「何を?

もう、サトシは俺のものじゃないってこと?」

 

「違う!そうじゃない。

僕はずっと翔ちゃんのもの。

そうじゃない・・・そうじゃないの・・・・

翔ちゃん。

僕は翔ちゃんが好き。

だから翔ちゃんの望みを全て叶えてあげたい、って思えるくらい。

好きなの」

 

 

望みは全て叶えてもらってる。

智くんに移植するための臓器をもらっている。

俺がサトシに望むのはそれだけ。

 

代償としてサトシが望むことを叶えていただけ。

 

ファミレスに行きたい。

海へ行きたい。

セックスしたい。

検査の時には側にいて。

 

簡単に叶えられることだったから。

今・・・・サトシが俺に望んでいることはなんだ?

初めて、と言ってもいい。

初めてぶつかった難問だった。

 

 

「やっぱり・・・翔ちゃんは分かってないんだね?

ね・・・セ ッ ク スして?

他のこと・・何も考えないで。

僕のことだけ見て。

僕のことだけ考えて。

 

今だけは・・・・」

 

 

サトシは涙を浮かべたまま微笑んだ。

ピエタの像の微笑みに似ていると思った。

 

それがサトシとセ ッ ク スした最後になった。