僕は座ってるソファーの僕のすぐ横を軽く叩いた。

翔くんは、必死な訴えをすかされたからか?

ん?って顔をした。

 

僕はもう一回叩く。

翔くん、ここに座って。

翔くんの目をじっと見つめながら。

 

翔くんはテーブルをグルっと回って、僕の横に座った。

でも、いつもみたいにぴたっとくっつくわけじゃなくって。

ちょっと隙間を開けてる。

レポート用紙に手を伸ばそうとしたから・・・

その手を止めた。

 

ずいっと翔くんとの隙間を埋めて。

翔くんの首に腕を回した。

耳元で囁いた。

 

 

「翔くん・・・ありがとう。

誕生日をお祝いしたい、って気持ち。

とっても・・・とっても嬉しいよ」

 

「じゃ・・・なんで!?」

 

 

僕は翔くんから体を離した。

ちゃんと顔を見て話せるように。

 

「でもね・・・・うーんと。

僕が・・一番しあわせだな、って感じるときって。

どんな時だと思う?」

 

「しあわせ?美味しいもの食べてるとき?」

「違う」

 

「ライブの時」

「それもしあわせだけど。一番じゃない」

 

「仕事が早上がりできたとき」

「それもいいね。でも違う」

 

翔くんは困った顔をした。

そんな顔することもあるんだ、って。

 

ちょっと楽しくなって、笑いが出た。

 

 

「んふふ・・・翔くんには分かって欲しかったな。

でも、翔くんだけは分からないのかもしれない」

 

翔くんはもっと困った顔をした。