翔くんは楽しそうに新番組の企画のことを話しだした。
いろんなことに挑戦したいんだ、って。
人の挑戦見るだけじゃ番組盛り上がらないだろうから。
盛り上げるためにはどんなことだってやる。
番組を続けられるように、道化になることだって覚悟してる、って。
そして、一回黙り込んだ。
「夢が・・・あるから。
いずれ・・・5人で活動再開することがあったら。
その時はまた嵐で番組持ちたい。
そのためにも・・・この枠を守りたい。
番組を続けておきたい」
躊躇うように。
でも、ハッキリと口にした。
僕は何も反応できなかった。
はい、も。いいえ、も。
何も意思表示ができない。
自分のことなのに、今は自分でどうしたいのかが見えてないから。
頭の中が真っ白になった。
二人とも、この時は釣り竿に意識が行ってなかったと思う。
話の内容を考えこんでて。
ピクピク、と翔くんの竿の先が引き込まれるように動いた。
「あれ?翔くん、引いてない??」
「え?マジかっ!?かかった?かかったの?
え?どうすればいいの?」
そういえば、かかった時にどうするのか?を教えてなかった。
「もうちょっと待って。
しっかり食ってからじゃないと、逃げられるから。
竿が急に引っ張られたら、食ったってことだから。
それまでしっかり竿持ってて」
きゅっと翔くんは竿を握り直した。
僕はタモがそばにあることを確認して。
自分の竿を上げようと糸を急いで巻き取った。
「あっ、智くんっ!」
翔くんの竿の先がしなる。
「ど・・・どうすればいいの?」
「引っ張られてる時は、糸を出すの」
「どうやって?」
「リールのとこ、レバー動かして」
翔くんが手探りで操作すると糸がどんどん出て行く。
相当出たから巻き取るのが大変だな、って思いながら見ていた。
魚がかかったことで、翔くんがかなり緊張してるみたい。
☆★
釣りのことは何一つ知りません。
未経験者です(笑)
なので、釣りに関しては変だぞ?と、思っても見逃してくださいね〜(笑)