ルアーを握ったままの手の中にやっぱり針で引っかき傷ができてた。

痛みはそんなにないけど、ちょっと動かす時に気になる。

きっと海水が手に付くと、しみるんだろうなぁ・・・

ぺろっとそこを舐めた。

血の味がする。

翔くんの指舐めた時には気にならなかったのに。

自分のだと、途端に気になる。

 

 

「どうしたの?」

 

僕の様子を見て、翔くんが声をかけてくる。

 

 

「ん、ちょっと引っかき傷できちゃってた」

 

ぱーっと手を開いて翔くんに見せると、その手を翔くんは掴んだ。

口元に持って行って、チュプッと舐める。

なんか・・・舐め方がヤラシイんだよね。

 

 

「ん、智くんの味がする」

 

言うこともヤラシイ!

手を引っ込めたら、翔くんがニヤニヤしてる。

 

 

「僕の味って何!?」

 

「んーなんていうか。

智くんの匂いがするんだよね。

匂いがすると味も感じない?

手の匂いなのかな?

血の匂いとはちょっと違うんだけど。

俺の大好きな智くんの匂い」

 

なんて言いながら、僕の首元に鼻を寄せてくる。

・・・だけじゃなく。

また腰を抱かれて。

首元に吸い付かれる。

 

 

「しょ・・・翔くんっ!」

 

「あーもう、たまんない。

やっべーよ」

 

とか言いながら、何回も何回も吸い付いて。

腰もぐいぐいと押し付けてくる。

絶対、首に何ヶ所もあざ付けたよね!?

 

 

「翔くんッ!何してんの!?」

 

「智くんの匂い嗅ぐと・・・さ。

ね?分かんないかなぁ?」

 

ぎゅーって強く抱きつかれて身動きもままならない。

 

 

「分かんないかなぁ?なんて聞かれても。

何を分かれって言うの??」

 

「このまま押し倒したい」