気付かれないように気を付けてたみたいだけど。

智くん、やっぱり、歩いたりするのがちょっとツライみたいで。

動きがぎこちない。

それでもなんとか風呂場にたどり着いた。

 

 

「ツライの我慢しないで。

今日は智くんのための一日なんだから。

しんどかったら、言って欲しい。

どうして欲しいか、ちゃんと教えてくれる?」

 

「うん・・・ありがと。

じゃ・・・体、洗ってくれる?

痛いとかはないんだけど、なんか怠くって」

 

イスに座った智くんの体をタオルで拭った。

汗流すだけだから、軽く。

タオルで洗いにくい大事なところは手に載せた泡で優しく。

 

洗われてる時に顔を真赤にした智くんは、いつもの智くんで。

なんかホッとしたっていうか。

やけに積極的な智くんもいいんだけど・・・

やっぱり、いつもの智くんが好きだ。

 

 

二人でお湯に浸かると、智くんは後ろの俺に体を預けてくる。

 

「お風呂に真っ昼間に入るって、なんか罪悪感ない?」

 

「なんとなく分かるよ。

昼間にお酒飲むのと同じ種類の罪悪感だよね?」

 

智くんはそんなこと言って、くすくす笑った。

 

 

「朝からエッチするのも、なんとなく罪悪感っていうかさ。

背徳的な感じしない?

それで余計に気分が盛り上がらなかった?」

 

ボディソープの薫りと智くんの香りが俺の鼻先を漂う。

首筋の生え際に口唇を寄せると、くすぐったそうに首をすくめた。

 

 

「んふふ・・・翔くんもそう思った?

なんか、ダメなことしてるみたいでね。

ドキドキした。

たまには、いいよね?

また・・・機会があったらしちゃおっか?」

 

振り返った智くんは、目を眇めて、口を尖らせると。

キスを強請るように、目を閉じた。

 

小悪魔って、こういうキャラのことなのかな?

智くんにヤラれてるっていうか、操られてるっていうか。

敵わないな、って思う。

 

 

「ね・・・智くん。

もう、いっぱいになった?」

 

「うん、なったよ。翔くんでいっぱいにしてもらった。

ありがと・・・・好きだよ、翔くん」

 

「俺も・・・・智くん・・・好き」