プライベートがあるようなないような僕たちは・・・
きっとこの先も、同じようなことがあるだろう。
あることないこと、なんてないことも大きくふくらんで。
そこにいる人もいないことにされたり。
行ったことない場所に行ったことにされたことだってある。
何回も繰り返されるだろう。
そのたびに、同じように揺らぐ?
翔くんの気持ちを疑って、自分の心を自分で傷つけて。
僕を想う翔くんのことまで傷つけて。
あったかいシャワーの雨を強くして。
頭からかぶった。
雨で洗い流せば、こんな中途半端な気持ちが流れていくんじゃないか、って。
公にすることも許されない。
秘密の付き合いを続けていくこと。
その覚悟は・・・僕にはある?
きっと・・・翔くんには分かってたこと。
とっくにそんな覚悟を決めてたんだろう。
報道の仕事でLGBTを取り上げたのは・・・
もしかして覚悟の薄い僕に知らせたかったからかもしれない。
翔くんは・・いつ、そんな風に気持ちを決めたんだろう?
僕が揺らいで、ふらふらした時?
僕が会いたくて、心が壊れそうになった時?
翔くんは僕のために強くなってくれたのかな?
じゃあ、僕は?
翔くんのためにそこまで強くなれる?
今のまま。
僕が弱かったら・・・きっと翔くんだけが頑張ることになる?
そしたら・・・いずれは・・・・
僕も・・・強くなりたい。
翔くんのために。
自分のために。
お湯を止めた。
体はすっかり温まった。