「僕も・・・・感謝してるよ。

ずっと隣にいてくれたこと。

一人になろうとした僕の手を決して離そうとしなかったこと。

翔くんの隣にいる、って決心が付くまで・・・

待っててくれたこと」

 

あぁ・・・・もう・・ダメだ。

最近、涙もろくて困る。

 

 

泡だらけの男2人が風呂場で泣きながら抱き合ってるなんて。

誰にも見せられない。

恥ずかしげもなく、そんなことできるなんて。

相手が翔くんだから。

 

 

 

 

「翔くん、明日は何時に起きる?」

 

僕が起きるのはいつも7時だけど。

朝食の時間は翔くんの出かける時間に合わせる。

 

 

「明日はオフ。

だから・・・今夜はゆっくり2人で夜を楽しみませんか?」

 

温めのお湯がチャポンと音を立てる。

肩を抱き寄せられて、耳元にチュッとキスされる。

くすぐったくて、身をすくめる。

 

盛ってた若い頃と違って。

最近は翌日に仕事がある時には体は繋げない。

翌日の仕事に響かないように。

 

絡めた手の指にも軽くキスされる。

夜のお誘い了承しました、を伝えるのに。

僕も翔くんの耳にキスをした。

 

 

 

 

いつもより遅い朝の始まり。

昨夜の名残の体のだるさはしあわせな時間のおまけ。

だるさを言い訳にして。

ベッドの中で甘い時間の続きを過ごす。

 

翔くんの甘い眼差しと優しい口吻に優しい手。

それは気持ちや体を熱くするものではなくて。

愛おしさを表してる。

 

2人で築き上げたこの生活と。

そこに至るまでの楽じゃない道。

そして、今の穏やかな時間。

 

今のこの生活はごく普通の生活で。

何一つ変わったことはないけれど。

それでも。

 

 

僕らの日々はキセキに満ちあふれている。