「大野・・・これは・・・?」
「んーオイラのスケッチだけど?
さくらいの誕生日にさくらいのスケッチだったから。
卒業の記念として、オイラのスケッチにしてみた」
こたつに置いて見てるから。
どの絵を見てるのか?
オイラにも見える。
めくるたびにその絵の解説をする。
「あーそれは・・・うんと・・・・
一番最初に描こうと思って撮った時のだ。
部屋でヤったときのだな」
「なんで・・・こんな絵・・・」
さくらいはそれしか言えないみたいに。
口を開いては、言葉が見つからない、って感じに。
金魚みたいにパクパクしてる。
「そこにいるオイラはさ。
全部さくらいのこと考えてるオイラだから。
さくらいのこと思い出して、一人でヤ ッ てるとこ。
よく見てよ。
さくらい好き、って言いながらしてたんだから」
自分の部屋で、風呂場で。
スマホで撮影した自分のそんな動画。
さすがに自分でも撮った動画見るのは躊躇したけどさ。
絵にするのにいい構図にして撮影したり結構考えてる。
最初から見てくと、兆し始めたとこから始まって。
ページをめくるごとに、最後の瞬間に向かって行く感じに並べてある。
さくらいの絵のときと違うのは。
顔だけじゃないってとこ。
全身描いてある。
兆してるモノも、それを握ってる手も、滴ってる雫も。
これ全部見たら、オイラが一人でスル時、どんな風にしてんのか。
分かるくらいには描いた。
「ね?見て感じてくれた?
オイラがさくらいのこと大好きってこと。
顔が好きなだけじゃ、こんなことしねーよ。
せいぜい描いた絵を見てニヤニヤするくらい。
さくらいのこと好きだからキスしたいし。
抱きしめたくなるしエ ッ チもしたくなんの。
卒業したからって離さねーかんな」
ページを捲る手がとまったさくらいの代わりに。
オイラがページをめくる。
「これはさ。
さくらいに会えなくなって一週間くらいの日。
この日は一回じゃおさまんなくて。
立て続けに2回シタんだ」
「・・おお・・の・・・お前・・・
バカなんじゃないのか?
こんなの・・・たまたま学校で出会った教師に渡すなんて」