10日以上かかったサトシの全身の健康診断は異常なしだった。
同時に進めていた智くんのチェックの結果。
照らしあわせて、支障はないことが確かめられた。
「智くん、明後日、手術をするよ。
もう、これ以上、手術を引き伸ばすと、智くんの体が耐え切れない」
海へ行ってから半月。
智くんの腎機能は目に見えて悪化していっていた。
もっと早目に着手するべきだったかもしれない。
それでも手遅れにはならなかっただけ・・いいのか。
「うん・・・分かった。
ね・・・翔ちゃん・・・お風呂・・入れて。
傷がない・・僕の体。
よく見て・・覚えておいて欲しいから。
ほんとは・・・こんなさ・・象みたいな脚になる前に。
ちゃんと見ておいてもらえばよかった」
「智くんの体のことなら、何一つ、忘れることなく覚えてるよ。
きゅっとくびれてた足首も、ピンと張って男らしいふくらはぎも。
指が長くて、器用で、俺の下着を摘んで脱がせた足先も。
智くんも知らないだろう、ほくろのことも。
全部・・・俺の記憶に残ってる」
「んふふ・・・翔ちゃん・・・言い方がヤ ラ シ イ。
そうだよね。
翔ちゃん、頭良いから。
全部・・・僕のこと覚えててくれてたもんね?」
「そう、智くんが小学生のとき、どんな忘れ物したとか。
なんで先生に怒られたとか。
全部、覚えてるよ」
「それは覚えてなくもいいのに!」
「じゃあ・・・どんなセ ッ ク スしたか・・・
智くんがどんな風によ が っ て、どうされるのが好きって言ったか。
一回目のときから・・・全部覚えてるよ」
「やっぱり・・ヤ ラ シ イ。
ね?セ ッ ク スしよ?
傷がない体で・・・したいの」
智くんの指先が頬を撫でて、俺をベッドに誘った。