肺の石灰化が多発。
右肺を移植。
小腸に重度の潰瘍が多発。
小腸を移植。
大腸には穿孔寸前の壊死。
大腸を移植。
サトシには人工肛門を造設。
この時からサトシは俺に体を見せたがらなくなった。
サトシの体の中身はだんだん少なくなっていき。
最後に見たサトシの体は薄く感じられた。
サトシの生活上の規制はだんだん増えていく。
サトシはベッドでの生活になった。
学校の友人に借りたままになっているマンガを読んでいることが多い。
返さなきゃ、というわりに送ろうか?
と、言っても、すぐには送ろうとはしない。
続きを読みたい、とつぶやくから買おうか、と声をかけても首を振る。
「翔ちゃん・・・ずっと側にいてくれる?」
サトシが俺に望むことはそれだけになった。
ずっと、は、無理だった。
智くんと出かけることもある。
二宮医師とこれからの治療を話しあうこともある。
朝、サトシの部屋に行かれない日には、サトシに連絡を入れる。
以前は、拗ねる返事があったのに、今では既読にすらならない。
朝から夕方まで部屋にいられる日には甘えるような様子を見せる。
子どもに戻ったように。
時折、キスを強請ることもある。
夕方になり、智くんの部屋に帰る時間になると、サトシはもう寝てしまう。
俺が帰るよ、とかける声に返事はない。
体だけではない。
サトシはだんだんと変わっていっているようだ。
サトシが全てを請け負ってくれている。
その分、智くんの生活は最低限の制限のみですんでいる。
微熱は続いているが、体が楽に感じられる日に外出することもある。
絵を描くこともある。
俺とセ ッ ク スするのも、変わりない。