レジャーシートに二人で座る。

智くんは俺に寄りかかって、肩に頭を載せた。

 

 

「翔ちゃんとこの海に来るたびにさ・・・

これで最後かも、って思うんだ」

 

俺は何も言えなかった。

ただ、つないだままの手がギュッと握られたから、握り返した。

昼間の波の音は夜の音と違って聞こえる。

 

 

「ね?翔ちゃん、セ ッ ク スしよ?」

 

俺の頬を掠めた智くんの指は震えていた。

その指を手で握って。

智くんにキスをする。

セ ッ ク スの前戯としてのキ ス。

 

こんなところでするには不適切なほどのキ ス。

でも、今はそれが智くんのために必要だった。

智くんを抱きかかえて、車まで戻った。

向かった先は海から一番近いホ テ ル。

車から直接部屋に入った。

その部屋はサトシと春先に来た部屋だった。

 

 

 

 

「先にお風呂入りたい」

 

砂浜に降りたから、砂がジャリジャリと脚にも体にも付いていた。

浮腫んでいる智くんの足の指の間に挟まった砂を落とす。

くすぐったそうにクスクス笑って、俺にしがみついてくる。

 

ただ、シートに座って海を見ていただけなのに、なぜ、こんなところにも?

というようなところにも砂が入り込んでいて。

風に吹かれて、気がつかないうちに服の中まで入り込んでいたらしい。

背中に付いていた砂もお湯で落とした。

 

 

智くんの手が俺の背中を這った。

何度もキスを交わしながら、お互いの気持ちと体を昂らせていく。

 

 

 

「んふふ・・・・翔ちゃん、汗かきだからこんなとこにも砂が」

 

智くんが俺の耳の後ろから砂を落とした。