「え・・・これ・・・まだ、持っててくれたの?」
「当然でしょ!
智くんからのプレゼントだよ?
失くすわけないでしょ!」
「てっきり・・・」
「てっきり?」
「捨てたんじゃないかと思ってた」
「・・・・智くん?」
翔くんが怖い顔して、僕を睨みつけた。
その顔のままで僕の方へ手を伸ばす。
怒らせた?って、伸ばした手をちょっと怖いって思ったのは。
無駄だった。
ふわっとした動きで僕の体を包み込むように腕が回された。
優しくポンポンと背中が叩かれる。
「捨てるわけないでしょ?
智くんからもらった宝物なのに。
有効期限がないから、いつまでも使えると思って。
デスクの鍵のかかる抽斗に入れておいたよ。
なかなか行くチャンスがなかったから、使うのが今になっちゃったけど。
まだ・・・使えるよね?」
「うん・・・使えるよ。
何回でも使える」
翔くんの言葉がなんか嬉しい。
宝物、って言ってくれたことも。
鍵のかかる抽斗にしまっといてくれたことも。
釣りに行くことになった時にこれを思い出してくれたことも。
「何回でも?ずいぶん気前がいいプレゼントだね?
それじゃ、この先、何回も頼もうかな?」
翔くんから体を離して、目一杯アイドルスマイル浮かべた。
わざとらしいくらいの笑顔。
営業用みたいな顔して。
「うん、ご利用お待ちしてます」
「ふふふ、智くんのその顔!
もっと普通に笑ってよ」
翔くんが僕のほっぺたをムニっと摘んだ。
「んふふ、だって、これは営業用スマイルだもん」
「だと思った!
これ、装備付きって書いてあるけど・・・・」
「あ、そうそう、今、準備してた。
こっちが翔くんので、こっちが僕の」
「やった!おそろじゃん!」