翌朝、サトシと検査を担当してくれる相葉医師に連絡を入れる。

今日の検査には立ち合えないが、検査は予定通り行うように。

 

個室からリビングに出て行くと、智くんが嬉しそうにしている。

 

 

「見て?靴下履けるようになった。

これなら靴も履ける。

砂浜に降りても足の指の間に砂が入らずにすむかも」

 

「今日も砂浜に降りるつもり?」

 

「もちろん。ちゃんと敷物持っていかないと!」

 

こんなに元気で楽しそうな智くんは久しぶりに見る。

 

 

「体調は?」

「元気だよ?」

 

手で引き寄せて、額に触れた。

やはり微熱はある。

手術によって改善されたのは腎機能だけ。

原因不明の病気は智くんの体を蝕み続けている。

 

 

「熱が少しあるけど・・・大丈夫?」

 

「うん・・翔ちゃん心配性。

もう・・ちょっとの熱なんて、慣れちゃった。

体が軽くなっただけで・・・すごい楽」

 

智くんの指が頬を撫でた。

目を合わせると、智くんが嬉しそうに微笑む。

 

抱き寄せて、キスをする。

智くんの手が頭に回って・・・離れようとしても離れることを許さない。

 

しっとりとした口唇を丹念に味わった。

 

 

「翔ちゃんと海におでかけするの・・・楽しみ」

 

朱く濡れて光る口唇が動いた。

 

 

「ラーメンが?」

 

「それもあるけど・・・」

 

コテンと頭を俺の肩に預けた。

 

 

「翔ちゃんと出かける、っていうのが・・・一番楽しみ」