「智くん、次の手術の日程が決まったよ。
明後日、朝6時から」
検査と治療方針の決定に費やした時間。
病気は刻々と智くんの体を蝕んでいった。
肝機能は目に見えて低下。
他覚的には症状はないものの、全身の掻痒感、強い倦怠感など。
自覚症状は徐々に出始めていた。
引っかき傷が増えていっている智くんの肌。
一人で入浴させると、真っ赤になるまでタオルで全身を擦ってしまう。
監視も兼ねて、一緒に入浴するようになっていた。
痒みが強くならないように、ややぬるめのお湯の風呂。
肌にやさしいガーゼのタオルに無香料の石鹸を泡立てる。
優しくタオルで擦ると物足りなさそうな顔をする。
「痒いのは我慢して。
出たら、薬塗ってあげるから」
「ん・・・・翔ちゃん・・・・今日は・・・ココも洗って」
いつもは自分で洗う下腹部。
かけてあるタオルを外した。
「このタオルで?」
「翔ちゃんの手で・・・」
泡だらけの手で包み込むと気持ちよさそうに目を閉じた。
「ね・・・翔ちゃん。
お腹に新しい傷跡が増える前に・・・
セックス・・しよ?」
泡の付いた指で頬を撫でられる。
俺の頬に泡が移る。
泡を流さず、そのままの手で智くんの首に手を滑らせた。
口唇を合わせると、そのまま前戯としてのキスが始まった。
鏡に映る智くんの背中は美しく撓み。
筋肉が美しく動く。
白い肌は美しく紅く染り。
撫でる手に馴染んで離れない。
上がる声は耳に心地よく響いた。
「翔ちゃん・・・・」
どことなく切なげに響く声は俺の名前を繰り返し呼んだ。