「え?智くんが!?」

 

「うん、そう」

 

翔くんが大きな声を上げた。

目がいつも以上にまんまるになってる。

僕の大好きな瞳だ。

 

 

「今年の誕生日プレゼントにね。

釣りに一緒に行こう、って誘うつもりだったんだ。

そのために準備をこっそりしてたの。

でも・・・翔くんがあのチケット使ってくれたから・・・・

僕がプレゼントもらったみたいになっちゃった」

 

ホントに嬉しいんだ。

チケット使おうって思ってくれたことが。

 

 

「俺たち、最強のカップルだね」

 

「最強?」

 

って・・・何?

 

 

「最強っていうより、最高、かな?」

 

それなら分かる。

翔くんとの関係は僕にとって、最高の出会いだった。

こんな、ずっと一緒にいたい、って思う人と、ちゃんと出会えたこと。

僕の人生における最高の幸運。

 

 

「誕生日にはまだ早いけど・・・

僕にできる精一杯のおもてなしするから。

楽しんでね」

 

「ありがとう」

 

狭い操舵室に翔くんも入ってきて。

後ろから抱きしめられる。

軽く横を向くと、チュッと触れるだけのキスがやってくる。

 

 

「二人きりだと、こういうこともできるから・・・

俺としては最高です」

 

「んふふ、今日は釣りを楽しんでももらうためのツアーなのに」

 

「智くんとの触れ合いも楽しみたい。

だって、これは・・・誕生日のデートでしょ?」

 

そっか・・・・僕にはその考えはなかった。

ただ、僕の運転する船で翔くんと釣りをしたかっただけ。

でも、二人で出かけるって・・・そういうことか?

普段は二人で食事に行ったりしても、こういう雰囲気にはならない。

なれない。

やっぱり・・・なんか警戒しちゃうのかも。

でも・・・今日は・・・

 

 

「うん。最高に楽しいデートにしようね」