とうとう僕がダメになる時が来るんだ、と思った。
僕の病気は原因不明で治療法もない。
臓器の機能がだんだん落ちていく。
そう説明されていた。
臓器がダメになった時、それが僕がダメになる時で。
翔ちゃんにもういらない、って捨てられる時だって、思ってた。
だけど、翔ちゃんはダメになった臓器を手術する、って方法を選んだ。
そうだよね。
自分のモノは大事に大事にして。
壊れそうになっても自分で修理して使ってた。
翔ちゃんはどこからか外科の先生を探してきて、僕を修理することにした。
何回手術したんだろう。
もう、覚えてないくらい手術を繰り返した。
具合が悪くなって、手術するとそれはよくなる。
また、具合が悪くなって、手術。
お腹に、胸に、ついた傷跡ももう数え切れない。
どんな手術をしているのか?
翔ちゃんに尋ねてみようと思ったことがある。
でも、聞いちゃいけない、ってなんとなく思った。
普通の手術じゃないのかもしれない。
僕は泣いた。
翔ちゃんがいない時に。
翔ちゃんのために。
そして・・・・誰かのために。
今年もホタルの季節がやってくる。
胸の傷跡を手で押さえながら中庭に出よう。
キミは・・・ホタルになれたかな?
僕もいつか・・・同じようにホタルになるよ。
好きって伝えるのは、まだ早かったみたい。
いつ・・・・好きって伝えられるのかな?
END