従来の便器の高さは37センチが主流だったが最近は、足の長い若者やひざを曲げにくいお年寄りが増え、45センチになった。』という。


JIS(日本工業規格)も、日本人の体格の向上と変化が著しく、従来のJISに基づく衣料品のサイズでは消費者の利用面の満足を満たせなくなってきたといっています。そのため、平成4~6年度にかけて約3万4千人の人体計測を行い。JIS規格を改正しました。

女性の体型の変化についてはこう記載されています。


 成人女子約11千人のデータを解析した結果、成人女子については、前回(S53~56)の調査と比べると「身長」が約2cm伸びており、身長の伸びに関連する「またの高さ」は、30歳代で約2cm、ウエストは約1cm、バストはほとんど変化がないことがわかった。

 この結果、成人女子は、身長が伸び、ヒップが大きくなったといえる。


 男性の体型変化については、


 人間生活工学研究センターによるデータを用い、成人男子用の衣料サイズに関する解析をJIS衣料サイズ推進協議会に調査研究を委託したところ、18歳以上の成人男子は、身長及びチェスト(胸囲)が約3cm、ウエストが約2cm大きくなっていることがわかった。特に若年層では、ウエストの変化よりもチェストの変化が大きく、いわゆる逆三角形の体型の若者が多くなっており、現行JISで規定しているサイズに該当しない成人男子が比較的多くいることがわかった。


と書かれています。

 新聞記事を紹介しなくても、平成生まれの人と、昭和前半や大正生まれの人の体型を比べれば体型の変化が見てとれると思いますが、このように、日本人は着実に憧れの西洋人の体型に近づいているようです。しかし、これを手放しに喜んでいてはいけない気がします。

 体型は西洋人のようになりましたが、座る、立つ、歩くなどの所作がどうも綺麗じゃありません。電車に乗っていて、身体に軸が無くグニャグニャに立っている青年や、お年寄りより背中を丸めてゲームに没頭する子どもや、ヒールを履いて膝をガクガクさせながら歩く女性を見かけると、これは何かおかしいな、と思うんです。




・1の①初めに

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595005935.html
・1の②実際日本人の体型はどのように変わってきたのか

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595008762.html

・1の③若者より高齢者の方が立つのが上手い

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595011330.html

・1の④胴長短足もカッコイイ

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595013752.html

・1の⑤体型の流行

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595014652.html

・1の⑥身体の形が違うということ

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595015828.html

・1の⑦道具の形が違うということ

 http://ameblo.jp/dounaga-tansoku-karada/entry-10595019207.html