だんだん、欲張りになってる。

メンバーとして側にいられるだけでよかった。

メンバーとして大事にされるだけでよかった。

強引にでも、抱かれただけでよかった。

気持ちが通じただけでよかった。

 

だんだん、それだけじゃ物足りなくなっていってたのかな。

誰よりも僕を見てて欲しい。

誰よりも僕の側にいて欲しい。

誰よりも僕を愛して欲しい。

誰よりも・・・誰よりも。

 

仕事してる時も、僕を忘れないで欲しい。

いつでも、僕を心に置いといて欲しい。

 

そのままを口にしたら、引かれるだろうな、って思う。

僕の中にはいつだって翔くんがいて。

ロケに行ってても、翔くんなら・・・なんて考える。

 

思わず翔くんのことを口にして・・・

後から呆れられてないかな?って様子を伺う。

 

自分の想いがあまりにも重くて。

怖くなるときがある。

 

だから・・・かえって口に出せない。

 

 

こうして・・・翔くんに愛されてるときでも。

 

 

 

「智くん・・・俺が愛してるのは智くんだけだから」

 

「ぁ・・・っん・・・ぼくっ・・・」

 

僕も、って言えればいいのに。

口に出せずに飲み込んでしまう。

 

体の欲求を解消するためじゃない。

気持ちを伝えるために、こうして熱を交わしてる。

そんな抱き方をされて。

 

雨の中の迷子の僕は救われた。

雨上がりで明るくなっていく空。

虹が大きく空にかかっていく。

 

コーヒーの表面に浮いた小さい虹のカケラが大きな虹になって。

僕の心にかかった。