「サトシ、学校は楽しい?」

「楽しいよ。勉強は難しいけど」

 

夕食の後、これからの予定を話す。

通学を楽しみにしているサトシには申し訳ないとは思うが・・・

目的のためにはそんなことは気にしていられない。

 

「サトシの全身の健康診断をしたい。

学校はしばらく休むことになる。

チェックの結果によっては、もっと休むことになるかもしれない。

明日から始めるから、今日の夜、21時以降、飲食禁止だ。

明日の朝6時に採血、採尿から始める」

 

サトシは不満そうな表情を浮かべた。

俺はそれに気付かない振りをした。

明日からの全身の健康診断のスケジュールを話す。

 

明日の朝採尿をした後は全ての尿を貯めておく。

エコーやMRI、各種造影検査、腎機能の左右差を調べる検査。

各臓器への血流の検査、心機能の検査。

毎日、検査が重ならないように。

食事制限が最小限にすむように検査のスケジュールは組まれていた。

 

 

「なんで・・・こんな・・・?」

 

「いつかは必要になる検査だった。

そのスケジュールは全くの未定だった。

それが・・・今、この検査が必要になったんだよ」

 

「なんか・・・あったの?」

 

「ん・・・俺の・・大事なもののため・・なんだ」

 

「翔ちゃんの・・大事なもののため?」

 

「そう。

サトシは俺の大事な・・・・

俺だけがサトシを好きにできる。

サトシは俺の・・・ものだから。

そうだよね?」

 

「うん・・・翔ちゃんだけ・・だよ。

僕は翔ちゃんの。

この体も心も・・・・翔ちゃんだけの・・・ものだから」