今日はちょいと短いお話を書いてみましたよ。


笑ゥせぇるすまんのオマージュです爆笑


続きを書くかは未定ですー


ーー 笑ゥおやくにん ーー


「私の名はモグロフクゾウ。以前は気ままな趣味に明け暮れていた私も、宇宙の設定の切り替えに当たってお役人仕事に駆り出されております。なんともまぁ忙しいですなぁ」

 モグロは特徴的な高笑いをする。
「この宇宙では制限なく可能性を探っていく方針から、宇宙の調和レベルを下げずに可能性を探っていく方針へと切り替えが行われたのです。人間レベルの話でいけば、ひとりひとりがよりバランスのよい、ちょうどよいというところに向かわなくてはならなくなった、と言えますなぁ。さて本日のお客様は」
 そう言ってモグロは目線の先にいる男性をじっと見た。
 オキヤはカフェの一人席にいた。モグロはオキヤの隣に腰かけた。オキヤは不意にコーヒーを倒してしまった。
「すみません。大丈夫ですか」
 コーヒーはモグロの服にかかっていた。
「服にかかってしまいましたね。すみません。拭くものもらってこなきゃ」
「黒い服ですから問題ありません。拭くものだけもらいましょうか」
 オキヤはダスターを借りにいった。
「すみません。何とお詫びをしたらよいか」
 オキヤはダスターを手渡し謝っている。
「よいのです。オキヤさん」
「なぜ私の名前を?」
「まぁよいではないですか。あなたは存在をかけた岐路にたっています。お詫びをというとこであれば私の話に付き合ってください」
 急な話にオキヤは驚いている。モグロは宇宙の設定変更について話をはじめた。
「宇宙そのものの調和レベルはいつまでにこのレベルまで、というように既に設定されています。ある程度のバランスのよさを持った個人や種族は生き残っていきますし、そうでなければ消えて、他の存在の発展の糧になります」
 モグロは一呼吸おいた。
「あなたはこのままでは数年後には存在ごと失われ、消えていきます。チャンスをあげます。それは全てがちょうどよいというところに向かわなくてはならないという事実を知った上でどう行動していけるか、ということです」
 オキヤは話は信じられなかったが、モグロの真剣で尚且つ事実をつきつける恐ろしげな雰囲気に話を聞いていた。
「チャンスですか」
「本来はこういったことは教えてはならないのですが、あまりにもできの悪い皆さんはどうあがいても消えていくだけなので、最後のチャンスとして種と仕掛けの一部をお教えするということなのです」
 タジリは言葉を失っている。
「いいえ、お金はいりません。お安くしておきましたよ、あなたの魂と存在そのものが担保です」
 そういうと黒ずくめの男は不気味に笑い、楽しそうな声をあげた。タジリは鳥肌が立つ思いだった。
「これは存在をかけた、椅子取りゲームなのです。ちょうどあそこに、期限が切れた存在がいます、見えますか?いえ、向こうの青いシャツの人です」
「はい、見えました」
「あの人の存在をこれから消して他の存在の発展の糧にします。そうですね。特別サービス、あなたの糧にしてあげましょう。丁度あなたと真逆のエネルギーを持った人ですから丁度良い」
 タジリがとまどって返事をしていると、黒ずくめの彼は話を続ける。
「少しの間わたしの見ている世界を見せてあげますから、よくみていてくださいよ」
 そう言うと黒ずくめの彼はタジリの瞳の奥をじっと見つめた。タジリの視界は輝いて見え始めた。あたかも本当の自由を得たかのような解放感に包まれた。目の前の光景は変わらないのに、そのひとつひとつが輝いて見えるようだった。タジリはその感覚に酔いしれた。
「ほらぼんやりしてないで、あの人を消しますからよくみてるんですよ」
 すると黒ずくめの男は、男の方を見、3本の光の刃を召喚した。それは銀河と太陽と地球のエネルギーを刃にしたものだった。
 まず太陽のエネルギーを対象に刃の如く突き立て、地球の核からも同様に一筋の刃を伸ばし対象を貫く。最後に銀河の中心からも対象に刃を突き立て、それを動かすと対象の魂とも言える核をことごとくバラバラにして空間に溶かしこんでいく。
 黒ずくめの男の身体は椅子に座ったままで何もしていないように見えるが、視界を借りているタジリには全てが見えていた。
 段々とタジリからその感覚がなくなっていくのと同時に、空間に溶け込んだ男の要素がタジリに流れ込んだ。タジリは半ば自分のアイデンティティーを失うような寂しさを感じながらも、これまでとは違う、より世界に居場所を持ったような感覚を感じていた。
「どうでした?よく見えましたか?ひとりを変えることは全体のバランス調整することに等しいことですから、これでもなかなか高度な芸当なのです」
「少しの間でしたが、美しい世界でした」
 黒ずくめの男は不気味に笑った。
「あなたの感覚も以前よりもひとまわり大きくなったように感じるでしょう。ただし気をつけてくださいよ。あなたには下駄を履かせて背を伸ばしているようなものですから、一定の期日までにしっかりと自分でよりバランスのよい方に向かう努力をしなければ、あの人と同じ目に会いますよ」
 タジリは声は出せず、じっくりと頷いた。
「よいですか、疑うべきはあなたの長所なのです。自分で自覚する短所は直そうとできますが、長所と思っているものは直そうとしません。でもあなたの長所であろうが短所であろうがバランスが悪いことには同じなのです」
「疑うべきは長所ですか、なるほど」
 タジリは言葉を反芻した。
「ちょうどよいというところを目指すとき、人は永遠の旅を始めるのですよ。それでは頑張ってください」
 そう言うと黒ずくめの男は席を立って去っていった。タジリはしばらく呆然と席にいて、それから立ち上がって店を出ていった。