サトシの部屋はもう灯りが落とされていた。
「サトシ・・・眠ってる?」
「ん・・・?翔ちゃん?
どうしたの?こんな夜中に?」
「緊急手術することになった。
準備出来しだい、手術する」
「なに?なんで?」
「これが最後の手術になる。
終わったら、ゆっくり眠れるようになるよ」
「うん・・・そう・・・なんだ。まだ手術まで時間ある?」
「今、準備をしているが、もう少しかかるかな」
「じゃあ・・・翔ちゃん・・それまで・・一緒に寝てくれる?
手術の時間まで」
サトシのベッドに入ると、温かさが移ってくる。
「サトシはあったかいね」
「子どもみたい?
でも・・子どもじゃない、って前に言ったよね?
最後まで・・・翔ちゃんは僕にちゃんと説明してくれなかったね。
せめて・・・キス・・してくれる?
手術が怖くなくなるように」
キスすると、もう一回、もう一回、と終わりがなかった。
俺の太ももにサトシが自分を擦りつけた。
「翔ちゃん・・・触って。
イカセて・・・くれる?」
下着の中は湿っていた。
サトシの最後の望みを叶えた。
眠る時間はなかった。
ストレッチャーに載せられたサトシに俺からキスをした。
「翔ちゃんからのキス・・・・初めてだね。
嬉しい。手術・・頑張ってくるね」
サトシの目から涙が零れ落ちた。
麻酔がかかるまで手を握っていた。
麻酔がかかると、手から力が抜けた。
「サトシ、ありがとう。
サトシからもらうのはこれが最後だよ」
次に会うこのサトシはもう冷たくなっているのだろう。
俺は足早にその部屋を出た。