翔くんが拗ねてるのか怒ってるのか。
ちょっとしたケンカをしてからだから・・・1週間くらい?
いや・・・もっとかな?
今までほとんどケンカなんてしたことなくて。
行き違いがあったとしても、なんとなくやり過ごしてきた感じで。
こんなに長いこと翔くんが機嫌損ねてるのは珍しい。
「え?なんで?今年はチョコなしなの?!」
「え?ダメ?だって、いままではマネージャーさんに頼んでたけど・・・
さすがにもう頼めないから」
「でも、智くんのマネージャーさん、いるよね?」
「いるけど・・・仕事とは関係ないことでしょ」
翔くんがムスッとした顔をする。
そんな顔しても、頼まないものは頼まないんだからね!
「翔くんは仕事先でいつもたくさんもらうんだから、いいでしょ?
はい、この話はもうおしまい」
そのチョコは完全に義理だし。
なんてブツブツ言ってたけど。
僕は気付かない振りをしてソファーからキッチンに立った。
それ以上は翔くんも言えなかったみたいで。
キュッと口を引き絞って不機嫌顔してるのも気付かない振りをした。
そんなちっちゃなケンカだったのに。
必要最低限しか会話しなくなってもう1週間。
帰宅した翔くんが僕の方チラチラ見たり。
何か物言いたげな顔してたり。
僕に手を伸ばしかけては引っ込めたり。
僕が話しかけても、聞いてるんだか聞いてないんだか。
パソコンで仕事してるからなのか?なんなのか?
生返事が返ってくるだけ。
言葉でのコミュニケーションもほとんどしてないけど。
スキンシップすらなくなって。
なんていうか・・・・
たったチョコ1個のことだけで。
こんな状況が続くんじゃ、なんか・・・しんどい。
ハッキリとじゃなくても、無視されてるみたいで。
存在がないことにされてるみたいな気がする。
僕・・・これ以上、翔くんのとこにいる意味あるかな?
なんなら、ご飯だけ作って置いとけばよくない?
そんなのも必要ない?
・・・僕って翔くんのなんなんだろう?
あぁ・・・ダメだ。
このままここにいたら、変なこと考えるだけだ。
自分の家に戻ろう。